組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

# 平成十一年法律第百三十六号 #
略称 : 組織的犯罪処罰法  組織犯罪対策三法  組織犯罪処罰法 

第六章 没収及び追徴の裁判の執行及び保全についての国際共助手続等

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年七月十四日 ( 2024年 7月14日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第四十八号による改正
最終編集日 : 2024年 07月18日 14時30分


1項

外国の刑事事件(麻薬特例法第十六条第二項に規定する薬物犯罪等に当たる行為に係るものを除く)に関して、当該外国から、没収 若しくは追徴の確定裁判の執行 又は没収 若しくは追徴のための財産の保全の共助の要請があったときは、次の各号いずれかに該当する場合を除き、当該要請に係る共助をすることができる。

一 号

共助犯罪(共助の要請において犯されたとされている犯罪をいう。以下この項において同じ。)に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、当該行為が第二条第二項第一号イ 若しくは 若しくは同項第二号ニに掲げる罪 又は第十条第三項の罪に当たるものでないとき。

二 号

共助犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、日本国の法令によればこれについて刑罰を科すことができないと認められるとき。

三 号

共助犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。

四 号

没収の確定裁判の執行の共助 又は没収のための保全の共助については、共助犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、要請に係る財産が日本国の法令によれば共助犯罪について没収の裁判をし、又は没収保全をすることができる財産に当たるものでないとき。

五 号

追徴の確定裁判の執行の共助 又は追徴のための保全の共助については、共助犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、日本国の法令によれば共助犯罪について追徴の裁判をし、又は追徴保全をすることができる場合に当たるものでないとき。

六 号

没収の確定裁判の執行の共助については要請に係る財産を有し 又はその財産の上に地上権、抵当権 その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者が、追徴の確定裁判の執行の共助については当該裁判を受けた者が、自己の責めに帰することのできない理由により、当該裁判に係る手続において自己の権利を主張することができなかったと認められるとき。

七 号

没収 又は追徴のための保全の共助については、要請国の裁判所 若しくは裁判官のした没収 若しくは追徴のための保全の裁判に基づく要請である場合 又は没収 若しくは追徴の裁判の確定後の要請である場合を除き、共助犯罪に係る行為が行われたと疑うに足りる相当な理由がないとき、又は当該行為が日本国内で行われたとした場合において第二十二条第一項 若しくは第四十二条第一項に規定する理由がないと認められるとき。

2項

麻薬特例法第十六条第二項に規定する薬物犯罪等に当たる行為に係る外国の刑事事件に関して、当該外国から、条約に基づかないで、前項の共助の要請があったときは、麻薬特例法第二十一条各号いずれかに該当する場合を除き、その要請に係る共助をすることができる。

3項

地上権、抵当権 その他の権利がその上に存在する財産に係る没収の確定裁判の執行の共助をするに際し、日本国の法令により当該財産を没収するとすれば当該権利を存続させるべき場合に当たるときは、これを存続させるものとする。

1項

不法財産 又は麻薬特例法第十一条第一項各号 若しくは第三項各号に掲げる財産(以下この条において「不法財産等」という。)に代えて、その価額が不法財産等の価額に相当する財産であって当該裁判を受けた者が有するものを没収する確定裁判の執行に係る共助の要請にあっては、当該確定裁判は、この法律による共助の実施については、その者から当該財産の価額を追徴する確定裁判とみなす。

2項

前項の規定は、不法財産等に代えてその価額が不法財産等の価額に相当する財産を没収するための保全に係る共助の要請について準用する。

1項

共助の要請の受理は、外務大臣が行う。


ただし、条約に基づき法務大臣が共助の要請の受理を行うこととされているとき、又は緊急 その他特別の事情がある場合において外務大臣が同意したときは、法務大臣が行うものとする。

2項

前項ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合においては、法務大臣は、外務大臣に対し、共助に関する事務の実施に関し、必要な協力を求めることができる。

1項

共助の要請が没収 又は追徴の確定裁判の執行に係るものであるときは、検察官は、裁判所に対し、共助をすることができる場合に該当するかどうかについて審査の請求をしなければならない。

2項

裁判所は、審査の結果、審査の請求が不適法であるときは、これを却下する決定をし、共助の要請に係る確定裁判の全部 若しくは一部について共助をすることができる場合に該当するとき、又はその全部について共助をすることができない場合に該当するときは、それぞれその旨の決定をしなければならない。

3項

裁判所は、没収の確定裁判の執行の共助の要請につき共助をすることができる場合に該当する旨の決定をする場合において、第五十九条第三項の規定により存続させなければならない権利があるときは、当該権利を存続させる旨の決定を同時にしなければならない。

