起業者は、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた日から一年以内に限り、収用し、又は使用しようとする土地が所在する都道府県の収用委員会に収用 又は使用の裁決を申請することができる。
土地収用法
第二節 裁決手続の開始
土地所有者 又は土地に関して権利を有する関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者 又は仮差押債権者である関係人を除く。)は、自己の権利に係る土地について、起業者に対し、前項の規定による申請をすべきことを請求することができる。
ただし、一団の土地については、当該収用 又は使用に因つて残地となるべき部分を除き、分割して請求することができない。
前項の規定による請求の手続に関して必要な事項は、国土交通省令で定める。
起業者は、前条の規定によつて収用委員会の裁決を申請しようとするときは、国土交通省令で定める様式に従い、裁決申請書に次に掲げる書類を添付して、これを収用委員会に提出しなければならない。
収用し、又は使用しようとする土地の面積(土地が分割されることになる場合においては、その全部の面積を含む。)
第三十六条第一項の土地調書 又はその写し
前項第二号ニに掲げる事項に関して起業者が過失がなくて知ることができないものについては、同項の規定による申請書の添附書類に記載することを要しない。
第十九条の規定は、前条の規定による裁決申請書 及びその添附書類の欠陥の補正について準用する。
この場合において、
「前条」とあるのは
「第四十条」と、
「事業認定申請書」とあるのは
「裁決申請書」と、
「国土交通大臣 又は都道府県知事」とあるのは
「収用委員会」と
読み替えるものとする。
収用委員会は、第四十条第一項の規定による裁決申請書 及びその添附書類を受理したときは、前条において準用する第十九条第二項の規定により裁決申請書を却下する場合を除くの外、市町村別に当該市町村に関係がある部分の写を当該市町村長に送付するとともに、添附書類に記載されている土地所有者 及び関係人に裁決の申請があつた旨の通知をしなければならない。
市町村長は、前項の書類を受け取つたときは、直ちに、裁決の申請があつた旨 及び第四十条第一項第二号イに掲げる事項を公告し、公告の日から二週間 その書類を公衆の縦覧に供しなければならない。
市町村長は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、公告の日を収用委員会に報告しなければならない。
第二十四条第四項から第六項までの規定は、市町村長が第一項の書類を受け取つた日から二週間を経過しても第二項の規定による手続を行なわない場合に準用する。
この場合において、
同条第四項中
「起業地」とあるのは、
「裁決の申請に係る土地」と
読み替えるものとする。
都道府県知事は、収用委員会に対して前項の規定により第二項の規定による公衆の縦覧に供しなければならない書類の送付を求めることができる。
都道府県知事は、第四項の規定により第二項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、公告の日を収用委員会に通知しなければならない。
前条第二項の規定による公告があつたときは、土地所有者 及び関係人は、同条の縦覧期間内に、収用委員会に意見書を提出することができる。
但し、縦覧期間が経過した後において意見書が提出された場合においても、収用委員会は、相当の理由があると認めるときは、当該意見書を受理することができる。
前条第二項の規定による公告があつたときは、その公告があつた土地 及びこれに関する権利について仮処分をした者 その他損失の補償の決定によつて権利を害される虞のある者(以下「準関係人」と総称する。)は、収用委員会の審理が終るまでは、自己の権利が影響を受ける限度において、損失の補償に関して収用委員会に意見書を提出することができる。
土地所有者、関係人 及び準関係人は、前二項の規定による意見書において、事業の認定に対する不服に関する事項 その他の事項であつて、収用委員会の審理と関係がないものを記載することができない。
第一項 又は第二項の規定による意見書に、前項に規定する収用委員会の審理と関係がない事項が記載されている場合における第六十三条第一項の規定の適用については、初めから当該事項の記載がなかつたものとみなす。
第三十六条第一項の土地調書の作成前に第三十九条第二項の規定による請求があつたときは、第四十条第一項の規定にかかわらず、同項第二号の書類については、同号イ、ハ 及びヘに掲げる事項 並びに登記簿に現われた土地所有者 及び関係人の氏名 及び住所を記載すれば足りるものとし、同項第三号に掲げる書類は、添付することを要しない。
起業者は、前項の規定により添付書類の一部を省略して裁決を申請したときは、第三十六条第一項の土地調書の作成後、速やかに、国土交通省令で定めるところにより、第四十条第一項の規定による添付書類中省略された部分を補充しなければならない。
この場合においては、その補充があつたときに、同項の規定による裁決申請書 及びその添付書類を収用委員会が受理したものとみなして、前二条の規定を適用する。
前条第一項の規定により添附書類の一部を省略して裁決の申請があつたときは、収用委員会は、第四十一条において準用する第十九条第二項の規定により裁決申請書を却下する場合を除くの外、申請に係る土地が所在する市町村の長 並びに添附書類に記載されている土地所有者 及び関係人に裁決の申請があつた旨の通知をしなければならない。
市町村長は、前項の通知を受けたときは、直ちに、通知に係る土地について裁決の申請があつた旨を二週間公告しなければならない。
第四十二条第三項、第四項 及び第六項の規定は、前項の規定による公告について準用する。
この場合において、
同条第四項中
「書類を受け取つた」とあるのは、
「通知を受けた」と
読み替えるものとする。
収用委員会は、第四十四条第一項の規定により添附書類の一部を省略して裁決の申請があつたときは、前条第二項に規定する公告期間を経過した後、これを省略しないで裁決の申請があつたときは、第四十二条第二項に規定する縦覧期間を経過した後、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより裁決手続の開始を決定してその旨を公告し、かつ、申請に係る土地を管轄する登記所に、その土地 及びその土地に関する権利について、収用 又は使用の裁決手続の開始の登記(以下単に「裁決手続開始の登記」という。)を嘱託しなければならない。
裁決手続開始の登記があつた後において、当該登記に係る権利を承継し、当該登記に係る権利について仮登記 若しくは買戻しの特約の登記をし、又は当該登記に係る権利について差押え、仮差押えの執行 若しくは仮処分の執行をした者は、当該承継、仮登記上の権利 若しくは買戻権 又は当該処分を起業者に対抗することができない。
ただし、相続人 その他の一般承継人 及び当該裁決手続開始の登記前に登記された買戻権の行使 又は当該裁決手続開始の登記前にされた差押え 若しくは仮差押えの執行に係る国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)による滞納処分(その例による滞納処分を含むものとし、以下単に「滞納処分」という。)、強制執行 若しくは担保権の実行としての競売(その例による競売を含むものとし、以下単に「競売」という。)により権利を取得した者の当該権利の承継については、この限りでない。
裁決手続開始の登記前においては、土地が収用され、又は使用されることによる損失の補償を請求する権利については、差押え、仮差押えの執行、譲渡 又は質権の設定をすることができない。
裁決手続開始の登記後においても、その登記に係る権利で、その登記前に差押え 又は仮差押えの執行がされているもの(質権、抵当権 その他の権利で、当該差押え 又は仮差押えの執行に係る滞納処分、強制執行 又は競売によつて消滅すべきものを含む。)に対する損失の補償を請求する権利につき、同様とする。
収用委員会は、第四十二条第二項に規定する縦覧期間を経過した後、遅滞なく、審理を開始しなければならない。
収用委員会は、審理を開始する場合においては、起業者、第四十条第一項の規定による裁決申請書の添附書類に記載されている土地所有者 及び関係人 並びに第四十三条 又は第八十七条ただし書の規定によつて意見書を提出した者に、あらかじめ審理の期日 及び場所を通知しなければならない。
収用委員会は、審理の促進を図り、裁決が遅延することのないように努めなければならない。