資金決済に関する法律

# 平成二十一年法律第五十九号 #
略称 : 資金決済法 

第二節 業務

分類 法律
カテゴリ   商業
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第七十九号
最終編集日 : 2024年 09月09日 11時02分


1項

資金移動業者は、次の各号に掲げる資金移動業の種別に応じ、当該各号に定めるところにより、資金移動業の種別ごとに履行保証金をその本店(外国資金移動業者である資金移動業者にあっては、国内における主たる営業所。第四十八条において同じ。)の最寄りの供託所に供託しなければならない。

一 号

第一種資金移動業

各営業日における第一種資金移動業に係る要履行保証額以上の額に相当する額の履行保証金を、当該各営業日から一週間以内で内閣府令で定める期間内において資金移動業者が定める期間内に供託すること。

二 号

第二種資金移動業 又は第三種資金移動業

一週間以内で資金移動業の種別ごとに資金移動業者が定める期間ごとに、当該期間における第二種資金移動業 又は第三種資金移動業に係る要履行保証額の最高額以上の額に相当する額の履行保証金を、当該期間の末日(第四十五条の二第四項 及び第五項 並びに第四十七条第一号において「基準日」という。)から一週間以内で内閣府令で定める期間内において資金移動業の種別ごとに資金移動業者が定める期間内に供託すること。

2項

前項各号の「要履行保証額」とは、資金移動業の種別ごとの各営業日における未達債務の額(資金移動業者がその行う為替取引に関し負担する債務の額であって内閣府令で定めるところにより算出した額をいう。以下この章において同じ。)と第五十九条第一項の権利の実行の手続に関する費用の額として内閣府令で定めるところにより算出した額の合計額(第四十五条の二第一項の規定の適用を受けている資金移動業者が営む第三種資金移動業にあっては、第三種資金移動業に係る各営業日における未達債務の額から当該各営業日における未達債務の額に同項に規定する預貯金等管理割合を乗じて得た額を控除した額と第五十九条第一項の権利の実行の手続に関する費用の額として内閣府令で定めるところにより算出した額の合計額)をいう。


ただし、当該合計額が小規模な資金移動業者がその行う為替取引に関し負担する債務の履行を確保するために必要な額として政令で定める額以下である場合には、当該政令で定める額とする。

3項

履行保証金は、国債証券、地方債証券 その他の内閣府令で定める債券(社債、株式等の振替に関する法律第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。第四十五条第三項において同じ。)をもってこれに充てることができる。


この場合において、当該債券の評価額は、内閣府令で定めるところによる。

1項

資金移動業者は、政令で定めるところにより、その営む資金移動業の種別ごとに履行保証金保全契約(政令で定める要件を満たす銀行等 その他政令で定める者が資金移動業者のために内閣総理大臣の命令に応じて履行保証金を供託する旨の契約をいう。以下この章において同じ。)を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該履行保証金保全契約の効力の存する間、保全金額(当該履行保証金保全契約において供託されることとなっている金額をいう。以下この章において同じ。)につき、当該種別の資金移動業に係る履行保証金の全部 又は一部の供託をしないことができる。

1項

資金移動業者は、信託会社等との間で、その営む資金移動業の種別ごとに履行保証金信託契約(当該信託会社等が内閣総理大臣の命令に応じて信託財産を履行保証金の供託に充てることを信託の目的として当該信託財産の管理 その他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の信託契約をいう。以下この章において同じ。)を締結し、その旨を内閣総理大臣に届け出たときは、当該履行保証金信託契約に基づき信託財産が信託されている間、当該信託財産の額につき、当該種別の資金移動業に係る履行保証金の全部 又は一部の供託をしないことができる。

2項
履行保証金信託契約は、次に掲げる事項をその内容とするものでなければならない。
一 号

履行保証金信託契約を締結する資金移動業者が行う為替取引(当該履行保証金信託契約に係る種別の資金移動業に係るものに限る)の利用者を受益者とすること。

二 号
受益者代理人を置いていること。
三 号
内閣総理大臣の命令に応じて、信託会社等が信託財産を換価し、供託をすること。
四 号
その他内閣府令で定める事項
3項

