著作権法

# 昭和四十五年法律第四十八号 #

第八節 裁定による著作物の利用

分類 法律
カテゴリ   文化
@ 施行日 : 令和六年一月一日 ( 2024年 1月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月16日 09時49分


1項

公表された著作物 又は相当期間にわたり公衆に提供され、若しくは提示されている事実が明らかである著作物は、著作権者の不明 その他の理由により相当な努力を払つてもその著作権者と連絡することができない場合として政令で定める場合は、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定に係る利用方法により利用することができる。

2項

地方公共団体 その他これらに準ずるものとして政令で定める法人以下 この項 及び次条において「国等」という。)が前項の規定により著作物を利用しようとするときは、同項の規定にかかわらず同項の規定による供託を要しない。


この場合において、国等著作権者と連絡をすることができるに至つたときは、同項の規定により文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

3項

第一項裁定を受けようとする者は、著作物の利用方法 その他政令で定める事項を記載した申請書に、著作権者と連絡することができないことを疎明する資料 その他政令で定める資料を添えて、これを文化庁長官提出しなければならない。

4項

第一項の規定により作成した著作物の複製物には、同項の裁定に係る複製物である旨 及びその裁定のあつた年月日を表示しなければならない。

1項

前条第一項裁定以下 この条において単に「裁定」という。の申請をした者は、当該申請に係る著作物の利用方法を勘案して文化庁長官が定める額の担保金を供託した場合には、裁定 又は裁定をしない処分を受けるまでの間裁定 又は裁定をしない処分を受けるまでの間に著作権者と連絡をすることができるに至つたときは、当該連絡をすることができるに至つた時までの間)、当該申請に係る利用方法と同一の方法により、当該申請に係る著作物を利用することができる。


ただし、当該著作物の著作者が当該著作物の出版 その他の利用を廃絶しようとしていることが明らかであるときは、この限りでない。

2項

国等前項の規定により著作物を利用しようとするときは、同項の規定にかかわらず同項の規定による供託を要しない。

3項

第一項の規定により作成した著作物の複製物には、同項の規定の適用を受けて作成された複製物である旨 及び裁定の申請をした年月日を表示しなければならない。

4項

第一項の規定により著作物を利用する者以下「申請中利用者」という。)(国等を除く次項において同じ。)が裁定を受けたときは、前条第一項の規定にかかわらず同項の補償金のうち第一項の規定により供託された担保金の額に相当する額(当該担保金の額が当該補償金の額を超えるときは、当該額)については、同条第一項の規定による供託を要しない。

5項

申請中利用者は、裁定をしない処分を受けたとき当該処分を受けるまでの間に著作権者と連絡をすることができるに至つた場合を除く)は、当該処分を受けた時までの間における第一項の規定による著作物の利用に係る使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託しなければならない。


この場合において、同項の規定により供託された担保金の額のうち当該補償金の額に相当する額(当該補償金の額が当該担保金の額を超えるときは、当該額)については、当該補償金を供託したものとみなす。

6項

申請中利用者国等限る)は、裁定をしない処分を受けた後に著作権者と連絡をすることができるに至つたときは、当該処分を受けた時までの間における第一項の規定による著作物の利用に係る使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

7項

申請中利用者は、裁定 又は裁定をしない処分を受けるまでの間に著作権者と連絡をすることができるに至つたときは、当該連絡をすることができるに至つた時までの間における第一項の規定による著作物の利用に係る使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

8項

第四項第五項 又は前項の場合において、著作権者は、前条第一項 又はこの条第五項 若しくは前項の補償金を受ける権利に関し、第一項の規定により供託された担保金から弁済を受けることができる。

9項

第一項の規定により担保金を供託した者は、当該担保金の額が前項の規定により著作権者が弁済を受けることができる額を超えることとなつたときは、政令で定めるところにより、その全部 又は一部を取り戻すことができる。

1項

公表された著作物を放送し、又は放送同時配信等しようとする放送事業者 又は放送同時配信等事業者は、その著作権者に対し放送 若しくは放送同時配信等の許諾につき協議を求めたがその協議が成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つて、その著作物を放送し、又は放送同時配信等することができる。

2項

前項の規定により放送され、又は放送同時配信等される著作物は、有線放送し、地域限定特定入力型自動公衆送信を行い、又は受信装置を用いて公に伝達することができる。


この場合において、当該有線放送、地域限定特定入力型自動公衆送信 又は伝達を行う者は、第三十八条第二項 及び第三項の規定の適用がある場合を除き、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

1項

商業用レコードが最初に国内において販売され、かつ、その最初の販売の日から三年を経過した場合において、当該商業用レコードに著作権者の許諾を得て録音されている音楽の著作物を録音して他の商業用レコードを製作しようとする者は、その著作権者に対し録音 又は譲渡による公衆への提供の許諾につき協議を求めたが、その協議が成立せず、又はその協議をすることができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つて、当該録音 又は譲渡による公衆への提供をすることができる。

1項

第六十七条第一項第六十八条第一項 又は前条の裁定の申請をする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

2項

前項の規定は、同項の規定により手数料を納付すべき者がであるときは、適用しない

3項

文化庁長官は、第六十八条第一項 又は前条の裁定の申請があつたときは、その旨を当該申請に係る著作権者に通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えなければならない。

4項

文化庁長官は、第六十七条第一項第六十八条第一項 又は前条の裁定の申請があつた場合において、次の各号いずれかに該当すると認めるときは、これらの裁定をしてはならない。

一 号

著作者がその著作物の出版 その他の利用を廃絶しようとしていることが明らかであるとき。

二 号

第六十八条第一項の裁定の申請に係る著作権者がその著作物の放送 又は放送同時配信等の許諾を与えないことについてやむを得ない事情があるとき。

5項

文化庁長官は、前項の裁定をしない処分をしようとするとき第七項の規定により裁定をしない処分をする場合を除く)は、あらかじめ申請者にその理由を通知し、弁明 及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならないものとし、当該裁定をしない処分をしたときは、理由を付した書面をもつて申請者にその旨を通知しなければならない。

6項

文化庁長官は、第六十七条第一項裁定をしたときは、その旨を官報で告示するとともに申請者に通知し、第六十八条第一項 又は前条の裁定をしたときは、その旨を当事者通知しなければならない。

7項

文化庁長官は、申請中利用者から第六十七条第一項の裁定の申請を取り下げる旨の申出があつたときは、当該裁定をしない処分をするものとする。

8項

前各項に規定するもののほかこの節に定める裁定に関し必要な事項は、政令で定める。