市町村は、単独で 又は共同して、都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域内の区域について、都市再生基本方針に基づき、住宅 及び都市機能増進施設(医療施設、福祉施設、商業施設 その他の都市の居住者の共同の福祉 又は利便のため必要な施設であって、都市機能の増進に著しく寄与するものをいう。以下同じ。)の立地の適正化を図るための計画(以下「立地適正化計画」という。)を作成することができる。
都市再生特別措置法
第一節 立地適正化計画の作成等
立地適正化計画には、その区域を記載するほか、おおむね次に掲げる事項を記載するものとする。
住宅 及び都市機能増進施設の立地の適正化に関する基本的な方針
都市の居住者の居住を誘導すべき区域(以下「居住誘導区域」という。)及び居住環境の向上、公共交通の確保 その他の当該居住誘導区域に都市の居住者の居住を誘導するために市町村が講ずべき施策に関する事項
都市機能増進施設の立地を誘導すべき区域(以下「都市機能誘導区域」という。)及び当該都市機能誘導区域ごとにその立地を誘導すべき都市機能増進施設(以下「誘導施設」という。)並びに必要な土地の確保、費用の補助 その他の当該都市機能誘導区域に当該誘導施設の立地を誘導するために市町村が講ずべき施策に関する事項(次号に掲げるものを除く。)
都市機能誘導区域に誘導施設の立地を図るために必要な次に掲げる事業等に関する事項
誘導施設の整備に関する事業
イに掲げる事業の施行に関連して必要となる公共公益施設の整備に関する事業、市街地再開発事業、土地区画整理事業 その他国土交通省令で定める事業
イ 又はロに掲げる事業と一体となってその効果を増大させるために必要な事務 又は事業
居住誘導区域にあっては住宅の、都市機能誘導区域にあっては誘導施設の立地 及び立地の誘導を図るための都市の防災に関する機能の確保に関する指針(以下この条において「防災指針」という。)に関する事項
第二号 若しくは第三号の施策、第四号の事業等 又は防災指針に基づく取組の推進に関連して必要な事項
前各号に掲げるもののほか、住宅 及び都市機能増進施設の立地の適正化を図るために必要な事項
前項第四号に掲げる事項には、市町村が実施する事業等に係るものを記載するほか、必要に応じ、当該市町村以外の者が実施する事業等に係るものを記載することができる。
市町村は、立地適正化計画に当該市町村以外の者が実施する事業等に係る事項を記載するときは、当該事項について、あらかじめ、その者の同意を得なければならない。
第二項第六号に掲げる事項には、居住誘導区域ごとにその立地を誘導すべき居住環境向上施設(病院、店舗 その他の都市の居住者の日常生活に必要な施設であって、居住環境の向上に資するものをいう。以下同じ。)及び必要な土地の確保 その他の当該居住誘導区域に当該居住環境向上施設の立地を誘導するために市町村が講ずべき施策に関する事項を記載することができる。
第二項第六号に掲げる事項には、次に掲げる事項を記載することができる。
都市機能誘導区域内の区域であって、歩行者の移動上の利便性 及び安全性の向上のための駐車場の配置の適正化を図るべき区域(以下「駐車場配置適正化区域」という。)
駐車場配置適正化区域における路外駐車場の配置 及び規模の基準(第百六条において「路外駐車場配置等基準」という。)
駐車場配置適正化区域における駐車施設の機能を集約するために整備する駐車施設(第百七条において「集約駐車施設」という。)の位置 及び規模
市町村は、立地適正化計画に前項各号に掲げる事項を記載するときは、当該事項について、あらかじめ、公安委員会に協議しなければならない。
市町村は、立地適正化計画に第六項第三号に掲げる事項を記載するときは、当該事項について、あらかじめ、都道府県知事(駐車場法第二十条第一項 若しくは第二項 又は第二十条の二第一項の規定に基づき条例を定めている都道府県の知事に限る。)に協議しなければならない。
第二項第六号に掲げる事項には、居住誘導区域にあっては住宅の、都市機能誘導区域にあっては誘導施設の立地の誘導の促進に資する老朽化した都市計画法第四条第六項に規定する都市計画施設の改修に関する事業に関する事項を記載することができる。
