地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律

# 平成二十年法律第四十号 #
略称 : 歴史まちづくり法 

第一節 歴史的風致形成建造物

分類 法律
カテゴリ   都市計画
@ 施行日 : 令和三年六月十四日 ( 2021年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第二十二号による改正
最終編集日 : 2024年 07月09日 12時11分


1項

市町村長は、認定歴史的風致維持向上計画に記載された第五条第二項第六号の計画期間(以下「認定計画期間」という。)内に限り、当該認定歴史的風致維持向上計画に記載された同項第四号の方針に即し、認定歴史的風致維持向上計画に記載された重点区域(以下「認定重点区域」という。)内の歴史上価値の高い重要無形文化財、登録無形文化財、重要無形民俗文化財(文化財保護法第七十八条第一項に規定する重要無形民俗文化財をいう。)又は登録無形民俗文化財(同法第九十条の六第一項に規定する登録無形民俗文化財をいう。)の用に供されることによりそれらの価値の形成に寄与している建造物 その他の地域の歴史的な建造物(重要文化財建造物等 及び重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物群(同法第二条第一項第六号に規定する伝統的建造物群をいう。第十七条第一項において同じ。)を構成している建造物を除く)であって、現に当該認定重点区域における歴史的風致を形成しており、かつ、その歴史的風致の維持 及び向上のためにその保全を図る必要があると認められるもの(これと一体となって歴史的風致を形成している土地 又は物件を含む。)を、歴史的風致形成建造物として指定することができる。

2項

市町村長は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、当該建造物の所有者(所有者が二人以上いる場合にあっては、その全員)及び当該市町村の教育委員会の意見を聴くとともに、当該建造物が公共施設である場合にあっては、当該公共施設の管理者(当該市町村を除く)に協議し、その同意を得なければならない。


ただし、当該市町村が文化財保護法第五十三条の八第一項に規定する特定地方公共団体(以下単に「特定地方公共団体」という。)であるときは、当該市町村の教育委員会の意見を聴くことを要しない。

3項

市町村の教育委員会は、前項の規定により意見を聴かれた場合において、当該建造物が文化財保護法第二条第一項第一号に規定する有形文化財、同項第三号に規定する民俗文化財 又は同項第四号に規定する記念物(以下「有形文化財等」という。)に該当すると認めるときは、その旨を市町村長に通知しなければならない。

1項

認定重点区域内の建造物の所有者は、認定計画期間内に限り、当該建造物が前条第一項に規定する建造物に該当すると思料するときは、主務省令で定めるところにより、市町村長に対し、当該建造物を歴史的風致形成建造物として指定することを提案することができる。


この場合において、当該建造物に当該提案に係る所有者以外の所有者がいるときは、あらかじめ、その全員の合意を得なければならない。

2項

支援法人は、認定計画期間内に限り、認定重点区域内の建造物が前条第一項に規定する建造物に該当すると思料するときは、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該建造物の所有者(所有者が二人以上いる場合にあっては、その全員)の同意を得て、市町村長に対し、当該建造物を歴史的風致形成建造物として指定することを提案することができる。

3項

市町村長は、前二項の規定による提案が行われた場合において、当該提案に係る建造物について前条第一項の規定による指定をしないこととしたときは、遅滞なく、その旨 及びその理由を当該提案をした者に通知しなければならない。

4項

市町村長は、前項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ、当該市町村の教育委員会の意見を聴かなければならない。


ただし、当該市町村が特定地方公共団体であるときは、この限りでない。

1項

市町村長は、第十二条第一項の規定による指定をしたときは、直ちに、その旨(当該歴史的風致形成建造物が同条第三項の規定による通知がなされた建造物である場合にあっては、当該歴史的風致形成建造物が有形文化財等に該当する旨を含む。)を当該歴史的風致形成建造物の所有者(所有者が二人以上いる場合にあってはその全員とし、当該歴史的風致形成建造物の指定が前条第二項の規定による提案に基づくものである場合にあってはその提案をした支援法人を含む。第十七条第三項において同じ。)に通知しなければならない。

2項

市町村は、第十二条第一項の規定による指定をしたときは、遅滞なく、条例 又は規則で定めるところにより、これを表示する標識を設置しなければならない。

1項

歴史的風致形成建造物の増築、改築、移転 又は除却をしようとする者は、当該増築、改築、移転 又は除却に着手する日の三十日前までに、主務省令で定めるところにより、行為の種類、場所、着手予定日 その他主務省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。


ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 号
通常の管理行為、軽易な行為 その他の行為で政令で定めるもの
二 号
非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 号

都市計画法第四条第十五項に規定する都市計画事業の施行として行う行為 又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

四 号

前三号に掲げるもののほか、これらに類するものとして政令で定める行為

2項

前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち主務省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

3項

市町村長は、第一項 又は前項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が当該歴史的風致形成建造物の保全に支障を来すものであると認めるときは、その届出をした者に対し、認定歴史的風致維持向上計画に記載された第五条第二項第五号に掲げる事項を勘案して、その届出に係る行為に関し設計の変更 その他の必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

4項

市町村長は、前項の規定による勧告をしようとする場合において、当該歴史的風致形成建造物が第十二条第三項の規定による通知がなされた建造物であるときは、あらかじめ、当該市町村の教育委員会の意見を聴かなければならない。


ただし、当該市町村が特定地方公共団体であるときは、この限りでない。

5項

市町村長は、第三項の規定による勧告を受けた者の申出があった場合において、当該歴史的風致形成建造物の保全を図るために必要があると認めるときは、その者に対し、当該歴史的風致形成建造物に関する権利の処分についてのあっせん その他の必要な措置を講ずるものとする。

6項

国の機関 又は地方公共団体が行う行為については、前各項の規定は、適用しない


この場合において、第一項の規定による届出を要する行為をしようとする者が国の機関 又は地方公共団体であるときは、当該国の機関 又は地方公共団体は、あらかじめ、その旨を市町村長に通知しなければならない。

7項

市町村長は、前項の規定による通知があった場合において、当該歴史的風致形成建造物の保全を図るために必要があると認めるときは、その必要な限度において、当該国の機関 又は地方公共団体に対し、認定歴史的風致維持向上計画に記載された第五条第二項第五号に掲げる事項を勘案して、当該歴史的風致形成建造物の保全のため講ずべき措置について協議を求めることができる。

1項

歴史的風致形成建造物の所有者 その他歴史的風致形成建造物の管理について権原を有する者は、当該歴史的風致形成建造物の保全に支障を来さないよう、適切に管理しなければならない。

1項

市町村長は、歴史的風致形成建造物が重要文化財建造物等 又は重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的建造物群を構成する建造物に該当するに至ったとき、又は滅失、毀損 その他の事由により歴史的風致形成建造物の指定の理由が消滅したときは、遅滞なく、当該歴史的風致形成建造物の指定を解除しなければならない。

2項

市町村長は、歴史的風致形成建造物について、公益上の理由 その他特別な理由があるときは、その指定を解除することができる。


この場合において、当該歴史的風致形成建造物が第十二条第三項の規定による通知がなされた建造物であるときは、あらかじめ、当該市町村の教育委員会の意見を聴かなければならない。


ただし、当該市町村が特定地方公共団体であるときは、当該市町村の教育委員会の意見を聴くことを要しない。

3項

市町村長は、前二項の規定により歴史的風致形成建造物の指定を解除したときは、直ちに、その旨を当該歴史的風致形成建造物の所有者に通知しなければならない。

1項
歴史的風致形成建造物の所有者が変更したときは、新たに所有者となった者は、遅滞なく、その旨を市町村長に届け出なければならない。
1項

市町村長は、歴史的風致形成建造物に関する台帳を作成し、これを保管しなければならない。

2項

前項の台帳の作成 及び保管に関し必要な事項は、主務省令で定める。

1項
市町村長は、必要があると認めるときは、歴史的風致形成建造物の所有者に対し、その現状について報告を求めることができる。
1項

第十四条第一項の規定による通知(当該歴史的風致形成建造物が有形文化財等に該当する旨をその内容に含むものに限る)を受けた歴史的風致形成建造物(文化財保護法第二条第一項第一号に規定する有形文化財、同法第九十条第三項に規定する登録有形民俗文化財 又は同法第百三十三条に規定する登録記念物であるものを除く。以下この項において同じ。)の所有者 その他当該歴史的風致形成建造物の管理について権原を有する者は、文部科学省令で定めるところにより、文化庁長官に対し、当該歴史的風致形成建造物の管理 又は修理に関する技術的指導を求めることができる。

2項

前項に定めるもののほか、歴史的風致形成建造物の所有者 その他歴史的風致形成建造物の管理について権原を有する者は、市町村長 又は支援法人に対し、当該歴史的風致形成建造物の管理 又は修理に関し必要な助言 その他の援助を求めることができる。