税制改革法

# 昭和六十三年法律第百七号 #

第二節 国税に関する改革

分類 法律
カテゴリ   国税
最終編集日 : 2022年 11月29日 15時23分


1項

次の措置を講ずることにより所得税の負担の軽減 及び合理化を図る。

一 号

中堅所得者を中心として、税負担の累増感の解消を図り、 所得税の負担を軽減するため、最低税率を百分の十とし、その適用範囲を大幅に拡大する等税率の累進度を緩和するとともに、 簡素な税率構造とすること。

二 号

税体系全体を通ずる低所得者 及び中堅所得者の税負担等に配慮し、基礎控除、配偶者控除 及び扶養控除を引き上げるとともに、 配偶者特別控除を大幅に引き上げること。

2項

所得税の負担の公平の確保を図るため、株式等の譲渡による所得について他の所得と分離して所得税を課する制度を設けるとともに、社会保険診療報酬の所得計算の特例制度についてその縮減を行う。

1項

国際的視点に立つた法人税制の確立を目指し、法人税の基本税率を引き下げ、 配当等に充てた所得に対する軽減税率を廃止するとともに、受取配当等の益金不算入制度についてその縮減を図ることにより、 法人税の負担の軽減 及び合理化を図る。

2項

法人税の負担の公平の確保等を図るため、法人が新たに取得した土地等に係る負債の利子について損金算入を繰り延べる措置を講ずる。

1項

次の措置を講ずることにより相続税の負担の軽減 及び合理化を図る。

一 号

健全な資産の形成と国民生活の安定等に配慮し、 遺産に係る基礎控除等を二倍に引き上げるとともに、税率区分の幅を拡大するほか、最高税率を引き下げること。

二 号

配偶者の生活の安定に資するため、配偶者が相続により取得した財産について非課税とする範囲を拡大すること。

2項

相続税の負担の公平の確保を図るため、遺産に係る基礎控除等の算定の基礎となる相続人の数に含まれる養子の数を制限する措置を講ずる。

3項

相続税の改正との関連において、 贈与税の税率区分の幅を拡大する等の措置を講ずる。

1項

現行の個別間接税制度が直面している諸問題を根本的に解決し、 税体系全体を通ずる税負担の公平を図るとともに、国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するため、 消費に広く薄く負担を求める消費税を創設する。

2項

消費税は、事業者による商品の販売、役務の提供等の各段階において課税し、経済に対する中立性を確保するため、課税の累積を排除する方式によるものとし、その税率は、百分の三とする。


この場合において、その仕組みについては、我が国における取引慣行 及び納税者の事務負担に極力配慮したものとする。

3項

消費税の創設に伴い、砂糖消費税、物品税、トランプ類税、入場税 及び通行税を廃止する。

1項

事業者は、消費に広く薄く負担を求めるという消費税の性格にかんがみ、消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする。


その際、事業者は、必要と認めるときは、取引の相手方である他の事業者 又は消費者にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるものとする。

2項

国は、消費税の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、前項の規定を踏まえ、消費税の仕組み等の周知徹底を図る等必要な施策を講ずるものとする。

1項

近年における酒類の消費態様の変化 及び酒税の国際的な調和 並びに消費税の創設を考慮し、従価税率 及び級別制度の廃止等を行い、 各種酒類間の税負担格差の縮小を図るとともに、消費税との負担の調整を行う。

2項

たばこ消費税 及び石油税について課税方式を従量税方式に改める等の改正を行い、取引所税、有価証券取引税 及び印紙税について一部の税率の引下げ等の措置を講ずる。