4項

裁判所は、追徴の確定裁判の執行の共助の要請につき、共助をすることができる場合に該当する旨の決定をするときは、追徴すべき日本円の金額を同時に示さなければならない。

5項

第一項の規定による審査においては、共助の要請に係る確定裁判の当否を審査することができない

6項

第一項の規定による審査に関しては、次に掲げる者(以下「利害関係人」という。)が当該審査請求事件の手続への参加を許されていないときは、共助をすることができる場合に該当する旨の決定をすることができない

一 号

没収の確定裁判の執行の共助については、要請に係る財産を有し、若しくはその財産の上に地上権、抵当権 その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者 又はこれらの財産 若しくは権利について没収保全がされる前に強制競売の開始決定、強制執行による差押え 若しくは仮差押えの執行がされている場合における差押債権者 若しくは仮差押債権者

二 号

追徴の確定裁判の執行の共助については、当該裁判を受けた者

7項

裁判所は、審査の請求について決定をするときは、検察官 及び審査請求事件の手続への参加を許された者(以下「参加人」という。)の意見を聴かなければならない。

8項

裁判所は、参加人が口頭で意見を述べたい旨を申し出たとき、又は裁判所において証人 若しくは鑑定人を尋問するときは、公開の法廷において審問期日を開き、参加人に当該期日に出頭する機会を与えなければならない。


この場合において、参加人が出頭することができないときは、審問期日に代理人を出頭させ、又は書面により意見を述べる機会を与えたことをもって、参加人に出頭する機会を与えたものとみなす。

9項

検察官は、前項の審問期日の手続に立ち会うことができる。

1項

検察官 及び参加人は、審査の請求に係る決定に対し、抗告をすることができる。

2項

抗告裁判所の決定に対しては、刑事訴訟法第四百五条各号に定める事由があるときは、最高裁判所に特に抗告をすることができる。

3項

前二項の抗告の提起期間は、十四日とする。

1項

没収 又は追徴の確定裁判の執行の共助の要請につき共助をすることができる場合に該当する旨の決定が確定したときは、当該没収 又は追徴の確定裁判は、共助の実施に関しては、日本国の裁判所が言い渡した没収 又は追徴の確定裁判とみなす。

1項

没収 又は追徴の確定裁判の執行の共助の要請をした外国(第三項において「執行共助の要請国」という。)から、当該共助の実施に係る財産 又はその価額に相当する金銭(以下この条において「執行財産等」という。)の譲与の要請があったときは、その全部 又は一部を譲与することができる。

2項

法務大臣は、執行財産等の全部 又は一部を譲与することが相当であると認めるときは、没収 又は追徴の確定裁判の執行の共助に必要な措置を命じた地方検察庁の検事正に対し、当該執行財産等の譲与のための保管を命ずるものとする。

3項

法務大臣は、執行財産等について、次の各号いずれかに 該当する場合には、前項に規定する検事正に対し、当該執行財産等の全部 又は一部を仮に保管することを命ずることができる。

一 号

執行共助の要請国から執行財産等の譲与の要請があった場合において、これに応ずるか否かの判断をするために必要があると認めるとき。

二 号

執行共助の要請国から執行財産等の譲与の要請がされると思料する場合において、必要があると認めるとき。

1項

没収 又は追徴の確定裁判の執行の共助の要請につき共助をすることができる場合に該当する旨の決定が確定した場合において、当該要請に係る確定裁判が取り消されたとき その他その効力がなくなったときは、裁判所は、検察官 又は利害関係人の請求により、決定をもって、共助をすることができる場合に該当する旨の決定を取り消さなければならない。

2項

前項の取消しの決定が確定したときは、刑事補償法に定める没収 又は追徴の執行による補償の例により、補償を行う。

3項

第六十三条の規定は、第一項の請求に係る決定について準用する。

1項

共助の要請が没収のための保全に係るものであるときは、検察官は、裁判官に、没収保全命令を発して要請に係る財産につき その処分を禁止することを請求しなければならない。


この場合において、検察官は、必要と認めるときは、附帯保全命令を発して当該財産の上に存在する地上権、抵当権 その他の権利の処分を禁止することを請求することができる。

2項

第六十二条第一項の審査の請求があった後は、没収保全に関する処分は、審査の請求を受けた裁判所が行う。

1項

共助の要請が追徴のための保全に係るものであるときは、検察官は、裁判官に、追徴保全命令を発して、追徴の裁判を受けるべき者に対しその財産の処分を禁止することを請求しなければならない。