履行保証金信託契約に基づき信託される信託財産の種類は、金銭 若しくは預貯金(内閣府令で定めるものに限る)又は国債証券、地方債証券 その他の内閣府令で定める債券に限るものとする。


この場合において、当該債券の評価額は、内閣府令で定めるところによる。

1項

資金移動業者(第三種資金移動業を営む者に限る)は、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した届出書を内閣総理大臣に提出したときは、第一号に掲げる日以後、第三種資金移動業に係る履行保証金の全部 又は一部の供託をしないことができる。


この場合において、当該資金移動業者は、第三種資金移動業に係る各営業日における未達債務の額に第二号に掲げる割合(当該割合を変更したときは、その変更後のもの。以下この条 及び第五十九条第一項において「預貯金等管理割合」という。)を乗じて得た額以上の額に相当する額の金銭を第一号に規定する預貯金等管理方法により管理しなければならない。

一 号

第三種資金移動業に係る各営業日における未達債務の額の全部 又は一部に相当する額の金銭を、銀行等に対する預貯金(この項の規定により管理しなければならないものとされている金銭であることがその預貯金口座の名義により明らかなものに限る)により管理する方法 その他の内閣府令で定める方法(以下この条 及び第五十三条第二項第二号において「預貯金等管理方法」という。)により管理することを開始する日

二 号
第三種資金移動業に係る未達債務の額のうち預貯金等管理方法により管理する額の当該未達債務の額に対する割合
三 号
その他内閣府令で定める事項
2項

前項の規定の適用を受けている資金移動業者は、預貯金等管理方法による管理の状況について、内閣府令で定めるところにより、定期に、公認会計士(公認会計士法昭和二十三年法律第百三号第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。以下同じ。)又は監査法人の監査を受けなければならない。

3項

第一項の規定の適用を受けている資金移動業者は、預貯金等管理割合 その他内閣府令で定める事項の変更をしようとするときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、当該変更を行う日 その他内閣府令で定める事項を記載した届出書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

4項

預貯金等管理割合を引き下げる変更は、前項の届出書に記載された当該変更を行う日における第三種資金移動業に係る履行保証金の額、保全金額 及び前条第一項に規定する信託財産の額の合計額が、当該日の直前の基準日における第三種資金移動業に係る要供託額(第一項の規定の適用を受けている資金移動業者が当該変更をする場合にその営む第三種資金移動業について第四十三条第一項の規定により供託しなければならないこととなる履行保証金の額をいう。)以上である場合に限り、行うことができる。

5項

第一項の規定の適用を受けている資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、同項の規定の適用を受けることをやめる日(以下この項において「預貯金等管理終了日」という。)その他内閣府令で定める事項を記載した届出書を内閣総理大臣に提出して、第一項の規定の適用を受けることをやめることができる。


ただし、預貯金等管理終了日における第三種資金移動業に係る履行保証金の額、保全金額 及び前条第一項に規定する信託財産の額の合計額が、当該預貯金等管理終了日の直前の基準日における第三種資金移動業に係る要供託額(当該資金移動業者が第一項の規定の適用を受けることをやめる場合にその営む第三種資金移動業について第四十三条第一項の規定により供託しなければならないこととなる履行保証金の額をいう。)を下回るときは、この限りでない。

1項

内閣総理大臣は、資金移動業の利用者の利益の保護のために必要があると認めるときは、履行保証金保全契約 若しくは履行保証金信託契約を締結した資金移動業者 又はこれらの契約の相手方に対し、保全金額 又は信託財産を換価した額の全部 又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。

1項

一の種別の資金移動業に係る履行保証金は、次の各号いずれかに該当する場合には、政令で定めるところにより、その全部 又は一部を取り戻すことができる。

一 号

直前の基準日(第一種資金移動業にあっては、各営業日)における要供託額(資金移動業者が第四十三条第一項の規定により供託しなければならない履行保証金の額をいう。)が、当該基準日における履行保証金の額、保全金額 及び第四十五条第一項に規定する信託財産の額の合計額を下回るとき。

