起業者(土地収用法第八条第一項に規定する起業者をいう。以下同じ。)は、同法第二十条の事業の認定を受けた収用適格事業について、その起業地(同法第十七条第一項第二号に規定する起業地をいう。)内にある特定所有者不明土地を収用し、又は使用しようとするときは、同法第二十六条第一項の規定による告示があった日(同法第三十一条の規定により収用 又は使用の手続が保留されていた特定所有者不明土地にあっては、同法第三十四条の三の規定による告示があった日)から一年以内に、当該特定所有者不明土地の所在地を管轄する都道府県知事に対し、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定を申請することができる。
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法
第一款 収用適格事業のための特定所有者不明土地の収用又は使用に関する特例
前項の規定による裁定の申請(以下この款において「裁定申請」という。)をしようとする起業者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した裁定申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
収用し、又は使用しようとする特定所有者不明土地(以下この款(次条第一項各号列記以外の部分 及び第二十九条第一項を除く。)において単に「特定所有者不明土地」という。)の所在、地番、地目 及び地積
特定所有者不明土地の所有者の全部 又は一部を確知することができない事情
特定所有者不明土地に関する所有権 その他の権利を取得し、又は消滅させる時期
特定所有者不明土地等(特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある物件をいう。次項第二号ハ 及び第三十一条第三項において同じ。)の引渡し 又は当該物件の移転の期限(第三十二条第二項第三号において「特定所有者不明土地等の引渡し等の期限」という。)
特定所有者不明土地を使用しようとする場合においては、その方法 及び期間
前項の裁定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
土地収用法第四十条第一項第一号の事業計画書に記載すべき事項に相当するものとして国土交通省令で定める事項を記載した事業計画書
次に掲げる事項を記載した補償金額見積書
特定所有者不明土地の面積(特定所有者不明土地を含む一団の土地が分割されることとなる場合にあっては、当該一団の土地の全部の面積を含む。)
特定所有者不明土地にある物件の種類 及び数量
特定所有者不明土地等の確知所有者の全部の氏名 又は名称 及び住所
特定所有者不明土地の確知関係人(土地収用法第八条第三項に規定する関係人(ホにおいて単に「関係人」という。)であって、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお確知することができないもの以外の者をいう。次条第二項において同じ。)の全部の氏名 又は名称 及び住所 並びにその権利の種類 及び内容
特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等(特定所有者不明土地の所有者 又は関係人をいう。以下同じ。)が受ける損失の補償金の見積額 及びその内訳
その他国土交通省令で定める書類
都道府県知事は、裁定申請があった場合においては、起業者が収用し、又は使用しようとする土地が特定所有者不明土地に該当しないと認めるとき その他当該裁定申請が相当でないと認めるときを除き、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公告し、前条第二項の裁定申請書 及びこれに添付された同条第三項各号に掲げる書類を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
特定所有者不明土地の所在、地番 及び地目
次のイ 又はロに掲げる者は、縦覧期間内に、国土交通省令で定めるところにより、その権原を証する書面を添えて、都道府県知事に当該イ 又はロに定める事項を申し出るべき旨
特定所有者不明土地所有者等 又は特定所有者不明土地の準関係人(土地収用法第四十三条第二項に規定する準関係人をいう。)であって、前条第二項の裁定申請書 又は同条第三項第二号の補償金額見積書に記載された事項(裁定申請書にあっては、同条第二項第一号、第二号 及び第四号に掲げる事項を除く。)について異議のあるもの
当該異議の内容 及びその理由
特定所有者不明土地の所有者であって、前条第三項第二号の補償金額見積書に特定所有者不明土地の確知所有者として記載されていないもの(イに掲げる者を除く。)
当該特定所有者不明土地の所有者である旨
都道府県知事は、前項の規定による公告をしようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、裁定申請があった旨を、前条第三項第二号の補償金額見積書に記載された特定所有者不明土地の確知所有者 及び確知関係人に通知しなければならない。
都道府県知事は、裁定申請があった場合において、起業者が収用し、又は使用しようとする土地が特定所有者不明土地に該当しないと認めるとき その他当該裁定申請が相当でないと認めるときは、当該裁定申請を却下しなければならない。
都道府県知事は、前条第一項の規定による公告をした場合において、同項の縦覧期間内に同項第三号イの規定による申出があったとき 又は同号ロに掲げる者の全てから同号ロの規定による申出があったときは、当該公告に係る裁定申請を却下しなければならない。
都道府県知事は、前二項の規定により裁定申請を却下したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その理由を示して、その旨を当該裁定申請をした起業者に通知しなければならない。
都道府県知事は、裁定申請があった場合においては、前条第一項 又は第二項の規定により該裁定申請を却下するときを除き、第二十八条第一項の縦覧期間の経過後遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定手続の開始を決定してその旨を公告し、かつ、当該特定所有者不明土地の所在地を管轄する登記所に、当該特定所有者不明土地 及び当該特定所有者不明土地に関する権利について、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定手続の開始の登記を嘱託しなければならない。
土地収用法第四十五条の三の規定は、前項の裁定手続の開始の登記について準用する。
第一項の規定による裁定手続の開始の決定については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。
