法務大臣は、受刑者証人移送以外の共助の要請について、第二条各号(第三条第一項ただし書の規定により法務大臣が共助の要請の受理を行う場合にあつては、第二条各号 又は前条各号)のいずれにも該当せず、かつ、要請に応ずることが相当であると認めるときは、次項に規定する場合を除き、次の各号のいずれかの措置を採るものとする。
国際捜査共助等に関する法律
第二章 証拠の収集等
相当と認める地方検察庁の検事正に対し、関係書類を送付して、共助に必要な証拠の収集を命ずること。
国家公安委員会に共助の要請に関する書面を送付すること。
海上保安庁長官 その他の刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百九十条に規定する司法警察職員として職務を行うべき者の置かれている国の機関の長に共助の要請に関する書面を送付すること。
法務大臣は、共助の要請が裁判所、検察官 又は司法警察員の保管する訴訟に関する書類の提供に係るものであるときは、その書類の保管者に共助の要請に関する書面を送付するものとする。
法務大臣は、第一項に規定する措置 その他の共助に関する措置を採るため必要があると認めるときは、関係人の所在 その他必要な事項について調査を行うことができる。
国家公安委員会は、前条第一項第二号の書面の送付を受けたときは、相当と認める警察庁 又は都道府県警察に対し、共助に必要な証拠の収集を指示するものとする。
この場合において、都道府県警察に対して指示を行うときは、当該都道府県警察に関係書類を送付するものとする。
第五条第一項第一号の命令を受けた検事正は、その庁の検察官に共助に必要な証拠を収集するための処分をさせなければならない。
警察庁が前条の指示を受けた場合においては、警察庁長官は、警察庁の司法警察員に前項の処分をさせなければならない。
前条の指示を受けた都道府県警察の警視総監 又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、その都道府県警察の司法警察員に第一項の処分をさせなければならない。
第五条第一項第三号の書面の送付を受けた国の機関の長は、その機関の相当と認める司法警察員に第一項の処分をさせなければならない。
検察官 又は司法警察員は、共助に必要な証拠の収集に関し、次に掲げる処分をすることができる。
関係人の出頭を求めてこれを取り調べること。
書類 その他の物の所有者、所持者 又は保管者にその物の提出を求めること。
公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めること。
電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者 又は自己の業務のために不特定 若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時 その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、三十日を超えない期間(延長する場合には、通じて六十日を超えない期間)を定めて、これを消去しないよう、書面で求めること。
検察官 又は司法警察員は、共助に必要な証拠の収集に関し、必要があると認めるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索 又は検証をすることができる。
検察官 又は司法警察員は、前二項の規定により収集すべき証拠が業務書類等(業務を遂行する過程において作成され、又は保管される書類 その他の物をいう。以下 この項において同じ。)である場合において、当該業務書類等の作成 又は保管の状況に関する事項の証明に係る共助の要請があるときは、作成者、保管者 その他の当該業務書類等の作成 又は保管の状況に係る業務上の知識を有すると認める者に対し、当該要請に係る事項についての証明書の提出を求めることができる。
検察官 又は司法警察員は、前項の規定により証明書の提出を求めるに当たつては、その提出を求める者に対し、虚偽の証明書を提出したときは刑罰が科されることがある旨を告知しなければならない。
検察官 又は司法警察員は、検察事務官 又は司法警察職員に第一項から 第三項までの処分をさせることができる。
前条第三項の規定による証明書の提出を求められた者が、虚偽の証明書を提出したときは、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
ただし、その者の当該行為が刑法(明治四十年法律第四十五号)の罪に触れるときは、これを適用しない。
検察官は、次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判官に証人尋問を請求することができる。
共助の要請が証人尋問に係るものであるとき。
関係人が第八条第一項の規定による出頭 又は取調べに対する供述を拒んだとき。
