船舶の所有者等の責任の制限に関する法律

# 昭和五十年法律第九十四号 #
略称 : 船主責任制限法 

第三節 責任制限手続開始の決定

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和二年十月一日 ( 2020年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第十八号による改正
最終編集日 : 2023年 05月10日 14時07分


1項

責任制限手続は、その開始の決定の時から、効力を生ずる。

1項

裁判所は、責任制限手続開始の決定と同時に、管理人を選任し、かつ、次の事項を定めなければならない。

一 号

制限債権の届出期間。


ただし、その期間は、決定の日から一月以上 四月以下でなければならない。

二 号

制限債権の調査期日。


ただし、その期日と届出期間の末日との間には、一週間以上 二月以下の期間がなければならない。

1項

裁判所は、責任制限手続開始の決定をしたときは、直ちに、次の事項を公告しなければならない。

一 号

責任制限手続開始決定の年月日時 及び主文

二 号

第十九条第一項の規定による決定に基づき供託された金銭又は第二十条第一項の供託委託契約に係る一定の金銭の総額

三 号
管理人の氏名 及び住所
四 号

申立人 及び知れている受益債務者の氏名 又は名称 並びにこれらの者と事故に係る船舶、救助船舶 又は救助者との関係

五 号

制限債権の届出期間 及び調査期日

六 号

申立人 又は受益債務者に対する制限債権をその届出期間内に届け出るべき旨の催告

2項

管理人、申立人 並びに知れている制限債権者 及び受益債務者には、前項各号に掲げる事項を記載した書面を送達しなければならない。

3項

前二項の規定は、第一項第二号から第五号までに掲げる事項に変更を生じた場合について準用する。


ただし、制限債権の調査期日の変更については、公告することを要しない。

1項

責任制限手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

2項

第二十三条の規定は、責任制限手続開始の申立てを却下し、又は棄却する決定に対して即時抗告があつた場合について準用する。

1項

責任制限手続開始の決定に対し前条第一項の即時抗告があつた場合において、第十九条第一項の規定による決定において定められた責任限度額 又は事故発生の日を不当と認めるときは、裁判所は、申立人に対して、二週間を超えない一定の期間内に、増加すべき責任限度額に相当する金銭 及びこれに対する事故発生の日から供託の日(次項において準用する第二十条第一項の規定により供託委託契約を締結する場合にあつては、同項の規定による届出の日)まで事故発生の日における法定利率により算定した金銭 又は増加すべき第十九条第一項に規定する法定利率により算定した金銭を供託し、かつ、その旨を責任制限裁判所に届け出るべきことを命じなければならない。

2項

第十九条第二項 及び第二十条から第二十二条までの規定は、前項の場合について準用する。


この場合において、

第十九条第二項
供託の日」とあるのは、
第三十条第一項の供託の日」と

読み替えるものとする。

1項

責任制限手続開始の決定を取り消す決定が確定したときは、裁判所は、直ちに、その旨を公告しなければならない。

2項

管理人、申立人 並びに知れている制限債権者 及び受益債務者には、前項の規定による公告に係る事項を記載した書面を送達しなければならない。

1項

申立人は、前条第一項の決定が確定した日から起算して一月を経過した後でなければ、次条に規定する基金として供託された金銭を取り戻し、又はその取戻請求権を処分することができない

1項

責任制限手続が開始されたときは、制限債権者は、この法律で定めるところにより、第十九条第一項 又は第三十条第一項の規定による決定に基づき供託された金銭、第二十一条第一項 又は第二十二条第五項第三十条第二項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定により供託される金銭 及び第九十四条第一項の規定により供託される金銭 並びに供託されたこれらの金銭に付される利息(以下「基金」という。)から支払を受けることができる。


この場合においては、制限債権者は、基金以外の申立人の財産 又は受益債務者の財産に対してその権利を行使することができない

1項

責任制限手続が開始されたときは、制限債権者は、制限債権をもつて申立人 又は受益債務者の債権と相殺することができない

1項

申立人 又は受益債務者は、第三十三条後段の事由を主張して制限債権に基づく強制執行の不許を求めるには、強制執行に対する異議の訴えを提起しなければならない。

2項

請求異議の訴えに関する民事執行法昭和五十四年法律第四号)の規定は、前項の訴えについて準用する。

1項

申立人 又は受益債務者は、第三十三条後段の事由を主張して制限債権に基づく担保権の実行の不許を求めるには、担保権の実行に対する異議の訴えを提起しなければならない。

2項

前項の訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所 又はこの裁判所がないときは、担保権の目的である財産の所在地を管轄する裁判所の管轄に専属する。

3項

民事執行法第三十六条 及び第三十七条の規定は、第一項の訴えについて準用する。