破産法

# 平成十六年法律第七十五号 #

第二款 破産手続開始の効果

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年五月二十四日 ( 2024年 5月24日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第三十三号
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分

1項

破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない

2項

破産者が破産手続開始の日にした法律行為は、破産手続開始後にしたものと推定する。

1項

破産手続開始後に破産財団に属する財産に関して破産者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない

2項

前条第二項の規定は、破産手続開始の日における前項の権利の取得について準用する。

1項

不動産 又は船舶に関し破産手続開始前に生じた登記原因に基づき破産手続開始後にされた登記 又は不動産登記法平成十六年法律第百二十三号第百五条第一号の規定による仮登記は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない


ただし、登記権利者が破産手続開始の事実を知らないでした登記 又は仮登記については、この限りでない。

2項

前項の規定は、権利の設定、移転 若しくは変更に関する登録 若しくは仮登録 又は企業担保権の設定、移転 若しくは変更に関する登記について準用する。

1項

破産手続開始後に、その事実を知らないで破産者にした弁済は、破産手続の関係においても、その効力を主張することができる。

2項

破産手続開始後に、その事実を知って破産者にした弁済は、破産財団が受けた利益の限度においてのみ、破産手続の関係において、その効力を主張することができる。

1項

前二条の規定の適用については、第三十二条第一項の規定による公告の前においてはその事実を知らなかったものと推定し、当該公告の後においてはその事実を知っていたものと推定する。

1項

数人が共同して財産権を有する場合において、共有者の中に破産手続開始の決定を受けた者があるときは、その共有に係る財産の分割の請求は、共有者の間で分割をしない旨の定めがあるときでも、することができる。

2項

前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って破産者の持分を取得することができる。

1項

双務契約について破産者 及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。

2項

前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。


この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。

3項

前項の規定は、相手方 又は破産管財人が民法第六百三十一条前段の規定により解約の申入れをすることができる場合 又は同法第六百四十二条第一項前段の規定により契約の解除をすることができる場合について準用する。

1項

前条第一項 又は第二項の規定により契約の解除があった場合には、相手方は、損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。

2項

前項に規定する場合において、相手方は、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができる。

1項

破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては、破産手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない

2項

前項の双務契約の相手方が破産手続開始の申立て後 破産手続開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、財団債権とする。

3項

前二項の規定は、労働契約には、適用しない

1項

第五十三条第一項 及び第二項の規定は、賃借権 その他の使用 及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録 その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない

2項

前項に規定する場合には、相手方の有する請求権は、財団債権とする。

1項

委任者について破産手続が開始された場合において、受任者は、民法第六百五十五条の規定による破産手続開始の通知を受けず、かつ、破産手続開始の事実を知らないで委任事務を処理したときは、これによって生じた債権について、破産債権者としてその権利を行使することができる。

1項

取引所の相場 その他の市場の相場がある商品の取引に係る契約であって、その取引の性質上特定の日時 又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないものについて、その時期が破産手続開始後に到来すべきときは、当該契約は、解除されたものとみなす。

2項

前項の場合において、損害賠償の額は、履行地 又はその地の相場の標準となるべき地における同種の取引であって同一の時期に履行すべきものの相場と当該契約における商品の価格との差額によって定める。

3項

第五十四条第一項の規定は、前項の規定による損害の賠償について準用する。

4項

第一項 又は第二項に定める事項について当該取引所 又は市場における別段の定めがあるときは、その定めに従う。

5項

第一項の取引を継続して行うためにその当事者間で締結された基本契約において、その基本契約に基づいて行われるすべての同項の取引に係る契約につき生ずる第二項に規定する損害賠償の債権 又は債務を差引計算して決済する旨の定めをしたときは、請求することができる損害賠償の額の算定については、その定めに従う。

1項

交互計算は、当事者の一方について破産手続が開始されたときは、終了する。


この場合においては、各当事者は、計算を閉鎖して、残額の支払を請求することができる。

2項

前項の規定による請求権は、破産者が有するときは破産財団に属し、相手方が有するときは破産債権とする。

1項

為替手形の振出人 又は裏書人について破産手続が開始された場合において、支払人 又は予備支払人がその事実を知らないで引受け 又は支払をしたときは、その支払人 又は予備支払人は、これによって生じた債権につき、破産債権者としてその権利を行使することができる。

2項

前項の規定は、小切手 及び金銭 その他の物 又は有価証券の給付を目的とする有価証券について準用する。

3項

第五十一条の規定は、前二項の規定の適用について準用する。

1項

民法第七百五十八条第二項 及び第三項 並びに第七百五十九条の規定は配偶者の財産を管理する者につき破産手続が開始された場合について、同法第八百三十五条の規定は親権を行う者につき破産手続が開始された場合について準用する。