船舶所有者等 若しくは救助者 又は被用者等は、その責任を制限するため、責任制限手続開始の申立てをすることができる。
船舶の所有者等の責任の制限に関する法律
第二節 責任制限手続開始の申立て
船舶共有者は、各自責任制限手続開始の申立てをすることができる。
責任制限手続開始の申立てをするときは、制限債権に係る事故を特定するために必要な事実 及び制限債権(事故発生後の利息 又は不履行による損害賠償 若しくは違約金の請求権を除く。第二十五条第二号において同じ。)の額が第七条第一項 又は第三項に規定する責任の限度額(以下「責任限度額」という。)を超えることを疎明し、かつ、知れている制限債権者の氏名 又は名称 及び住所を届け出なければならない。
裁判所は、責任制限手続開始の申立てを相当と認めるときは、その申立てをした者(以下「申立人」という。)に対して、一月を超えない一定の期間内に、裁判所の定める責任限度額に相当する金銭 及び これに対する事故発生の日から供託の日(次条第一項の規定により供託委託契約を締結する場合にあつては、同項の規定による届出の日。次項において同じ。)まで事故発生の日における法定利率により算定した金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じなければならない。
前項の責任限度額に相当する金銭は、供託の日において公表されている最終の一単位の額により算定するものとする。
第一項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
申立人が、裁判所の許可を得て供託委託契約を締結し、前条第一項の規定による決定において定められた期間内にその旨を裁判所に届け出た場合においては、当該契約に係る一定の額の金銭は、その期間内に供託することを要しない。
供託委託契約は、責任制限手続開始の決定があつた場合において、受託者が申立人のために一定の額の金銭及び これに対する責任制限手続開始の決定の日から供託の日まで供託金に付される利息の利率と同一の率により算定した金銭を前条第一項の供託所に供託をすることを約する契約とする。
供託委託契約は、第一項の規定による届出があつた後は、裁判所の許可を得なければ、変更 又は解除をすることができない。
銀行 その他の政令で定める者でなければ、供託委託契約の受託者(以下単に「受託者」という。)となることができない。
前条第一項の規定による届出がされた場合においては、受託者は、裁判所の定める日(次条第一項において「指定日」という。)までに供託委託契約に従つて供託し、かつ、その旨を裁判所に届け出なければならない。
前項の規定により受託者がした供託は、申立人が供託者としてした供託とみなす。
前条第一項の規定による供託をしなかつた場合においては、受託者は、供託に代えて、指定日において供託すべき金銭及び これに対する指定日の翌日から支払の日まで指定日の翌日における法定利率により算定した金銭を管理人に支払う義務を負う。
受託者が前項の義務を履行しなかつた場合においては、裁判所は、管理人の申立てにより、その受託者に対して、同項の規定により支払うべき額の金銭を管理人に支払うべきことを命じなければならない。
前項の規定による決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
第二項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
管理人は、第一項の規定により受託者から金銭の支払を受けたときは、直ちに、これを第十九条第一項の供託所に供託し、かつ、その旨を裁判所に報告しなければならない。
前項の規定により管理人がした供託は、申立人が供託者としてした供託とみなす。
責任制限手続開始の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、申立人 又は受益債務者の申立てにより、責任制限手続開始の申立てにつき決定があるまでの間、制限債権に基づく申立人 又は受益債務者の財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分 又は担保権の実行の手続の中止を命ずることができる。
裁判所は、前項の規定による中止の決定を変更し、又は取り消すことができる。
申立人が破産者であるときは、裁判所は、責任制限手続開始の申立てを却下しなければならない。
次の場合においては、裁判所は、責任制限手続開始の申立てを棄却しなければならない。
制限債権の額が責任限度額を超えないことが明らかなとき。
申立人が第十九条第一項の規定による決定に従わないとき。