日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律

# 令和五年法律第二十七号 #

第三章 刑事手続等の特例

分類 法律
カテゴリ   外事
@ 施行日 : 令和六年二月十五日 ( 2024年 2月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第二十八号による改正
最終編集日 : 2024年 03月17日 01時21分


1項

検察官 又は司法警察員は、逮捕された者が英国軍隊の構成員 又は英国軍隊の文民構成員であり、かつ、その者の犯した罪が協定第二十一条第四項(a)(i)又は(ii)に掲げる罪のいずれかに明らかに該当すると認めたときは、刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号)の規定にかかわらず、直ちに被疑者を英国軍隊に引き渡さなければならない。

2項

司法警察員は、前項の規定により被疑者を英国軍隊に引き渡した場合においても、必要な捜査を行い、速やかに書類 及び証拠物と共に事件を検察官に送致しなければならない。

1項

検察官 又は司法警察員は、英国軍隊から日本国の法令による罪を犯した英国軍隊の構成員 又は英国軍隊の文民構成員を引き渡す旨の通知があった場合には、裁判官の発する逮捕状を示して被疑者の引渡しを受け、又は検察事務官 若しくは司法警察職員にその引渡しを受けさせなければならない。


この場合において、刑事訴訟法第二百一条の二第二項の規定による逮捕状に代わるものの交付があったときは、当該逮捕状に代わるものを示して、その引渡しを受けることができる。

2項

検察官 又は司法警察員は、前項に規定する場合において、引き渡されるべき者が日本国の法令による罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由があって、急速を要し、あらかじめ裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げてその者の引渡しを受け、又は受けさせなければならない。


この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。


逮捕状が発せられないときは、直ちにその者を釈放し、又は釈放させなければならない。

3項

前二項の場合を除くほか、検察官 又は司法警察員は、引き渡される者を受け取った後、直ちにその者を釈放し、又は釈放させなければならない。

4項

第一項 又は第二項の規定による引渡しがあった場合には、刑事訴訟法第百九十九条の規定により被疑者が逮捕された場合の手続の例による。


ただし同法第二百三条第一項第二百四条第一項 及び第二百五条第二項の時間の制限は、それぞれ第一項 又は第二項の規定による引渡しがあった時から起算する。

1項

英国軍隊の財産(英国軍隊が日本国内に所在していない場合にあっては、日本国内に所在する英国の軍隊の財産であって、英国軍隊の用に供されていたものを含む。)についての捜索(捜索状の執行を含む。)、差押え(差押状の執行を含む。)、記録命令付差押え(記録命令付差押状の執行を含む。)又は検証(検証状の執行を含む。)は、検察官 若しくは司法警察員が英国軍隊(英国軍隊が日本国内に所在していない場合にあっては、英国の軍隊。以下この条において同じ。)の権限ある者の同意を得て行い、又は検察官 若しくは司法警察員から英国軍隊の権限ある者に嘱託して行うものとする。


ただし、裁判所 又は裁判官が必要とする検証は、その裁判所 若しくは裁判官が英国軍隊の権限ある者の同意を得て行い、又はその裁判所 若しくは裁判官から英国軍隊の権限ある者に嘱託して行うものとする。

1項

裁判所、検察官 又は司法警察員は、その保管する書類 又は証拠物について、英国軍隊 その他の英国の権限ある当局から、英国軍隊の構成員 又は英国軍隊の文民構成員が犯した罪に係る刑事事件の審判 又は捜査のため必要があるものとして申出があったときは、その閲覧 若しくは謄写を許し、謄本を作成して交付し、又はこれを一時貸与し、若しくは引き渡すことができる。

1項

検察官 又は司法警察員は、英国軍隊から、日本国の法令による罪に係る事件以外の刑事事件につき、英国軍隊の構成員 又は英国軍隊の文民構成員の逮捕の要請を受けたときは、これを逮捕し、又は検察事務官 若しくは司法警察職員に逮捕させることができる。

2項

前項の場合において、逮捕の要請があった者が、人の住居 又は人の看守する邸宅、建造物 若しくは船舶内にいることを疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官 又は司法警察員は、裁判官の許可を得て、その場所に入りその者を捜索し、又は検察事務官 若しくは司法警察職員にその場所に入りその者を捜索させることができる。


ただし、追跡されている者がその場所に入ったことが明らかであって、急速を要し裁判官の許可を得ることができないときは、その許可を得ることを要しない。

3項

第一項の規定により英国軍隊の構成員 又は英国軍隊の文民構成員を逮捕したときは、直ちに検察官 又は司法警察員から、その者を英国軍隊に引き渡さなければならない。

4項

司法警察員は、前項の規定により英国軍隊の構成員 又は英国軍隊の文民構成員を引き渡したときは、その旨を検察官に通報しなければならない。

1項

検察官 又は司法警察員は、英国軍隊 その他の英国の権限ある当局から、日本国の法令による罪に係る事件以外の刑事事件につき、協力の要請を受けたときは、参考人を取り調べ、実況見分をし、又は書類 その他の物の所有者、所持者 若しくは保管者にその物の提出を求めることができる。

2項

検察官 又は司法警察員は、検察事務官 又は司法警察職員に前項の処分をさせることができる。

3項

前二項の処分に際しては、検察官、検察事務官 又は司法警察職員は、その処分を受ける者に対して英国軍隊 その他の英国の権限ある当局の要請による旨を明らかにしなければならない。

1項

第五条の規定は、英国の権限ある当局から、協定第一条(c)に規定する訪問部隊として英国内に所在する自衛隊に係る同条(d)に規定する構成員 又は同条(a)に規定する文民構成員(次項において「自衛隊に係る構成員 又は文民構成員」という。)であって、日本国の法令による罪を犯した者を引き渡す旨の通知があった場合について準用する。

2項

第七条の規定は、英国の権限ある当局から、自衛隊に係る構成員 又は文民構成員が犯した罪に係る刑事事件の審判 又は捜査のために必要があるものとして申出があったときについて準用する。

1項

刑事補償法昭和二十五年法律第一号)又は少年の保護事件に係る補償に関する法律平成四年法律第八十四号)の規定の適用については、英国軍隊 その他の英国の権限ある当局による抑留 又は拘禁は、刑事訴訟法による抑留 若しくは拘禁 又は少年の保護事件に係る補償に関する法律第二条第一項第二号に掲げる身体の自由の拘束とみなす。