領海等における外国船舶の航行は、 通過(内水においては、新内水に係るものに限る。)又は水域施設等との往来を目的として継続的かつ迅速に行われるものでなければならない。
領海等における外国船舶の航行に関する法律
第二章 外国船舶の航行方法等
外国船舶の船長等は、領海等において、当該外国船舶に次に掲げる行為(以下「停留等」という。)を伴う航行をさせてはならない。
ただし、当該停留等について荒天、海難 その他の危難を避ける場合、人命、他の船舶 又は航空機を救助する場合、海上衝突予防法(昭和五十二年法律第六十二号)その他の法令の規定を遵守する場合 その他の国土交通省令で定めるやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。
停留(水域施設におけるものを除く。)
びょう泊(水域施設におけるものを除く。)
係留(係留施設にするものを除く。)
はいかい等(気象、海象、船舶交通の状況、進路前方の障害物の有無 その他周囲の事情に照らして、船舶の航行において通常必要なものとは認められない進路 又は速力による進行をいう。)
前項に定めるもののほか、外国船舶の船長等は、内水(新内水を除く。以下同じ。)において、当該外国船舶に水域施設等に到着し、又は水域施設等から出発するための航行以外の航行(以下「通過航行」という。)をさせてはならない。
ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
外国船舶の船長等は、領海等において当該外国船舶に停留等をさせ、又は内水において当該外国船舶に通過航行をさせる必要があるときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、当該外国船舶の名称、船籍港、停留等 又は通過航行をさせようとする理由 その他の国土交通省令で定める事項(次項において「通報事項」という。)を最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。
ただし、停留等 又は通過航行をさせようとする理由が明らかである場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
前項の場合において、急迫した危険を避けるため あらかじめ通報することができないときは、 外国船舶の船長等は、当該危険を避けた後 直ちに、通報事項を最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならない。
前二項の規定により外国船舶の船長等がしなければならない通報は、当該外国船舶の所有者 又は船長等 若しくは所有者の代理人もすることができる。
第一項 又は第二項の規定による通報(前項の規定によりされたものを含む。次条第一項において同じ。)を受けた海上保安庁の事務所の長は、 必要があると認めるときは、当該通報に係る外国船舶の船長等に対して、助言 又は指導をするものとする。
海上保安庁長官は、領海等において現に停留等を伴う航行を行っており、又は内水において現に通過航行を行っている外国船舶と思料される船舶があり、当該停留等 又は当該通過航行について、前条第一項 若しくは第二項の規定による通報がされておらず、又は その通報の内容に虚偽の事実が含まれている疑いがあると認められる場合において、周囲の事情から合理的に判断して、当該船舶の船長等が第四条の規定に違反している疑いがあると認められ、かつ、この法律の目的を達成するため、当該船舶が当該停留等を伴う航行 又は当該通過航行を行っている理由を確かめる必要があると認めるときは、海上保安官に、当該船舶に立ち入り、書類 その他の物件を検査させ、又は当該船舶の乗組員 その他の関係者に質問させることができる。
前項の規定による立入検査をする海上保安官は、制服を着用し、又は その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
海上保安官は、領海等において現に停留等を伴う航行を行っている外国船舶と認められる船舶があり、 当該船舶の外観、航海の態様、乗組員等の挙動 その他周囲の事情から合理的に判断して、当該船舶の船長等が第四条第一項の規定に違反していることが明らかであると認められるときは、当該船長等に対し、領海等において当該船舶に停留等を伴わない航行をさせるべきことを勧告することができる。
海上保安庁長官は、第六条第一項の規定による立入検査の結果、 当該船舶の船長等が第四条の規定に違反していると認めるときは、当該船長等に対し、当該船舶を領海等から退去させるべきことを命ずることができる。
海上保安庁長官は、前条の勧告を受けた船長等が当該勧告に従わない場合であって、領海等における外国船舶の航行の秩序を維持するために必要があると認めるときは、当該船長等に対し、当該船舶を領海等から退去させるべきことを命ずることができる。