この法律は、ギャンブル等依存症がギャンブル等依存症である者等 及び その家族の日常生活 又は社会生活に支障を生じさせるものであり、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会問題を生じさせていることに鑑み、ギャンブル等依存症対策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、ギャンブル等依存症対策の基本となる事項を定めること等により、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民の健全な生活の確保を図るとともに、国民が安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与することを目的とする。
ギャンブル等依存症対策基本法
第一章 総則
この法律において「ギャンブル等依存症」とは、ギャンブル等(法律の定めるところにより行われる公営競技、ぱちんこ屋に係る遊技 その他の射幸行為をいう。第七条において同じ。)にのめり込むことにより日常生活 又は社会生活に支障が生じている状態をいう。
ギャンブル等依存症対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
ギャンブル等依存症の発症、進行 及び再発の各段階に応じた防止 及び回復のための対策を適切に講ずるとともに、ギャンブル等依存症である者等 及び その家族が日常生活 及び社会生活を円滑に営むことができるように支援すること。
ギャンブル等依存症対策を講ずるに当たっては、ギャンブル等依存症が、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の問題に密接に関連することに鑑み、ギャンブル等依存症に関連して生ずるこれらの問題の根本的な解決に資するため、これらの問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされるものとすること。
ギャンブル等依存症対策を講ずるに当たっては、アルコール、薬物等に対する依存に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされるものとする。
国は、第三条の基本理念にのっとり、ギャンブル等依存症対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、ギャンブル等依存症対策に関し、国との連携を図りつつ、その地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
ギャンブル等の実施に係る事業のうちギャンブル等依存症の発症、進行 及び再発に影響を及ぼす事業を行う者(第十五条 及び第三十三条第二項において「関係事業者」という。)は、国 及び地方公共団体が実施するギャンブル等依存症対策に協力するとともに、その事業活動を行うに当たって、ギャンブル等依存症の予防等(発症、進行 及び再発の防止をいう。以下同じ。)に配慮するよう努めなければならない。
国民は、ギャンブル等依存症問題(ギャンブル等依存症 及びこれに関連して生ずる多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の問題をいう。以下同じ。)に関する関心と理解を深め、ギャンブル等依存症の予防等に必要な注意を払うよう努めなければならない。
医療、保健、福祉、教育、法務、矯正 その他のギャンブル等依存症対策に関連する業務に従事する者は、国 及び地方公共団体が実施するギャンブル等依存症対策に協力し、ギャンブル等依存症の予防等 及び回復に寄与するよう努めなければならない。
国民の間に広くギャンブル等依存症問題に関する関心と理解を深めるため、ギャンブル等依存症問題啓発週間を設ける。
ギャンブル等依存症問題啓発週間は、五月十四日から同月二十日までとする。
国 及び地方公共団体は、ギャンブル等依存症問題啓発週間の趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めるものとする。
政府は、ギャンブル等依存症対策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。