第八条第三項の規定による証明書の提出を求められた者がこれを拒んだとき。
令状 又は証人尋問の請求は、第二条第三号の書面を提出して、しなければならない。
ただし、条約に別段の定めがある場合には、この限りでない。
令状 又は証人尋問の請求は請求する者の所属する官公署の所在地を管轄する地方裁判所の裁判官に、 司法警察職員のした押収 又は押収物の還付に関する処分に対する不服申立ては司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所に、しなければならない。
検察官、検察事務官 若しくは司法警察職員のする処分、裁判官のする令状の発付 若しくは証人尋問 又は裁判所 若しくは裁判官のする裁判については、この法律に特別の定めがあるもののほか、その性質に反しない限り、刑事訴訟法(第一編第二章 及び第五章から 第十三章まで、第二編第一章、第三編第一章 及び第四章 並びに第七編に限る。)及び刑事訴訟費用に関する法令の規定を準用する。
検事正は、共助に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、収集した証拠を法務大臣に送付しなければならない。
第五条第一項第三号の国の機関の長が証拠の収集を終えたときも、同様とする。
都道府県公安委員会は、警察本部長が共助に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、収集した証拠を国家公安委員会に送付しなければならない。
国家公安委員会は、警察庁長官が共助に必要な証拠の収集を終えたとき 又は前項の規定により証拠の送付を受けたときは、速やかに、意見を付して、収集した証拠 又は送付を受けた証拠を法務大臣に送付するものとする。
第五条第二項の規定により共助の要請に関する書面の送付を受けた訴訟に関する書類の保管者は、速やかに、意見を付して、当該書類 又はその謄本を法務大臣に送付するものとし、送付することができないときは、共助の要請に関する書面を法務大臣に返送しなければならない。
法務大臣は、第一項、第三項 又は前項の規定による送付を受けた場合において、必要があると認めるときは、証拠の使用 又は返還に関し要請国が遵守しなければならない条件を定めるものとする。
法務大臣は、前項の条件を遵守する旨の要請国の保証がないときは、共助をしないものとする。
法務大臣は、第五条第一項第二号 若しくは第三号 又は第二項の措置を採つた後において、共助をしないことを相当と認めたときは、遅滞なく、その旨を共助の要請に関する書面の送付を受けた者に通知するものとする。
法務大臣は、要請が第四条第一号に該当するものと認めて共助をしないこととするとき、 要請に応ずることが相当でないと認めて共助をしないこととするとき 及び第十四条第五項の条件を定めるときは、外務大臣と協議するものとする。
法務大臣は、第五条第一項各号の措置を採ることとするときは、要請が証人尋問に係る場合 その他共助の要請に関する書面において証拠の収集を行う機関が明らかな場合を除き、所管に応じて、国家公安委員会 及び同項第三号の国の機関の長と協議するものとする。
この章に定めるもののほか、令状の発付、証人尋問 及び不服申立てに関する手続について必要な事項は、最高裁判所が定める。
国家公安委員会は、国際刑事警察機構から外国の刑事事件の捜査について協力の要請を受けたときは、次の各号のいずれかの措置を採ることができる。
第五条第一項第三号の国の機関の長に協力の要請に関する書面を送付すること。
第二条(第三号を除く。)の規定は、前項の場合に準用する。
国家公安委員会は、第一項に規定する措置を採るため必要があると認めるときは、警察庁の職員に関係人の所在 その他必要な事項について調査させることができる。
国家公安委員会は、第一項の措置に関し、要請において調査を行う機関が明らかな場合を除き、 所管に応じて、同項第二号の国の機関の長と協議するものとする。
国家公安委員会は、第一項の措置を採ることとするときは、法務大臣の意見を聴くものとする。
警察庁が第一項第一号の指示を受けた場合においては、警察庁長官は、警察庁の警察官に調査のための必要な措置を採ることを命ずるものとする。
第一項第一号の指示を受けた都道府県警察の警察本部長は、その都道府県警察の警察官に調査のための必要な措置を採ることを命ずるものとする。
第一項第二号の規定により協力の要請に関する書面の送付を受けた国の機関の長は、司法警察職員であるその機関の職員に当該要請に係る調査のための必要な措置を採ることを命ずることができる。
警察官 又は前項の国の機関の職員は、前三項の調査に関し、関係人に質問し、実況見分をし、書類 その他の物の所有者、所持者 若しくは保管者にその物の提示を求め、 又は公務所 若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。