下請代金支払遅延等防止法

昭和三十一年法律第百二十号
略称 : 下請法 
分類 法律
カテゴリ   産業通則
最終編集日 : 2022年 11月28日 08時52分

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1項

この法律は、下請代金の支払遅延等を防止することによつて、親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめるとともに、下請事業者の利益を保護し、もつて国民経済の健全な発達に寄与することを目的とする。

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1項

この法律で「製造委託」とは、事業者が業として行う販売 若しくは業として請け負う製造(加工を含む。以下同じ。)の目的物たる物品 若しくは その半製品、部品、附属品 若しくは原材料 若しくは これらの製造に用いる金型 又は業として行う物品の修理に必要な部品 若しくは原材料の製造を他の事業者に委託すること 及び事業者がその使用し 又は消費する物品の製造を業として行う場合にその物品 若しくは その半製品、部品、附属品 若しくは原材料 又は これらの製造に用いる金型の製造を他の事業者に委託することをいう。

2項

この法律で「修理委託」とは、事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部 又は一部を他の事業者に委託すること 及び事業者がその使用する物品の修理を業として行う場合にその修理の行為の一部を他の事業者に委託することをいう。

3項

この法律で「情報成果物作成委託」とは、事業者が業として行う提供 若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部 又は一部を他の事業者に委託すること 及び事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部 又は一部を他の事業者に委託することをいう。

4項

この法律で「役務提供委託」とは、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部 又は一部を他の事業者に委託すること(建設業(建設業法(昭和二十四年法律第百号)第二条第二項に規定する建設業をいう。以下 この項において同じ。)を営む者が業として請け負う建設工事(同条第一項に規定する建設工事をいう。)の全部 又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く)をいう。

5項

この法律で「製造委託等」とは、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託 及び役務提供委託をいう。

6項

この法律で「情報成果物」とは、次に掲げるものをいう。

一 号

プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。

二 号

映画、放送番組 その他影像 又は音声 その他の音響により構成されるもの

三 号

文字、図形 若しくは記号 若しくは これらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの

四 号

前三号に掲げるもののほか、これらに類するもので 政令で定めるもの

7項

この法律で「親事業者」とは、次の各号いずれかに該当する者をいう。

一 号

資本金の額 又は出資の総額が三億円を超える法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律昭和二十四年法律第二百五十六号第十四条に規定する者を除く)で あつて、個人 又は資本金の額 若しくは出資の総額が三億円以下の法人たる事業者に対し製造委託等(情報成果物作成委託 及び役務提供委託にあつては、それぞれ政令で定める情報成果物 及び役務に係るものに限る次号 並びに次項第一号 及び第二号において同じ。)をするもの

二 号

資本金の額 又は出資の総額が千万円を超え 三億円以下の法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く)であつて、個人 又は資本金の額 若しくは出資の総額が千万円以下の法人たる事業者に対し 製造委託等をするもの

三 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円を超える法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く)であつて、個人 又は資本金の額 若しくは出資の総額が五千万円以下の法人たる事業者に対し情報成果物作成委託 又は役務提供委託(それぞれ第一号の政令で定める情報成果物 又は役務に係るものを除く次号 並びに次項第三号 及び第四号において同じ。)をするもの

四 号

資本金の額 又は出資の総額が千万円を超え 五千万円以下の法人たる事業者(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十四条に規定する者を除く)であつて、個人 又は資本金の額 若しくは出資の総額が千万円以下の法人たる事業者に対し情報成果物作成委託 又は役務提供委託をするもの

8項

この法律で「下請事業者」とは、次の各号いずれかに該当する者をいう。

一 号

個人 又は資本金の額若しくは出資の総額が三億円以下の法人たる事業者であつて、前項第一号に規定する親事業者から 製造委託等を受けるもの

二 号

個人 又は資本金の額 若しくは出資の総額が千万円以下の法人たる事業者であつて、前項第二号に規定する親事業者から 製造委託等を受けるもの

三 号

個人 又は資本金の額 若しくは出資の総額が五千万円以下の法人たる事業者であつて、前項第三号に規定する親事業者から 情報成果物作成委託 又は役務提供委託を受けるもの

四 号

個人 又は資本金の額 若しくは出資の総額が千万円以下の法人たる事業者であつて、前項第四号に規定する親事業者から情報成果物作成委託 又は役務提供委託を受けるもの

9項

資本金の額 又は出資の総額が千万円を超える法人たる事業者から 役員の任免、業務の執行 又は存立について支配を受け、かつ、その事業者から製造委託等を受ける法人たる事業者が、その製造委託等に係る製造、修理、作成 又は提供の行為の全部 又は相当部分について再委託をする場合(第七項第一号 又は第二号に該当する者がそれぞれ前項第一号 又は第二号に該当する者に対し製造委託等をする場合 及び第七項第三号 又は第四号に該当する者がそれぞれ前項第三号 又は第四号に該当する者に対し情報成果物作成委託 又は役務提供委託をする場合を除く)において、再委託を受ける事業者が、役員の任免、業務の執行 又は存立について支配をし、かつ、製造委託等をする当該事業者から 直接製造委託等を受けるものとすれば前項各号いずれかに該当することとなる事業者であるときは、この法律の適用については、再委託をする事業者は親事業者と、再委託を受ける事業者は下請事業者とみなす。

10項

この法律で「下請代金」とは、親事業者が製造委託等をした場合に下請事業者の給付(役務提供委託をした場合にあつては、役務の提供。以下同じ。)に対し支払うべき代金をいう。

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1項

下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から 起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り 短い期間内において、定められなければならない。

