表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律

# 令和元年法律第十五号 #
略称 : 表題部所有者不明土地法 

第三章 所有者等特定不能土地の管理

分類 法律
カテゴリ   民事
最終編集日 : 2023年 08月30日 09時23分


1項

裁判所は、所有者等特定不能土地について、必要があると認めるときは、利害関係人の申立てにより、その申立てに係る所有者等特定不能土地を対象として、特定不能土地等管理者(次条第一項に規定する特定不能土地等管理者をいう。第五項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下「特定不能土地等管理命令」という。)をすることができる。

2項

前項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。

3項

裁判所は、特定不能土地等管理命令を変更し、又は取り消すことができる。

4項

特定不能土地等管理命令及び前項の規定による決定に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。

5項

特定不能土地等管理命令は、特定不能土地等管理命令が発令された後に当該特定不能土地等管理命令が取り消された場合において、所有者等特定不能土地の管理、処分 その他の事由により特定不能土地等管理者が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。

1項

裁判所は、特定不能土地等管理命令をする場合には、当該特定不能土地等管理命令において、特定不能土地等管理者を選任しなければならない。

2項

前項の規定による特定不能土地等管理者の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない

3項

特定不能土地等管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地について、特定不能土地等管理命令の登記を嘱託しなければならない。

4項

特定不能土地等管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、特定不能土地等管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。

1項

前条第一項の規定により特定不能土地等管理者が選任された場合には、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地 及びその管理、処分 その他の事由により特定不能土地等管理者が得た財産(以下「所有者等特定不能土地等」という。)の管理 及び処分をする権利は、特定不能土地等管理者に専属する。

2項

特定不能土地等管理者が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。

一 号
保存行為
二 号

所有者等特定不能土地等の性質を変えない範囲内において、その利用 又は改良を目的とする行為

3項

前項の規定に違反して行った特定不能土地等管理者の行為は、無効とする。


ただし、特定不能土地等管理者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

4項

特定不能土地等管理者は、第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。

5項

第二項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。

6項

第二項の規定による許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない

1項

特定不能土地等管理者は、就職の後直ちに特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の管理に着手しなければならない。

1項

特定不能土地等管理命令が発せられた場合には、所有者等特定不能土地等に関する訴えについては、特定不能土地等管理者を原告 又は被告とする。

2項

特定不能土地等管理命令が発せられた場合には、当該特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等に関する訴訟手続で当該所有者等特定不能土地等の所有者(所有権(その共有持分を含む。)が帰属する自然人 又は法人(法人でない社団等を含む。)をいう。以下この章において同じ。)を当事者とするものは、中断する。

3項

前項の規定により中断した訴訟手続は、特定不能土地等管理者においてこれを受け継ぐことができる。


この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

4項

特定不能土地等管理命令が取り消されたときは、特定不能土地等管理者を当事者とする所有者等特定不能土地等に関する訴訟手続は、中断する。

5項

所有者等特定不能土地等の所有者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。


この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

1項

特定不能土地等管理者は、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、第二十一条第一項権限を行使しなければならない。

2項

特定不能土地等管理者は、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の所有者のために、誠実かつ公平に第二十一条第一項権限を行使しなければならない。

1項

特定不能土地等管理者は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

2項

特定不能土地等管理者は、前項の許可の申立てをする場合には、その原因となる事実を疎明しなければならない。

3項

第一項の許可の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。

4項

第一項の規定による辞任の許可の裁判に対しては、不服を申し立てることができない

1項

特定不能土地等管理者がその任務に違反して特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等に著しい損害を与えたこと その他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、特定不能土地等管理者を解任することができる。

2項

裁判所は、前項の規定により特定不能土地等管理者を解任する場合には、特定不能土地等管理者の陳述を聴かなければならない。

3項

第一項の申立てについての裁判には、理由を付さなければならない。

4項

第一項の規定による解任の裁判に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。

1項

特定不能土地等管理者は、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等から裁判所が定める額の費用の前払 及び報酬を受けることができる。

2項

前項の規定による費用 又は報酬の額を定める裁判をする場合には、特定不能土地等管理者の陳述を聴かなければならない。

3項

第一項の規定による費用 又は報酬の額を定める裁判に対しては、特定不能土地等管理者に限り、即時抗告をすることができる。

1項

特定不能土地等管理者は、特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の管理、処分 その他の事由により金銭が生じたときは、その所有者のために、当該金銭を当該所有者等特定不能土地の所在地の供託所に供託することができる。

2項

特定不能土地等管理者は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨 その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

1項

裁判所は、特定不能土地等管理者が管理すべき財産がなくなったとき(特定不能土地等管理者が管理すべき財産の全部が前条第一項の規定により供託されたときを含む。)、その他特定 不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の管理を継続することが相当でなくなったときは、特定不能土地等管理者 若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、特定不能土地等管理命令を取り消さなければならない。

2項

特定不能土地等管理命令の対象とされた所有者等特定不能土地等の所有者が当該所有者等特定不能土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、特定不能土地等管理命令を取り消さなければならない。

3項

前項の規定により当該特定不能土地等管理命令が取り消されたときは、特定不能土地等管理者は、当該所有者に対し、その事務の経過 及び結果を報告し、当該所有者等特定不能土地等を引き渡さなければならない。

4項

第一項 又は第二項の規定による決定に対しては、利害関係人に限り、即時抗告をすることができる。