この法律は、情報通信技術の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確に対応することの緊要性にかんがみ、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し、基本理念 及び施策の策定に係る基本方針を定め、国 及び地方公共団体の責務を明らかにし、並びに高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を設置するとともに、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画の作成について定めることにより、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することを目的とする。
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法
第一章 総則
この法律において「高度情報通信ネットワーク社会」とは、インターネット その他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報 又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう。
高度情報通信ネットワーク社会の形成は、すべての国民が、インターネット その他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、その利用の機会を通じて個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となり、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として、行われなければならない。
高度情報通信ネットワーク社会の形成は、電子商取引 その他の高度情報通信ネットワークを利用した経済活動(以下「電子商取引等」という。)の促進、中小企業者 その他の事業者の経営の能率 及び生産性の向上、新たな事業の創出 並びに就業の機会の増大をもたらし、もって経済構造改革の推進 及び産業の国際競争力の強化に寄与するものでなければならない。
高度情報通信ネットワーク社会の形成は、インターネット その他の高度情報通信ネットワークを通じた、国民生活の全般にわたる質の高い情報の流通 及び低廉な料金による多様なサービスの提供により、生活の利便性の向上、生活様式の多様化の促進 及び消費者の主体的かつ合理的選択の機会の拡大が図られ、もってゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現に寄与するものでなければならない。
高度情報通信ネットワーク社会の形成は、情報通信技術の活用による、地域経済の活性化、地域における魅力ある就業の機会の創出 並びに地域内 及び地域間の多様な交流の機会の増大による住民生活の充実 及び利便性の向上を通じて、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現 及び地域住民の福祉の向上に寄与するものでなければならない。
高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっては、民間が主導的役割を担うことを原則とし、国 及び地方公共団体は、公正な競争の促進、規制の見直し等 高度情報通信ネットワーク社会の形成を阻害する要因の解消 その他の民間の活力が十分に発揮されるための環境整備等を中心とした施策を行うものとする。
高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっては、地理的な制約、年齢、身体的な条件 その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会 又は活用のための能力における格差が、高度情報通信ネットワーク社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれがあることにかんがみ、その是正が積極的に図られなければならない。
高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっては、情報通信技術の活用により生ずる社会経済構造の変化に伴う雇用 その他の分野における各般の新たな課題について、適確かつ積極的に対応しなければならない。
国は、第三条から前条までに定める高度情報通信ネットワーク社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
地方公共団体は、基本理念にのっとり、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
国 及び地方公共団体は、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策が迅速かつ重点的に実施されるよう、相互に連携を図らなければならない。
政府は、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。
政府は、高度情報通信ネットワーク社会に関する統計 その他の高度情報通信ネットワーク社会の形成に資する資料を作成し、インターネットの利用 その他適切な方法により随時公表しなければならない。
政府は、広報活動等を通じて、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する国民の理解を深めるよう必要な措置を講ずるものとする。