第二項第六号に掲げる事項には、居住誘導区域 又は都市機能誘導区域のうち、レクリエーションの用に供する広場、地域における催しに関する情報を提供するための広告塔、良好な景観の形成 又は風致の維持に寄与する並木 その他のこれらの区域における居住者、来訪者 又は滞在者の利便の増進に寄与する施設等であって、居住誘導区域にあっては住宅の、都市機能誘導区域にあっては誘導施設の立地の誘導の促進に資するもの(以下「立地誘導促進施設」という。)の配置 及び利用の状況 その他の状況からみて、これらの区域内の一団の土地の所有者 及び借地権等を有する者(土地区画整理法第九十八条第一項の規定により仮換地として指定された土地にあっては、当該土地に対応する従前の土地の所有者 及び借地権等を有する者)による立地誘導促進施設の一体的な整備 又は管理が必要となると認められる区域 並びに当該立地誘導促進施設の一体的な整備 又は管理に関する事項を記載することができる。
第二項第六号に掲げる事項には、居住誘導区域内の区域であって、防災指針に即した宅地(宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和三十六年法律第百九十一号)第二条第一号に規定する宅地をいう。)における地盤の滑動、崩落 又は液状化による被害の防止を促進する事業(以下この項において「宅地被害防止事業」という。)を行う必要があると認められるもの及び当該宅地被害防止事業に関する事項を記載することができる。
第二項第六号に掲げる事項には、溢水、湛水、津波、高潮 その他による災害の発生のおそれが著しく、かつ、当該災害を防止し、又は軽減する必要性が高いと認められる区域内の土地を含む土地(居住誘導区域内にあるものに限る。)の区域において溢水、湛水、津波、高潮 その他による災害を防止し、又は軽減することを目的とする防災指針に即した土地区画整理事業に関する事項を記載することができる。
第二項第六号に掲げる事項には、居住誘導区域 又は都市機能誘導区域内の区域(溢水、湛水、津波、高潮 その他による災害の防止 又は軽減を図るための措置が講じられた、又は講じられる土地の区域に限る。)であって、次の各号に掲げる建物の区分に応じ当該各号に定める移転を促進するために、防災指針に即した土地 及び当該土地に存する建物についての権利設定等(地上権、賃借権 若しくは使用貸借による権利の設定 若しくは移転 又は所有権の移転をいう。以下同じ。)を促進する事業(以下「居住誘導区域等権利設定等促進事業」という。)を行う必要があると認められる区域(以下「居住誘導区域等権利設定等促進事業区域」という。)並びに当該居住誘導区域等権利設定等促進事業に関する事項を記載することができる。
住宅 居住誘導区域外の区域(溢水、湛水、津波、高潮 その他による災害の発生のおそれのある土地の区域に限る。)から当該居住誘導区域への当該住宅の移転
誘導施設 都市機能誘導区域外の区域(溢水、湛水、津波、高潮 その他による災害の発生のおそれのある土地の区域に限る。)から当該都市機能誘導区域への当該誘導施設の移転
第二項第六号に掲げる事項には、居住誘導区域にあっては住宅の、都市機能誘導区域にあっては誘導施設の立地 及び立地の誘導を図るための低未利用土地の利用 及び管理に関する指針(以下「低未利用土地利用等指針」という。)に関する事項を記載することができる。
前項の規定により立地適正化計画に低未利用土地利用等指針に関する事項を記載するときは、併せて、居住誘導区域 又は都市機能誘導区域のうち、低未利用土地が相当程度存在する区域で、当該低未利用土地利用等指針に即した住宅 又は誘導施設の立地 又は立地の誘導を図るための土地(国 又は地方公共団体が所有する土地で公共施設の用に供されているもの、農地 その他の国土交通省令で定める土地を除く。第五節において同じ。)及び当該土地に存する建物についての権利設定等を促進する事業(以下「低未利用土地権利設定等促進事業」という。)を行う必要があると認められる区域(以下「低未利用土地権利設定等促進事業区域」という。)並びに当該低未利用土地権利設定等促進事業に関する事項を記載することができる。
第二項第六号に掲げる事項には、居住誘導区域外の区域のうち、住宅が相当数存在し、跡地(建築物の敷地であった土地で現に建築物が存しないものをいう。以下同じ。)の面積が現に増加しつつある区域(以下この項において「跡地区域」という。)で、良好な生活環境の確保 及び美観風致の維持のために次に掲げる行為(以下「跡地等の管理等」という。)が必要となると認められる区域(以下「跡地等管理等区域」という。)並びに当該跡地等管理等区域における跡地等の管理等を図るための指針(以下「跡地等管理等指針」という。)に関する事項を記載することができる。
跡地区域内の跡地 及び跡地に存する樹木(以下「跡地等」という。)の適正な管理
跡地区域内の跡地における緑地、広場 その他の都市の居住者 その他の者の利用に供する施設であって国土交通省令で定めるものの整備 及び管理(第百十一条第一項において「緑地等の整備等」という。)
