人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律

# 平成二十八年法律第七十六号 #
略称 : 宇宙活動法 

第五章 ロケット落下等損害の賠償

分類 法律
カテゴリ   行政組織
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月29日 18時02分


第一節 ロケット落下等損害賠償責任

1項

国内に所在し、又は日本国籍を有する船舶 若しくは航空機に搭載された打上げ施設を用いて人工衛星等の打上げを行う者は、当該人工衛星等の打上げに伴いロケット落下等損害を与えたときは、その損害を賠償する責任を負う。

1項

前条の場合において、同条の規定により損害を賠償する責任を負うべき人工衛星等の打上げを行う者以外の者は、その損害を賠償する責任を負わない。

2項

ロケット落下等損害については、製造物責任法平成六年法律第八十五号)の規定は、適用しない

3項

第一項の規定は、原子力損害の賠償に関する法律昭和三十六年法律第百四十七号)の適用を排除するものと解してはならない。

1項

前二条の規定にかかわらず、ロケット落下等損害の発生に関して天災 その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任 及び額を定めるについて、これをしん酌することができる。

1項

第三十五条の場合において、他にその損害の発生の原因について責任を負うべき者があるときは、同条の規定により損害を賠償した者は、その者に対して求償権を有する。


ただし、当該責任を負うべき者が当該人工衛星等の打上げの用に供された資材 その他の物品 又は役務の提供をした者当該人工衛星等の打上げの用に供された打上げ施設を管理し、及び運営する者除く)であるときは、当該損害がその者 又はその者の従業者の故意により生じたものである場合に限り、その者に対して求償権を有する。

2項

前項の規定は、求償権に関し書面による特約をすることを妨げない。

第二節 ロケット落下等損害賠償責任保険契約

1項

ロケット落下等損害の被害者は、その損害賠償請求権に関し、ロケット落下等損害賠償責任保険契約の保険金について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する。

2項

被保険者は、ロケット落下等損害の被害者に対する損害賠償額について、自己が支払った限度 又は当該被害者の承諾があった限度においてのみ、保険者に対して保険金の支払を請求することができる。

3項

ロケット落下等損害賠償責任保険契約の保険金請求権は、これを譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。


ただし、ロケット落下等損害の被害者がその損害賠償請求権に関し差し押さえる場合は、この限りでない。

第三節 ロケット落下等損害賠償補償契約

1項

政府は、打上げ実施者を相手方として、打上げ実施者の特定ロケット落下等損害の賠償の責任が発生した場合において、これを打上げ実施者が賠償することにより生ずる損失を当該特定ロケット落下等損害の賠償に充てられる第九条第二項に規定する損害賠償担保措置(以下単に「損害賠償担保措置」という。)の賠償措置額に相当する金額を超えない範囲内で政府が補償することを約するロケット落下等損害賠償補償契約を締結することができる。

2項

前項に定めるもののほか政府は、打上げ実施者を相手方として、打上げ実施者のロケット落下等損害の賠償の責任が発生した場合において、ロケット落下等損害賠償責任保険契約、同項のロケット落下等損害賠償補償契約 その他のロケット落下等損害を賠償するための措置によっては埋めることができないロケット落下等損害を打上げ実施者が賠償することにより生ずる損失を、我が国の人工衛星等の打上げに関係する産業の国際競争力の強化の観点から措置することが適当なものとして内閣府令で定める金額から当該打上げ実施者のロケット落下等損害の賠償に充てられる損害賠償担保措置の賠償措置額に相当する金額(当該ロケット落下等損害について相当措置が講じられている場合にあっては、当該賠償措置額に相当する金額 又は当該相当措置により当該ロケット落下等損害の賠償に充てることができる金額のいずれか多い金額)を控除した金額を超えない範囲内で政府が補償することを約するロケット落下等損害賠償補償契約を締結することができる。

3項

前条の規定は、ロケット落下等損害賠償補償契約に基づく補償金について準用する。

1項
ロケット落下等損害賠償補償契約の期間は、その締結の時から当該ロケット落下等損害賠償補償契約に係る人工衛星等の打上げを終える時までとする。
1項

政府がロケット落下等損害賠償補償契約により補償する金額は、当該ロケット落下等損害賠償補償契約の期間内における人工衛星等の打上げにより与えたロケット落下等損害を打上げ実施者が賠償することにより生ずる損失について当該ロケット落下等損害賠償補償契約に係る契約金額までとする。

1項

政府は、一会計年度内に締結するロケット落下等損害賠償補償契約に係る契約金額の合計額が会計年度ごとに国会の議決を経た金額を超えない範囲内で、ロケット落下等損害賠償補償契約を締結するものとする。

1項

補償金の支払を受ける権利は、これを行使することができる時から三年を経過したときは、時効によって消滅する。

1項

政府は、ロケット落下等損害賠償補償契約により補償した場合において、当該ロケット落下等損害賠償補償契約の相手方である打上げ実施者第三者に対して求償権を有するときは、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額を限度として当該求償権を取得する。

一 号

政府が補償した金額

二 号
当該求償権の金額
1項

政府は、ロケット落下等損害賠償補償契約に基づき補償金を支払った場合において、当該ロケット落下等損害賠償補償契約の相手方である打上げ実施者次の各号いずれかに該当するときは、当該打上げ実施者から、政令で定めるところにより、その返還をさせるものとする。

一 号

第八条の規定に違反して人工衛星等の打上げを行ったこと。

二 号

人工衛星等の打上げを行った際、第十二条第一号 又は第五号に該当していたこと。

1項

この節に規定する政府の業務は、内閣総理大臣が管掌する。

2項

内閣総理大臣は、ロケット落下等損害賠償補償契約を締結しようとするときは、あらかじめ財務大臣協議しなければならない。

1項

政府は、政令で定めるところにより、ロケット落下等損害賠償補償契約に基づく業務の一部を保険者に委託することができる。

2項

内閣総理大臣は、前項の規定による委託をしたときは、委託を受けた者の名称 その他内閣府令で定める事項を告示しなければならない。

第四節 供託

1項

損害賠償担保措置としての供託は、打上げ実施者の主たる事務所(国内に事務所がない場合にあっては、第四条第一項の許可に係る打上げ施設の場所(船舶に搭載された打上げ施設にあっては当該船舶の船籍港の所在地、航空機に搭載された打上げ施設にあっては当該航空機の定置場の所在地)の最寄りの法務局 又は地方法務局に、金銭 又は内閣府令で定める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。次条 及び第五十一条において同じ。)によりするものとする。

1項

ロケット落下等損害の被害者は、その損害賠償請求権に関し、前条の規定により打上げ実施者が供託した金銭 又は有価証券について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する。

1項

打上げ実施者は、次に掲げる場合においては、内閣総理大臣の承認を受けて、第四十九条の規定により供託した金銭 又は有価証券を取り戻すことができる。

一 号
人工衛星等の打上げを終え、かつ、ロケット落下等損害を与えないことが明らかとなったとき。
二 号
ロケット落下等損害が発生し、その損害の賠償を終えたとき。
三 号
供託に代えて他の損害賠償担保措置を講じたとき。
1項

この節に定めるもののほか、供託に関する事項は、内閣府令・法務省令で定める。