2項

前条第二項の規定は、追徴保全に関する処分について準用する。

1項

没収 又は追徴のための保全の共助の要請が公訴の提起されていない事件に関してされた場合において、没収保全命令 又は追徴保全命令が発せられた日から四十五日以内に要請国から当該事件につき公訴が提起された旨の通知がないときは、当該没収保全 又は追徴保全命令は、その効力を失う。

2項

要請国から、前項の期間内に公訴を提起できないことについてやむを得ない事由がある旨理由を付して通知があったときは、裁判官は、検察官の請求により、三十日間を限り、保全の期間を更新することができる。


更新された期間内に公訴を提起できないことについてやむを得ない事由がある旨理由を付して通知があったときも、同様とする。

1項

共助の要請を撤回する旨の通知があったときは、検察官は、速やかに、審査、没収保全 若しくは追徴保全の請求を取り消し、又は没収保全命令 若しくは追徴保全命令の取消しを請求しなければならない。

2項

前項の請求があったときは、裁判所 又は裁判官は、速やかに、没収保全命令 又は追徴保全命令を取り消さなければならない。

1項

裁判所 又は裁判官は、この章の規定による審査をし、又は没収保全 若しくは追徴保全に関する処分をするため必要があるときは、事実の取調べをすることができる。


この場合においては、証人を尋問し、検証を行い、又は鑑定、通訳 若しくは翻訳を命ずることができる。

1項

検察官は、この章の規定による没収保全 若しくは追徴保全の請求 又は没収保全命令 若しくは追徴保全命令の執行に関して必要があると認めるときは、次に掲げる処分をすることができる。

一 号

関係人の出頭を求めてこれを取り調べること。

二 号
鑑定を嘱託すること。
三 号
実況見分をすること。
四 号

書類 その他の物の所有者、所持者 又は保管者にその物の提出を求めること。

五 号

公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めること。

六 号

電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者 又は自己の業務のために不特定 若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時 その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、三十日を超えない期間(延長する場合には、通じて六十日を超えない期間)を定めて、これを消去しないよう、書面で求めること。

七 号

裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索 又は検証をすること。

2項

検察官は、検察事務官に前項の処分をさせることができる。

1項

この章の規定による審査、没収保全 若しくは追徴保全 又は令状の発付の請求は、請求する検察官の所属する検察庁の所在地を管轄する地方裁判所 又はその裁判官にしなければならない。

1項

この章に特別の定めがあるもののほか、裁判所 若しくは裁判官のする審査、処分 若しくは令状の発付、検察官 若しくは検察事務官のする処分 又は裁判所の審査への利害関係人の参加については第三章 及び第四章刑事訴訟法第一編第二章 及び第五章から第十三章まで第二編第一章第三編第一章 及び第四章 並びに第七編限る)、刑事訴訟費用に関する法令 並びに刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法の規定を、共助の要請を受理した場合における措置については国際捜査共助等に関する法律昭和五十五年法律第六十九号第四条第五条第一項第一号に係る部分に限る)及び第三項 並びに第七条第一項 並びに逃亡犯罪人引渡法昭和二十八年法律第六十八号第八条第二項 並びに第十一条第一項 及び第二項の規定を、それぞれその性質に反しない限り、準用する。

2項

第六十四条の二第一項に規定する譲与の要請の受理 及び当該要請を受理した場合における措置については、国際捜査共助等に関する法律第三条第四条第十四条第一項前段、第五項 及び第六項 並びに第十六条第一項の規定を準用する。


この場合において、

同法第三条の見出し中
証拠の送付」とあるのは
「執行財産等の引渡し」と、

同条第一項
証拠の送付」とあるのは
「執行財産等(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律平成十一年法律第百三十六号第六十四条の二第一項に規定する執行財産等をいう。以下同じ。)の引渡し」と、

同条第二項
証拠の送付」とあるのは
「執行財産等の引渡し」と、

同法第四条
共助要請書」とあるのは
「譲与要請書」と、

同法第十四条第一項前段中
証拠の収集を終えた」とあるのは
「執行財産等を保管するに至つた」と、

収集した証拠」とあるのは
「当該執行財産等」と、

送付しなければ」とあるのは
「引き渡さなければ」と、

同条第五項
第一項、第三項 又は前項の規定による送付」とあるのは
第一項の規定による引渡し」と、

証拠」とあるのは
「執行財産等」と、

返還」とあるのは
「処分」と

読み替えるものとする。

1項

逃亡犯罪人引渡法第一条第三項に規定する引渡犯罪に係る行為が日本国内において行われたとしたならば第六条の二第一項第二号に掲げる罪に係る同項 若しくは同条第二項の罪 又は第十条第三項の罪に当たるものである場合における同法第二条の規定の適用については、

同条第三号 及び第四号
三年」とあるのは、
二年」と

する。