2項

下請代金の支払期日が定められなかつたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日の前日が下請代金の支払期日と 定められたものとみなす。

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1項

親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払期日 及び支払方法 その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。


ただし、これらの事項のうちその内容が定められないことにつき正当な理由があるものについては、その記載を要しないものとし、この場合には、親事業者は、当該事項の内容が定められた後直ちに、当該事項を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。

2項

親事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該下請事業者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であつて公正取引委員会規則で定めるものにより提供することができる。


この場合において、当該親事業者は、当該書面を交付したものとみなす。

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1項

親事業者は、下請事業者に対し 製造委託等をした場合は、次の各号役務提供委託をした場合にあつては、第一号 及び第四号除く)に掲げる行為をしてはならない。

一 号

下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと。

二 号

下請代金をその支払期日の経過後 なお支払わないこと。

三 号

下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。

四 号

下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付を受領した後、下請事業者にその給付に係る物を引き取らせること。

五 号

下請事業者の給付の内容と 同種 又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。

六 号

下請事業者の給付の内容を均質にし又は その改善を図るため必要がある場合その他 正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。

七 号

親事業者が第一号 若しくは第二号に掲げる行為をしている場合若しくは第三号から 前号までに掲げる行為をした場合又は親事業者について次項各号の一に該当する事実があると認められる場合に下請事業者が公正取引委員会 又は中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、 その他不利益な取扱いをすること。

2項

親事業者は、下請事業者に対し 製造委託等をした場合は、次の各号役務提供委託をした場合にあつては、第一号除く)に掲げる行為をすることによつて、下請事業者の利益を不当に害してはならない。

一 号

自己に対する給付に必要な半製品、部品、附属品 又は原材料(以下「原材料等」という。)を自己から購入させた場合に、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、当該原材料等を用いる給付に対する下請代金の支払期日より早い時期に、支払うべき下請代金の額から 当該原材料等の対価の全部 若しくは一部を控除し、又は当該原材料等の対価の全部 若しくは一部を支払わせること。

二 号

下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関(預金 又は貯金の受入れ 及び資金の融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。

三 号

自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。

四 号

下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の内容を変更させ、又は下請事業者の給付を受領した後に(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした後に)給付をやり直させること。

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1項

親事業者は、下請代金の支払期日までに下請代金を支払わなかつたときは、下請事業者に対し、下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日)から起算して六十日を経過した日から 支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

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1項

親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、公正取引委員会規則で定めるところにより、下請事業者の給付、給付の受領(役務提供委託をした場合にあつては、下請事業者がした役務を提供する行為の実施)、下請代金の支払 その他の事項について記載し 又は記録した書類 又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成し、これを保存しなければならない。

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1項

中小企業庁長官は、親事業者が第四条第一項第一号第二号 若しくは第七号に掲げる行為をしているかどうか 若しくは同項第三号から 第六号までに掲げる行為をしたかどうか 又は親事業者について同条第二項各号の一に該当する事実があるかどうかを調査し、その事実があると認めるときは、公正取引委員会に対し、この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。

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1項

公正取引委員会は、親事業者が第四条第一項第一号第二号 又は第七号に掲げる行為をしていると認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその下請事業者の給付を受領し、その下請代金 若しくは その下請代金及び第四条の二の規定による遅延利息を支払い、又は その不利益な取扱いをやめるべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

2項

公正取引委員会は、親事業者が第四条第一項第三号から 第六号までに掲げる 行為をしたと認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその減じた額を支払い、その下請事業者の給付に係る物を再び引き取り、 その下請代金の額を引き上げ、又は その購入させた物を引き取るべきこと その他 必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

3項

公正取引委員会は、 親事業者について第四条第二項各号いずれかに 該当する事実があると認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその下請事業者の利益を保護するため必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

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1項

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律昭和二十二年法律第五十四号第二十条 及び第二十条の六の規定は、公正取引委員会が前条第一項から 第三項までの規定による勧告をした場合において、親事業者がその勧告に従つたときに限り、親事業者のその勧告に係る行為については、適用しない

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1項

公正取引委員会は、親事業者の下請事業者に対する製造委託等に関する取引(以下単に「取引」という。)を公正ならしめるため必要があると認めるときは、親事業者 若しくは下請事業者に対し その取引に関する報告をさせ、又は その職員に親事業者 若しくは下請事業者の事務所 若しくは事業所に立ち入り、帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。

2項

中小企業庁長官は、 下請事業者の利益を保護するため特に必要があると認めるときは、親事業者 若しくは下請事業者に対し その取引に関する報告をさせ、又は その職員に親事業者 若しくは下請事業者の事務所 若しくは事業所に立ち入り、帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。

3項

親事業者 又は下請事業者の営む事業を所管する主務大臣は、中小企業庁長官の第六条の規定による調査に協力するため特に必要があると認めるときは、所管事業を営む 親事業者 若しくは下請事業者に対し その取引に関する報告をさせ、又は その職員にこれらの者の事務所 若しくは事業所に立ち入り、帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。

4項

前三項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

5項

第一項から 第三項までの規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

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1項

次の各号いずれかに該当する場合には、その違反行為をした親事業者の代表者、代理人、使用人 その他の従業者は、五十万円以下の罰金に処する。

一 号

第三条第一項の規定による書面を交付しなかつたとき。

二 号

第五条の規定による書類 若しくは電磁的記録を作成せず、 若しくは保存せず、又は虚偽の書類 若しくは電磁的記録を作成したとき。

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1項

第九条第一項から 第三項までの規定による報告をせず、 若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、 若しくは忌避した者は、五十万円以下の罰金に処する。

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1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して各本条の刑を科する。

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