労働契約法

平成十九年法律第百二十八号
略称 : 労契法 
分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 令和二年四月一日 ( 2020年 4月1日 )
@ 最終更新 : 平成三十年法律第七十一号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 10時21分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 労働契約の成立及び変更

  • 第三章 労働契約の継続及び終了

  • 第四章 期間の定めのある労働契約

  • 第五章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、労働者 及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則 その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定 又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

1項

この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。

2項

この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

1項

労働契約は、労働者 及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

2項

労働契約は、労働者 及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

3項

労働契約は、労働者 及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

4項

労働者 及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

5項

労働者 及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

1項

使用者は、労働者に提示する労働条件 及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。

2項

労働者 及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

1項

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

第二章 労働契約の成立及び変更

1項

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者 及び使用者が合意することによって成立する。

1項

労働者 及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。


ただし、労働契約において、労働者 及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

1項

労働者 及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

1項

使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない


ただし次条の場合は、この限りでない。

1項

使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況 その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。


ただし、労働契約において、労働者 及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

1項

就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法昭和二十二年法律第四十九号第八十九条 及び第九十条の定めるところによる。

1項

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。


この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

1項

就業規則が法令 又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第七条第十条 及び前条の規定は、当該法令 又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない

第三章 労働契約の継続及び終了

1項

使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情 その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

1項

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質 及び態様 その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

1項

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

第四章 期間の定めのある労働契約

1項

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない

2項

使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

1項

同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。


この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く)について別段の定めがある部分を除く)とする。

2項

当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

1項

有期労働契約であって次の各号いずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合 又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

一 号

当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二 号

当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

第五章 雑則

1項

第十二条 及び前章の規定は、船員法(昭和二十二年法律第百号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。

2項

船員に関しては、

第七条
第十二条」とあるのは
船員法昭和二十二年法律第百号)第百条」と、

第十条
第十二条」とあるのは
「船員法第百条」と、

第十一条
労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第八十九条 及び第九十条」とあるのは
「船員法第九十七条 及び第九十八条」と、

第十三条
前条」とあるのは
「船員法第百条」と

する。

1項

この法律は、国家公務員 及び地方公務員については、適用しない

2項

この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない