中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律

平成六年法律第三十号
分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 平成二十七年十月一日
@ 最終更新 : 平成二十四年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 03月04日 02時45分

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1項

この法律は、今次の大戦に起因して生じた混乱等により本邦に引き揚げることができず引き続き本邦以外の地域に居住することを余儀なくされた中国残留邦人等 及びそのような境遇にあった中国残留邦人等と長年にわたり労苦を共にしてきた特定配偶者の置かれている事情に鑑み、中国残留邦人等の円滑な帰国を促進するとともに、永住帰国した中国残留邦人等 及び特定配偶者の自立の支援を行うことを目的とする。

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1項

この法律において「中国残留邦人等」とは、次に掲げる者をいう。

一 号

中国の地域における昭和二十年八月九日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年九月二日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの 及びこれらの者を両親として同月三日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者 並びにこれらの者に準ずる事情にあるものとして厚生労働省令で定める者

二 号

中国の地域以外の地域において前号に規定する者と同様の事情にあるものとして厚生労働省令で定める者

2項

厚生労働大臣は、前項第一号 又は第二号の厚生労働省令を定めようとするときは、あらかじめ、法務大臣 及び外務大臣と協議しなければならない。

3項

この法律において「特定配偶者」とは、第十三条第二項に規定する特定中国残留邦人等が永住帰国する前から 継続して当該特定中国残留邦人等の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、同項に規定する特定中国残留邦人等以外の者に限る)である者をいう。

4項

この法律において「永住帰国」とは、本邦に永住する目的で本邦に帰国することをいう。

5項

この法律において「一時帰国」とは、親族の訪問、墓参りその他の厚生労働省令で定める目的で本邦に短期間滞在するために本邦に帰国することをいう。

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1項

国は、本邦への帰国を希望する中国残留邦人等の円滑な帰国を促進するため、必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等 及び特定配偶者の地域社会における早期の自立の促進 及び生活の安定を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

2項

国は、必要があると認めるときは、地方公共団体が講ずる前項の施策について、援助を行うものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進 並びに永住帰国した中国残留邦人等 及び特定配偶者の自立の支援のための施策を有機的連携の下に総合的に、策定し、及び実施するものとする。

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1項

国は、中国残留邦人等が永住帰国する場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該永住帰国のための旅行に要する費用(当該永住帰国する中国残留邦人等と本邦で生活を共にするために本邦に入国する当該中国残留邦人等の親族等であって厚生労働省令で定めるものがいる場合には、当該親族等の本邦への旅行に要する費用を含む。)を支給する。

2項

国は、中国残留邦人等が永住帰国する場合には、当該中国残留邦人等 及びその親族等(前項に規定する当該親族等をいう。以下第十一条までにおいて同じ。)が出入国管理及び難民認定法昭和二十六年政令第三百十九号)その他出入国に関する法令の規定に基づき円滑に帰国し 又は入国することができるよう特別の配慮をするものとする。

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1項

国は、中国残留邦人等が永住帰国した場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生労働省令で定めるところにより、中国残留邦人等 及びその親族等の生活基盤の確立に資するために必要な資金を、一時金として支給する。

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1項

国 及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等 及び その親族等が日常生活 又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、これらの者の相談に応じ 必要な助言を行うこと、日本語の習得を援助すること等 必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等 及びその親族等の居住の安定を図るため、公営住宅(公営住宅法昭和二十六年法律第百九十三号第二条第二号に規定する公営住宅をいう。次項において同じ。)等の供給の促進のために必要な施策を講ずるものとする。

2項

地方公共団体は、公営住宅の供給を行う場合には、永住帰国した中国残留邦人等 及びその親族等の居住の安定が図られるよう特別の配慮をするものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等 及びその親族等の雇用の機会の確保を図るため、職業訓練の実施、就職のあっせん等必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国 及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等 及びその親族等が必要な教育を受けることができるようにするため、就学の円滑化、教育の充実等のために必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国は、永住帰国した中国残留邦人等が戸籍法昭和二十二年法律第二百二十四号) 第百十条第一項に規定する就籍 その他 戸籍に関する手続を行う場合においてその手続を円滑に行うことができるようにするため、必要な便宜を供与するものとする。

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1項

永住帰国した中国残留邦人等(明治四十四年四月二日以後に生まれた者であって、永住帰国した日から引き続き一年以上本邦に住所を有するものに限る。以下 この項 及び第五項において同じ。)であって、昭和二十一年十二月三十一日以前に生まれたもの(同日後に生まれた者であって同日以前に生まれた永住帰国した中国残留邦人等に準ずる事情にあるものとして厚生労働省令で定める者を含む。)に係る昭和三十六年四月一日から 初めて永住帰国した日の前日までの期間であって政令で定めるものについては、政令で定めるところにより、国民年金法等の一部を改正する法律昭和六十年法律第三十四号。第三項において「昭和六十年法律第三十四号」という。)第一条の規定による改正前の国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)(以下「旧国民年金法」という。)による被保険者期間(以下「旧被保険者期間」という。)又は国民年金法第七条第一項第一号に規定する第一号被保険者としての国民年金の被保険者期間(以下「新被保険者期間」という。)とみなす。

2項

前項に規定する永住帰国した中国残留邦人等(六十歳以上の者に限る)であって昭和三十六年四月一日以後に初めて永住帰国したもの(以下「特定中国残留邦人等」という。)は、旧被保険者期間 又は新被保険者期間(同項の規定により旧被保険者期間 又は新被保険者期間とみなされた期間を含み、旧国民年金法第五条第三項に規定する保険料納付済期間、国民年金法第五条第一項に規定する保険料納付済期間 その他の政令で定める期間を除く第四項において同じ。)に係る保険料を納付することができる。