裁定申請に係る特定所有者不明土地については土地収用法第三十九条第一項の規定による裁決の申請をすることができず、同項の規定による裁決の申請に係る特定所有者不明土地については裁定申請をすることができない。
裁定申請に係る特定所有者不明土地については、土地収用法第二十九条第一項の規定は、適用しない。
裁定申請に係る特定所有者不明土地等については、土地収用法第三十六条第一項の規定にかかわらず、同項の土地調書 及び物件調書を作成することを要しない。
裁定申請に係る特定所有者不明土地について、第二十八条第一項の規定による公告があるまでの間に土地収用法第三十九条第二項の規定による請求があったときは、当該裁定申請は、なかったものとみなす。
裁定申請について第二十八条第一項の規定による公告があったときは、当該裁定申請に係る特定所有者不明土地については、土地収用法第三十九条第二項の規定による請求をすることができない。
第二十九条第二項の規定により裁定申請が却下された場合における当該裁定申請に係る特定所有者不明土地についての土地収用法第二十九条第一項 及び第三十九条第一項の規定の適用については、
これらの規定中
「一年以内」とあるのは、
「特定期間(当該事業に係る特定所有者不明土地(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成三十年法律第四十九号)第二条第二項に規定する特定所有者不明土地をいう。)について同法第二十七条第一項の規定による裁定の申請があつた日から同法第二十九条第二項の規定による処分に係る同条第三項の規定による通知があつた日までの期間をいう。)を除いて一年以内」と
する。
都道府県知事は、第二十九条第一項 又は第二項の規定により裁定申請を却下するとき 及び裁定申請が次の各号のいずれかに該当するときを除き、裁定申請をした起業者が当該裁定申請に係る事業を実施するため必要な限度において、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定をしなければならない。
裁定申請に係る事業が土地収用法第二十六条第一項の規定により告示された事業と異なるとき。
裁定申請に係る事業計画が土地収用法第十八条第二項の規定により事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき。
前項の裁定(以下この款において単に「裁定」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
特定所有者不明土地の所在、地番、地目 及び面積
特定所有者不明土地に関する所有権 その他の権利を取得し、又は消滅させる時期
特定所有者不明土地等の引渡し等の期限
特定所有者不明土地を使用する場合においては、その方法 及び期間
特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等が受ける損失の補償金の額
第三十五条第二項の規定による請求書 又は要求書の提出があった場合においては、その採否の決定 その他当該請求 又は要求に係る損失の補償の方法に関し必要な事項
裁定は、前項第一号 及び第四号に掲げる事項については裁定申請の範囲を超えてはならず、同項第五号の補償金の額については裁定申請に係る補償金の見積額を下限としなければならない。
都道府県知事は、裁定をしようとするときは、第二項第五号に掲げる事項について、あらかじめ、収用委員会の意見を聴かなければならない。
収用委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要があると認めるときは、その委員 又はその事務を整理する職員に、裁定申請に係る特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある簡易建築物等 その他の工作物に立ち入り、その状況を調査させることができる。
第十三条第六項 及び第七項の規定は、前項の規定による立入調査について準用する。
都道府県知事は、裁定をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨 及び前条第二項各号に掲げる事項を、裁定申請をした起業者 及び当該事業に係る特定所有者不明土地所有者等で知れているものに文書で通知するとともに、公告しなければならない。
裁定について前条の規定による公告があったときは、当該裁定に係る特定所有者不明土地について土地収用法第四十八条第一項の権利取得裁決 及び同法第四十九条第一項の明渡裁決があったものとみなして、同法第七章の規定を適用する。
土地収用法第六章第一節(第七十六条、第七十七条後段、第七十八条、第八十一条から第八十三条まで、第八十六条、第八十七条 及び第九十条の二から第九十条の四までを除く。)の規定は、裁定に係る特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等が受ける損失の補償について準用する。
この場合において、
同法第七十条ただし書中
「第八十二条から第八十六条まで」とあるのは
「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成三十年法律第四十九号。以下「所有者不明土地法」という。)第三十五条第一項において準用する第八十四条 又は第八十五条」と、
「収用委員会の裁決」とあるのは
「都道府県知事の裁定」と、
同法第七十一条中
「権利取得裁決」とあり、並びに同法第七十三条、第八十四条第二項 及び第八十五条第二項中
「明渡裁決」とあるのは
「所有者不明土地法第三十二条第一項の裁定」と、
同法第八十条中
「前二条」とあるのは
「所有者不明土地法第三十五条第一項において準用する前条」と、
同法第八十四条第一項中
「起業者、土地所有者 又は関係人」とあるのは
「起業者」と、
同項 及び同条第二項、同条第三項において準用する同法第八十三条第三項から第六項まで 並びに同法第八十五条中
「収用委員会」とあるのは
「都道府県知事」と、
同法第八十四条第二項、同条第三項において準用する同法第八十三条第三項 及び同法第八十五条第二項中
「裁決を」とあるのは
「裁定を」と、
同条第一項中
「起業者 又は物件の所有者」とあるのは
「起業者」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
前項において準用する土地収用法第七十九条の規定による請求 又は同項において準用する同法第八十四条第一項 若しくは第八十五条第一項の規定による要求をしようとする起業者は、裁定申請をする際に、併せて当該請求 又は要求の内容 その他国土交通省令で定める事項を記載した請求書 又は要求書を都道府県知事に提出しなければならない。
都道府県知事は、この款の規定の施行に必要な限度において、その職員に、裁定申請に係る特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある簡易建築物等 その他の工作物に立ち入り、その状況を調査させることができる。
第十三条第六項 及び第七項の規定は、前項の規定による立入調査について準用する。