交通政策基本法

# 平成二十五年法律第九十二号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   警察
@ 施行日 : 令和二年十二月九日 ( 2020年 12月9日 )
@ 最終更新 : 令和二年法律第七十三号による改正
最終編集日 : 2023年 03月20日 13時03分


1項

この法律は、交通に関する施策について、基本理念 及び その実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国 及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、交通安全対策基本法昭和四十五年法律第百十号)と相まって、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上 及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。

1項

交通に関する施策の推進は、交通が、国民の自立した日常生活 及び社会生活の確保、活発な地域間交流 及び国際交流 並びに物資の円滑な流通を実現する機能を有するものであり、国民生活の安定向上 及び国民経済の健全な発展を図るために欠くことのできないものであることに鑑み、将来にわたって、その機能が十分に発揮されることにより、国民 その他の者(以下「国民等」という。)の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識の下に行われなければならない。

1項

交通に関する施策の推進は、交通が、国民の日常生活 及び社会生活の基盤であること、国民の社会経済活動への積極的な参加に際して重要な役割を担っていること 及び経済活動の基盤であることに鑑み、我が国における近年の急速な少子高齢化の進展、人口の減少 その他の社会経済情勢の変化に対応しつつ、交通が、豊かな国民生活の実現に寄与するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争力の強化 並びに地域経済の活性化、地域社会の維持 及び発展 その他地域の活力の向上に寄与するものとなるよう、その機能の確保 及び向上が図られることを旨として行われなければならない。

2項

交通の機能の確保 及び向上を図るに当たっては、国土強靱化の観点を踏まえ、大規模な災害が発生した場合においても 交通の機能が維持されるとともに、当該災害からの避難のための移動が円滑に行われること等を通じて、我が国の社会経済活動の持続可能性を確保することの重要性に鑑み、できる限り、当該災害による交通の機能の低下の抑制 及び その迅速な回復に資するとともに、当該災害の発生時における避難のための移動に的確に対応し得るものとなるように配慮しなければならない。

1項

交通に関する施策の推進は、環境を健全で恵み豊かなものとして維持することが人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであること 及び交通が環境に与える影響に鑑み、将来にわたって、国民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受することができるよう、交通による環境への負荷の低減が図られることを旨として行われなければならない。

1項

交通に関する施策の推進は、徒歩、自転車、自動車、鉄道車両、船舶、航空機 その他の手段による交通が、交通手段(交通施設 及び輸送サービスを含む。以下同じ。)の選択に係る競争 及び国民等の自由な選好を踏まえつつそれぞれの特性に応じて適切に役割を分担し、かつ、有機的かつ効率的に連携することを旨として行われなければならない。

1項

交通に関する施策の推進は、まちづくり、観光立国の実現 その他の観点を踏まえ、当該施策相互間の連携 及び これと関連する施策との連携を図りながら、国、地方公共団体、運輸事業 その他交通に関する事業を行う者(以下「交通関連事業者」という。)、交通施設の管理を行う者(以下「交通施設管理者」という。)、住民 その他の関係者が連携し、及び協働しつつ、行われなければならない。

1項

交通の安全の確保に関する施策については、当該施策が国民等の生命、身体 及び財産の保護を図る上で重要な役割を果たすものであることに鑑み、交通安全対策基本法 その他の関係法律で定めるところによる。

2項

交通に関する施策の推進に当たっては、前項に定めるところにより行われる交通の安全の確保に関する施策との十分な連携が確保されなければならない。

1項

国は、第二条から第六条までに定める交通に関する施策についての基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、交通に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2項

国は、情報の提供 その他の活動を通じて、基本理念に関する国民等の理解を深め、かつ、その協力を得るよう努めなければならない。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、交通に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2項

地方公共団体は、情報の提供 その他の活動を通じて、基本理念に関する住民 その他の者の理解を深め、かつ、その協力を得るよう努めなければならない。

1項

交通関連事業者 及び交通施設管理者は、基本理念の実現に重要な役割を有していることに鑑み、その業務を適切に行うよう努めるとともに、国 又は地方公共団体が実施する交通に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2項

前項に定めるもののほか、交通関連事業者 及び交通施設管理者は、基本理念にのっとり、その業務を行うに当たっては、当該業務に係る正確かつ適切な情報の提供に努めるものとする。

1項

国民等は、基本理念についての理解を深め、その実現に向けて自ら取り組むことができる活動に主体的に取り組むよう努めるとともに、国 又は地方公共団体が実施する交通に関する施策に協力するよう努めることによって、基本理念の実現に積極的な役割を果たすものとする。

1項

国、地方公共団体、交通関連事業者、交通施設管理者、住民 その他の関係者は、基本理念の実現に向けて、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。

1項

政府は、交通に関する施策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。

1項

政府は、毎年、国会に、交通の動向 及び政府が交通に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。

2項

政府は、毎年、前項の報告に係る交通の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。