二 号

第五十九条第一項の権利の実行の手続が終了したとき。

三 号
為替取引に関し負担する債務の履行を完了した場合として政令で定める場合
1項

この節に規定するもののほか、資金移動業者の本店の所在地の変更に伴う履行保証金の保管替え その他履行保証金の供託に関し必要な事項は、内閣府令・法務省令で定める。

1項

資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、資金移動業に係る情報の漏えい、滅失 又はき損の防止 その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならない。

1項

資金移動業者は、資金移動業の一部を第三者に委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)をした場合には、内閣府令で定めるところにより、当該委託に係る業務の委託先に対する指導 その他の当該業務の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。

1項
資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明、手数料 その他の資金移動業に係る契約の内容についての情報の提供、利用者から受け入れた資金のうち為替取引に用いられることがないと認められるものを保有しないための措置 その他の資金移動業の利用者の保護を図り、及び資金移動業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。
1項

資金移動業者(第一種資金移動業を営む者に限る次項において同じ。)は、第一種資金移動業の各利用者に対し、移動する資金の額、資金を移動する日 その他の内閣府令で定める事項が明らかでない為替取引(第一種資金移動業に係るものに限る同項において同じ。)に関する債務を負担してはならない。

2項

資金移動業者は、資金の移動に関する事務を処理するために必要な期間 その他の内閣府令で定める期間を超えて為替取引に関する債務を負担してはならない。

1項

資金移動業者(第三種資金移動業を営む者に限る)は、第三種資金移動業の各利用者に対し、政令で定める額を超える額の債務(第三種資金移動業に係る為替取引に関し負担する債務に限る)を負担してはならない。

1項

資金移動業者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければならない。

一 号

指定資金移動業務紛争解決機関(指定紛争解決機関であってその紛争解決等業務の種別が資金移動業務であるものをいう。以下この条において同じ。)が存在する場合

一の指定資金移動業務紛争解決機関との間で資金移動業に係る手続実施基本契約(第九十九条第一項第八号に規定する手続実施基本契約をいう。次項において同じ。)を締結する措置

二 号

指定資金移動業務紛争解決機関が存在しない場合

資金移動業に関する苦情処理措置 及び紛争解決措置

2項

資金移動業者は、前項の規定により手続実施基本契約を締結する措置を講じた場合には、当該手続実施基本契約の相手方である指定資金移動業務紛争解決機関の商号 又は名称を公表しなければならない。

3項

第一項の規定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間においては、適用しない

一 号

第一項第一号に掲げる場合に該当していた場合において、同項第二号に掲げる場合に該当することとなったとき第百一条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の八十三第一項の規定による紛争解決等業務の廃止の認可 又は第百条第一項の規定による指定の取消しの時に、同号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間

二 号

第一項第一号に掲げる場合に該当していた場合において、同号の一の指定資金移動業務紛争解決機関の紛争解決等業務の廃止が第百一条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の八十三第一項の規定により認可されたとき、又は同号の一の指定資金移動業務紛争解決機関の第九十九条第一項の規定による指定が第百条第一項の規定により取り消されたとき(前号に掲げる場合を除く) その認可 又は取消しの時に、第一項第一号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間

三 号

第一項第二号に掲げる場合に該当していた場合において、同項第一号に掲げる場合に該当することとなったとき第九十九条第一項の規定による指定の時に、同号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間

4項

第一項第二号の「苦情処理措置」とは、利用者からの苦情の処理の業務に従事する使用人 その他の従業者に対する助言 若しくは指導を消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談 その他の消費生活に関する事項について専門的な知識経験を有する者として内閣府令で定める者に行わせること 又はこれに準ずるものとして内閣府令で定める措置をいう。

5項

第一項第二号の「紛争解決措置」とは、利用者との紛争の解決を認証紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号第二条第三号に規定する認証紛争解決手続をいう。第六十二条の十六第五項 及び第六十三条の十二第五項において同じ。)により図ること 又はこれに準ずるものとして内閣府令で定める措置をいう。