3項

国は、特定中国残留邦人等に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定中国残留邦人等の旧被保険者期間(第一項の規定により旧被保険者期間とみなされた期間を含む。)及び昭和六十年法律第三十四号附則第八条第二項に規定する厚生年金保険の被保険者期間(政令で定める期間に限る)並びに国民年金法による被保険者期間(第一項の規定により新被保険者期間とみなされた期間を含み、政令で定める期間を除く)に応じ、政令で定める額の一時金を支給する。

4項

国は、前項の一時金の支給に当たっては、特定中国残留邦人等が満額の老齢基礎年金等の支給を受けるために納付する旧被保険者期間 又は新被保険者期間に係る保険料に相当する額として政令で定める額を当該一時金から 控除し、当該特定中国残留邦人等に代わって当該保険料を納付するものとする。

5項

永住帰国した中国残留邦人等に係る国民年金法に規定する事項 及び前各項の規定の適用に関し必要な事項については、同法 その他の法令の規定にかかわらず、政令で特別の定めをすることができる。

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1項

この法律による支援給付(以下「支援給付」という。)は、特定中国残留邦人等であって、その者の属する世帯の収入の額(その者に支給される老齢基礎年金 その他に係る厚生労働省令で定める額を除く)がその者(当該世帯にその者の特定配偶者、その者以外の特定中国残留邦人等 その他厚生労働省令で定める者があるときは、これらの者を含む。)について生活保護法昭和二十五年法律第百四十四号第八条第一項の基準により算出した額に比して不足するものに対して、その不足する範囲内において行うものとする。

2項

支援給付の種類は、次のとおりとする。

一 号
生活支援給付
二 号
住宅支援給付
三 号
医療支援給付
四 号
介護支援給付
五 号
その他政令で定める給付
3項

支援給付を受けている特定中国残留邦人等であって、その者の属する世帯にその者の特定配偶者があるものが死亡した場合において、当該特定中国残留邦人等の死亡後も当該特定配偶者の属する世帯の収入の額(厚生労働省令で定める額を除く)が当該特定配偶者(当該世帯に厚生労働省令で定める者があるときは、その者を含む。)について生活保護法第八条第一項の基準により算出した額に比して継続して不足するときは、当該世帯に他の特定中国残留邦人等がある場合を除き、当該特定配偶者に対して、厚生労働省令で定めるところにより、支援給付を行うものとする。


ただし、当該特定配偶者が当該死亡後に婚姻したとき(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者となったときを含む。)は、この限りでない。

4項

この法律に特別の定めがある場合のほか、支援給付については、生活保護法の規定の例による。

5項

支援給付の実施に当たっては、特定中国残留邦人等 及び特定配偶者の置かれている事情に鑑み、特定中国残留邦人等 及び特定配偶者が日常生活 又は社会生活を円滑に営むことができるようにするために必要な配慮をして、懇切丁寧に行うものとする。

6項

支援給付については、政令で定めるところにより、支援給付を生活保護法による保護とみなして、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)その他政令で定める法令の規定を適用する。

7項

前項に定めるもののほか、支援給付に関する事項に係る他の法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

8項

前各項に定めるもののほか、支援給付の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

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1項

この法律による配偶者支援金の支給は、前条第三項の規定により支援給付を受ける権利を有する特定配偶者に対して行うものとする。

2項

配偶者支援金は、月を単位として支給するものとし、その月額は、国民年金法第二十七条本文に規定する老齢基礎年金の額(同法第二十七条の三 又は第二十七条の五の規定により改定した同法第二十七条に規定する改定率を乗じて得たものに限る)を十二で除して得た額に三分の二を乗じた額とする。

3項

前条第四項第五項 及び第七項の規定は、配偶者支援金の支給について準用する。

4項

国は、政令で定めるところにより、市町村 及び都道府県が支弁した配偶者支援金の支給に要する費用を負担しなければならない。

5項

前各項に定めるもののほか、配偶者支援金の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

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1項

第十三条第三項の一時金、支援給付 及び配偶者支援金を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない

2項

租税 その他の公課は、第十三条第三項の一時金、支援給付 及び配偶者支援金として支給を受けた金品を標準として、課することができない

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1項

日本年金機構は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、第十三条第三項の一時金の支給 及び同条第四項の保険料の納付に関して必要な情報の提供を行うものとする。

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1項

国は、中国残留邦人等が一時帰国する場合には、当該中国残留邦人等に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該一時帰国のための旅行に要する費用(当該一時帰国する中国残留邦人等に同行する当該中国残留邦人等の親族等であって厚生労働省令で定めるものがいる場合 又は当該一時帰国のために介護人が必要な場合として厚生労働省令で定める場合には、当該親族等 又は当該介護人の本邦への旅行に要する費用を含む。)を支給する。

2項

国は、中国残留邦人等が一時帰国する場合には、当該中国残留邦人等 並びに前項に規定する当該親族等 及び当該介護人が出入国管理及び難民認定法 その他出入国に関する法令の規定に基づき円滑に帰国し又は入国することができるよう特別の配慮をするものとする。

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1項

第十四条第四項第十五条第三項において準用する場合を含む。)においてその例によるものとされた生活保護法別表第三の下欄に掲げる規定によりそれぞれ同表の上欄に掲げる地方公共団体が処理することとされている事務は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

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