民事執行法

# 昭和五十四年法律第四号 #
略称 : 民執法 

第二款 船舶に対する強制執行

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第十七号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分

1項

総トン数二十トン以上の船舶(端舟 その他ろかい又は主としてろかいをもつて運転する舟を除く。以下この節 及び次章において「船舶」という。)に対する強制執行(以下「船舶執行」という。)は、強制競売の方法により行う。

1項

船舶執行については、強制競売の開始決定の時の船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

1項

執行裁判所は、強制競売の手続を開始するには、強制競売の開始決定をし、かつ、執行官に対し、船舶の国籍を証する文書 その他の船舶の航行のために必要な文書(以下「船舶国籍証書等」という。)を取り上げて執行裁判所に提出すべきことを命じなければならない。


ただし、その開始決定前にされた開始決定により船舶国籍証書等が取り上げられているときは、執行官に対する命令を要しない。

2項

強制競売の開始決定においては、債権者のために船舶を差し押さえる旨を宣言し、かつ、債務者に対し船舶の出航を禁止しなければならない。

3項

強制競売の開始決定の送達 又は差押えの登記前に執行官が船舶国籍証書等を取り上げたときは、差押えの効力は、その取上げの時に生ずる。

1項

船舶執行の申立て前に船舶国籍証書等を取り上げなければ船舶執行が著しく困難となるおそれがあるときは、その船舶の船籍の所在地(船籍のない船舶にあつては、最高裁判所の指定する地)を管轄する地方裁判所は、申立てにより、債務者に対し、船舶国籍証書等を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。


急迫の事情があるときは、船舶の所在地を管轄する地方裁判所も、この命令を発することができる。

2項

前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

3項

第一項の申立てをするには、執行力のある債務名義の正本を提示し、かつ、同項に規定する事由を疎明しなければならない。

4項

執行官は、船舶国籍証書等の引渡しを受けた日から五日以内に債権者が船舶執行の申立てをしたことを証する文書を提出しないときは、その船舶国籍証書等を債務者に返還しなければならない。

5項

第一項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

6項

前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

7項

第五十五条第八項から第十項までの規定は、第一項の規定による決定について準用する。

1項

執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、必要があると認めるときは、強制競売の開始決定がされた船舶について保管人を選任することができる。

2項

前項の保管人が船舶の保管のために要した費用(第四項において準用する第百一条第一項の報酬を含む。)は、手続費用とする。

3項

第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。

4項

第九十四条第二項第九十六条 及び第九十九条から第百三条までの規定は、第一項の保管人について準用する。

1項

差押債権者の債権について、第三十九条第一項第七号 又は第八号に掲げる文書が提出されている場合において、債務者が差押債権者 及び保証の提供の時(配当要求の終期後にあつては、その終期)までに配当要求をした債権者の債権 及び執行費用の総額に相当する保証を買受けの申出前に提供したときは、執行裁判所は、申立てにより、配当等の手続を除き、強制競売の手続を取り消さなければならない。

2項

前項に規定する文書の提出による執行停止がその効力を失つたときは、執行裁判所は、同項の規定により提供された保証について、同項の債権者のために配当等を実施しなければならない。


この場合において、執行裁判所は、保証の提供として供託された有価証券を取り戻すことができる。

3項

第一項の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

4項

第十二条の規定は、第一項の規定による決定については適用しない

5項

第十五条の規定は第一項の保証の提供について、


第七十八条第三項の規定は第一項の保証が金銭の供託以外の方法で提供されている場合の換価について準用する。

1項

執行裁判所は、営業上の必要 その他相当の事由があると認める場合において、各債権者 並びに最高価買受申出人 又は買受人 及び次順位買受申出人の同意があるときは、債務者の申立てにより、船舶の航行を許可することができる。

2項

前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

3項

第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

1項

執行裁判所は、強制競売の開始決定がされた船舶が管轄区域外の地に所在することとなつた場合には、船舶の所在地を管轄する地方裁判所に事件を移送することができる。

2項

前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない

1項

執行官が強制競売の開始決定の発せられた日から二週間以内に船舶国籍証書等を取り上げることができないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消さなければならない。

1項

前款第二目第四十五条第一項第四十六条第二項第四十八条第五十四条第五十五条第一項第二号第五十六条第六十四条の二第六十五条の二第六十八条の四第七十一条第五号第八十一条 及び第八十二条除く)の規定は船舶執行について、第四十八条第五十四条 及び第八十二条の規定は船舶法明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶に対する強制執行について、それぞれ準用する。


この場合において、

第五十一条第一項
第百八十一条第一項各号に掲げる文書」とあるのは
「文書」と、

一般の先取特権」とあるのは
「先取特権」と

読み替えるものとする。