この法律は、近年の気候の変動等に伴い水資源の循環の適正化に取り組むことが課題となっていることを踏まえ、その一環として雨水の利用が果たす役割に鑑み、 雨水の利用の推進に関し、国等の責務を明らかにするとともに、基本方針等の策定 その他の必要な事項を定めることにより、雨水の利用を推進し、もって水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することを目的とする。
雨水の利用の推進に関する法律
第一章 総則
この法律において「雨水の利用」とは、雨水を一時的に貯留するための施設に貯留された雨水を水洗便所の用、散水の用 その他の用途に使用すること(消火のための使用 その他災害時における使用に備えて確保することを含む。)をいう。
ただし、次に掲げるものにより供給される水の原水として使用することを除く。
水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第八項に規定する水道施設
土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第二項に規定する土地改良事業 又はこれに準ずる事業により整備される農業用用水路
工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第六項に規定する工業用水道施設
この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)又は特殊法人(法律により直接に設立された法人 又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。)のうち、その資本金の全部 若しくは大部分が国からの出資による法人 又は その事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金 若しくは補助金によって得ている法人であって、政令で定めるものをいう。
この法律において「地方独立行政法人」とは、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。
国は、雨水の利用の推進に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。
国 及び独立行政法人等は、自らの雨水の利用を推進するための措置を講ずるよう努めなければならない。
地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じて、雨水の利用の推進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めなければならない。
地方公共団体 及び地方独立行政法人は、自らの雨水の利用を推進するための措置を講ずるよう努めるものとする。
事業者 及び国民は、自らの雨水の利用に努めるとともに、国 又は地方公共団体が実施する雨水の利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
政府は、雨水の利用の推進に関する施策を実施するために必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。