立地適正化計画は、議会の議決を経て定められた市町村の建設に関する基本構想 並びに都市計画法第六条の二の都市計画区域の整備、開発 及び保全の方針に即するとともに、同法第十八条の二の市町村の都市計画に関する基本的な方針 及び都市緑地法第四条第一項に規定する基本計画との調和が保たれたものでなければならない。
立地適正化計画は、都市計画法第六条第一項の規定による都市計画に関する基礎調査の結果に基づき、かつ、政府が法律に基づき行う人口、産業、住宅、建築、交通、工場立地 その他の調査の結果を勘案したものでなければならない。
第二項第二号の居住誘導区域は、立地適正化計画の区域における人口、土地利用 及び交通の現状 及び将来の見通しを勘案して、良好な居住環境が確保され、公共投資 その他の行政運営が効率的に行われるように定めるものとし、都市計画法第七条第一項に規定する市街化調整区域(以下「市街化調整区域」という。)、建築基準法第三十九条第一項に規定する災害危険区域(同条第二項の規定に基づく条例により住居の用に供する建築物の建築が禁止されているものに限る。)その他政令で定める区域については定めないものとする。
第二項第三号の都市機能誘導区域 及び誘導施設は、立地適正化計画の区域における人口、土地利用 及び交通の現状 及び将来の見通しを勘案して、適切な都市機能増進施設の立地を必要な区域に誘導することにより、住宅の立地の適正化が効果的に図られるように定めるものとする。
市町村は、立地適正化計画の作成に当たっては、第二項第二号 及び第三号の施策 並びに同項第四号 及び第九項の事業等において市町村の所有する土地 又は建築物が有効に活用されることとなるよう努めるものとする。
市町村は、立地適正化計画を作成するときは、あらかじめ、公聴会の開催 その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、市町村都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは、都道府県都市計画審議会。第八十四条において同じ。)の意見を聴かなければならない。
市町村は、立地適正化計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県に立地適正化計画の写しを送付しなければならない。
第二項から前項までの規定は、立地適正化計画の変更(第二十二項の規定については、国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)について準用する。
前条第二項第一号に掲げる事項が記載された立地適正化計画が同条第二十三項(同条第二十四項において準用する場合を含む。)の規定により公表されたときは、当該事項は、都市計画法第十八条の二第一項の規定により定められた市町村の都市計画に関する基本的な方針の一部とみなす。
市町村は、国土交通省令で定めるところにより、第八十一条第二項第四号に掲げる事項 又は同条第九項に規定する事項(第四十六条第一項の土地の区域における同条第二項第二号 又は第三号に掲げる事業等であって当該市町村 又は特定非営利活動法人等が実施するものに係るものに限る。)を記載した立地適正化計画を国土交通大臣に提出することができる。
前項の規定により立地適正化計画が提出されたときは、第四十七条第一項の規定による都市再生整備計画の提出があったものとみなして、同条第二項から第四項まで 及び第四十八条から第五十条までの規定を適用する。
この場合において、
第四十七条第二項中
「事業等の実施」とあるのは、
「第八十三条第一項に規定する事業等の実施(特定非営利活動法人等が実施する同項に規定する事業等に要する費用の一部の負担を含む。)」と
する。
市町村は、立地適正化計画を作成した場合においては、おおむね五年ごとに、当該立地適正化計画の区域における住宅 及び都市機能増進施設の立地の適正化に関する施策の実施の状況についての調査、分析 及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、立地適正化計画 及びこれに関連する都市計画を変更するものとする。
市町村は、前項の調査、分析 及び評価を行ったときは、速やかに、その結果を市町村都市計画審議会に報告しなければならない。
市町村都市計画審議会は、必要に応じ、市町村に対し、立地適正化計画の進捗状況について報告を求めることができる。
市町村都市計画審議会は、第二項 又は前項の規定による報告を受けたときは、その報告に係る事項について、市町村に対し、意見を述べることができる。
都市計画決定権者は、都市計画の見直しについての検討 その他の都市計画についての検討、都市計画の案の作成 その他の都市計画の策定の過程において、立地適正化計画が円滑に実施されるよう配慮するものとする。