老人福祉法

# 昭和三十八年法律第百三十三号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項
この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持 及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。
1項
老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。
1項
老人は、老齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して、社会的活動に参加するように努めるものとする。
2項
老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会 その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする。
1項
国 及び地方公共団体は、老人の福祉を増進する責務を有する。
2項

国 及び地方公共団体は、老人の福祉に関係のある施策を講ずるに当たつては、その施策を通じて、前二条に規定する基本的理念が具現されるように配慮しなければならない。

3項
老人の生活に直接影響を及ぼす事業を営む者は、その事業の運営に当たつては、老人の福祉が増進されるように努めなければならない。
1項
国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促すため、老人の日 及び老人週間を設ける。
2項
老人の日は九月十五日とし、老人週間は同日から同月二十一日までとする。
3項

国は、老人の日においてその趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとし、国 及び地方公共団体は、老人週間において老人の団体 その他の者によつてその趣旨にふさわしい行事が実施されるよう奨励しなければならない。

1項

この法律において、「老人居宅生活支援事業」とは、老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業、認知症対応型老人共同生活援助事業 及び複合型サービス福祉事業をいう。

2項

この法律において、「老人居宅介護等事業」とは、第十条の四第一項第一号の措置に係る者 又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による訪問介護に係る居宅介護サービス費 若しくは定期巡回・随時対応型訪問介護看護 若しくは夜間対応型訪問介護に係る地域密着型介護サービス費の支給に係る者 その他の政令で定める者につき、これらの者の居宅において入浴、排せつ、食事等の介護 その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるものを供与する事業 又は同法第百十五条の四十五第一項第一号イに規定する第一号訪問事業(以下「第一号訪問事業」という。)であつて厚生労働省令で定めるものをいう。

3項

この法律において、「老人デイサービス事業」とは、第十条の四第一項第二号の措置に係る者 又は介護保険法の規定による通所介護に係る居宅介護サービス費、地域密着型通所介護 若しくは認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護サービス費 若しくは介護予防認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者 その他の政令で定める者(その者を現に養護する者を含む。)を特別養護老人ホーム その他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、これらの者につき入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、介護方法の指導 その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業 又は同法第百十五条の四十五第一項第一号ロに規定する第一号通所事業(以下「第一号通所事業」という。)であつて厚生労働省令で定めるものをいう。

4項

この法律において、「老人短期入所事業」とは、第十条の四第一項第三号の措置に係る者 又は介護保険法の規定による短期入所生活介護に係る居宅介護サービス費 若しくは介護予防短期入所生活介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者 その他の政令で定める者を特別養護老人ホーム その他の厚生労働省令で定める施設に短期間入所させ、養護する事業をいう。

5項

この法律において、「小規模多機能型居宅介護事業」とは、第十条の四第一項第四号の措置に係る者 又は介護保険法の規定による小規模多機能型居宅介護に係る地域密着型介護サービス費 若しくは介護予防小規模多機能型居宅介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者 その他の政令で定める者につき、これらの者の心身の状況、置かれている環境等に応じて、それらの者の選択に基づき、それらの者の居宅において、又は厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、入浴、排せつ、食事等の介護 その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を供与する事業をいう。

6項

この法律において、「認知症対応型老人共同生活援助事業」とは、第十条の四第一項第五号の措置に係る者 又は介護保険法の規定による認知症対応型共同生活介護に係る地域密着型介護サービス費 若しくは介護予防認知症対応型共同生活介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者 その他の政令で定める者につき、これらの者が共同生活を営むべき住居において入浴、排せつ、食事等の介護 その他の日常生活上の援助を行う事業をいう。

7項

この法律において、「複合型サービス福祉事業」とは、第十条の四第一項第六号の措置に係る者 又は介護保険法の規定による複合型サービス(訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護 又は小規模多機能型居宅介護(以下「訪問介護等」という。)を含むものに限る)に係る地域密着型介護サービス費の支給に係る者 その他の政令で定める者につき、同法に規定する訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護 又は小規模多機能型居宅介護を二種類以上組み合わせることにより提供されるサービスのうち、当該訪問看護 及び小規模多機能型居宅介護の組合せ その他の居宅要介護者について一体的に提供されることが特に効果的かつ効率的なサービスの組合せにより提供されるサービスとして厚生労働省令で定めるものを供与する事業をいう。

1項

この法律において、「老人福祉施設」とは、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター 及び老人介護支援センターをいう。

1項

六十五歳以上の者(六十五歳未満の者であつて特に必要があると認められるものを含む。以下同じ。)又はその者を現に養護する者(以下「養護者」という。)に対する第十条の四 及び第十一条の規定による福祉の措置は、その六十五歳以上の者が居住地を有するときは、その居住地の市町村が、居住地を有しないか、又はその居住地が明らかでないときは、その現在地の市町村が行うものとする。


ただし同条第一項第一号 若しくは第二号の規定により入所している六十五歳以上の者 又は生活保護法昭和二十五年法律第百四十四号第三十条第一項ただし書の規定により同法第三十八条第二項に規定する救護施設、同条第三項に規定する更生施設 若しくは同法第三十条第一項ただし書に規定するその他の適当な施設に入所している六十五歳以上の者については、これらの者が入所前に居住地を有した者であるときは、その居住地の市町村が、これらの者が入所前に居住地を有しないか、又はその居住地が明らかでなかつた者であるときは、入所前におけるこれらの者の所在地の市町村が行うものとする。

2項
市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
一 号
老人の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
二 号
老人の福祉に関し、必要な情報の提供を行い、並びに相談に応じ、必要な調査 及び指導を行い、並びにこれらに付随する業務を行うこと。
1項

市町村の設置する福祉事務所(社会福祉法昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)は、この法律の施行に関し、主として前条第二項各号に掲げる業務を行うものとする。

1項

市 及び福祉事務所を設置する町村は、その設置する福祉事務所に、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の指揮監督を受けて、主として次に掲げる業務を行う所員として、社会福祉主事を置かなければならない。

一 号
福祉事務所の所員に対し、老人の福祉に関する技術的指導を行うこと。
二 号

第五条の四第二項第二号に規定する業務のうち、専門的技術を必要とする業務を行うこと。

1項
都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
一 号
この法律に基づく福祉の措置の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供 その他必要な援助を行うこと 及びこれらに付随する業務を行うこと。
二 号
老人の福祉に関し、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。
2項
都道府県知事は、この法律に基づく福祉の措置の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。
3項
都道府県知事は、この法律の規定による都道府県の事務の全部 又は一部を、その管理する福祉事務所長に委任することができる。
1項

都道府県は、その設置する福祉事務所に、福祉事務所長の指揮監督を受けて、主として前条第一項第一号に掲げる業務のうち専門的技術を必要とするものを行う所員として、社会福祉主事を置くことができる。

1項
保健所は、老人の福祉に関し、老人福祉施設等に対し、栄養の改善 その他衛生に関する事項について必要な協力を行うものとする。
1項

民生委員法昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長 又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。

1項

身体上 又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある老人の介護等に関する措置については、この法律に定めるもののほか、介護保険法の定めるところによる。

1項

この法律に基づく福祉の措置の実施に当たつては、前条に規定する介護保険法に基づく措置との連携 及び調整に努めなければならない。