排除措置命令等に係る行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第一項に規定する抗告訴訟については、公正取引委員会を被告とする。
昭和二十二年法律第五十四号(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)
第九章 訴訟
第二十四条の規定による侵害の停止 又は予防に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、相当の担保を立てるべきことを原告に命ずることができる。
前項の申立てをするには、同項の訴えの提起が不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的 その他の不正の目的をいう。)によるものであることを疎明しなければならない。
裁判所は、第二十四条の規定による侵害の停止 又は予防に関する訴えが提起されたときは、その旨を公正取引委員会に通知するものとする。
裁判所は、前項の訴えが提起されたときは、公正取引委員会に対し、当該事件に関するこの法律の適用 その他の必要な事項について、意見を求めることができる。
公正取引委員会は、第一項の訴えが提起されたときは、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用 その他の必要な事項について、意見を述べることができる。
裁判所は、第二十四条の規定による侵害の停止 又は予防に関する訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため必要な書類の提出を命ずることができる。
ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
裁判所は、前項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。
この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない。
裁判所は、前項の場合において、第一項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあつては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人 及び補佐人を除く。)、使用人 その他の従業者をいう。次条第一項において同じ。)、訴訟代理人 又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。
前三項の規定は、第二十四条の規定による侵害の停止 又は予防に関する訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。
裁判所は、第二十四条の規定による侵害の停止 又は予防に関する訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人 又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。
ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人 又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読 又は同号に規定する証拠の取調べ 若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
既に提出され、若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ、若しくは取り調べられるべき証拠(前条第三項の規定により開示された書類を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用 又は開示を制限する必要があること。
前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
秘密保持命令を受けるべき者
秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実
前項各号に掲げる事由に該当する事実
秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。
秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。
秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
秘密保持命令の申立てをした者 又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあつては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第一項に規定する要件を欠くこと 又はこれを欠くに至つたことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。
秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があつた場合には、その決定書をその申立てをした者 及び相手方に送達しなければならない。
秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者 又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。
秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第九十二条第一項の決定があつた場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行つた者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があつた旨を通知しなければならない。
前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があつた日から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行つた者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあつては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行つた者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない。
第二十五条の規定による損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、公正取引委員会に対し、同条に規定する違反行為によつて生じた損害の額について、意見を求めることができる。
前項の規定は、第二十五条の規定による損害賠償の請求が、相殺のために裁判上主張された場合に、これを準用する。
第二十四条の規定による侵害の停止 又は予防に関する訴えについて、民事訴訟法第四条 及び第五条の規定により次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所にも、その訴えを提起することができる。
東京高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(東京地方裁判所を除く。)、
大阪地方裁判所、名古屋地方裁判所、広島地方裁判所、福岡地方裁判所、仙台地方裁判所、札幌地方裁判所 又は高松地方裁判所 東京地方裁判所
大阪高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(大阪地方裁判所を除く。)
東京地方裁判所 又は大阪地方裁判所
名古屋高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(名古屋地方裁判所を除く。)
東京地方裁判所 又は名古屋地方裁判所
広島高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(広島地方裁判所を除く。)
東京地方裁判所 又は広島地方裁判所
福岡高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(福岡地方裁判所を除く。)
東京地方裁判所 又は福岡地方裁判所
仙台高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(仙台地方裁判所を除く。)
東京地方裁判所 又は仙台地方裁判所
札幌高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(札幌地方裁判所を除く。)
東京地方裁判所 又は札幌地方裁判所
高松高等裁判所の管轄区域内に所在する地方裁判所(高松地方裁判所を除く。)
東京地方裁判所 又は高松地方裁判所
一の訴えで第二十四条の規定による請求を含む数個の請求をする場合における民事訴訟法第七条の規定の適用については、
同条中 「第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)」とあるのは、「第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)及び私的独占の禁止 及び公正取引の確保に関する法律第八十四条の二第一項」と
する。
第八十九条から第九十一条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権は、地方裁判所に属する。
前条に規定する罪に係る事件について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二条の規定により第八十四条の二第一項各号に掲げる裁判所が管轄権を有する場合には、それぞれ当該各号に定める裁判所も、その事件を管轄することができる。
次に掲げる訴訟 及び事件は、東京地方裁判所の管轄に専属する。
排除措置命令等に係る行政事件訴訟法第三条第一項に規定する抗告訴訟
第七十条の四第一項、第七十条の五第一項 及び第二項、第九十七条 並びに第九十八条に規定する事件
第二十五条の規定による損害賠償に係る訴訟の第一審の裁判権は、東京地方裁判所に属する。
東京地方裁判所は、第八十五条各号に掲げる訴訟 及び事件 並びに前条に規定する訴訟については、三人の裁判官の合議体で審理 及び裁判をする。
前項の規定にかかわらず、東京地方裁判所は、同項の訴訟 及び事件について、五人の裁判官の合議体で審理 及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。
前項の場合には、判事補は、同時に三人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない。
東京地方裁判所がした第八十五条第一号に掲げる訴訟 若しくは第八十五条の二に規定する訴訟についての終局判決に対する控訴 又は第八十五条第二号に掲げる事件についての決定に対する抗告が提起された東京高等裁判所においては、当該控訴 又は抗告に係る事件について、五人の裁判官の合議体で審理 及び裁判をする旨の決定をその合議体ですることができる。
裁判所は、第二十四条の規定による侵害の停止 又は予防に関する訴えが提起された場合において、他の裁判所に同一 又は同種の行為に係る同条の規定による訴訟が係属しているときは、当事者の住所 又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点 又は証拠の共通性 その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部 又は一部について、当該他の裁判所 又は当該訴えにつき第八十四条の二第一項の規定により管轄権を有する他の裁判所に移送することができる。
排除措置命令等に係る行政事件訴訟法第三条第一項に規定する抗告訴訟については、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)第六条の規定は、適用しない。