この法律は、住生活の安定の確保 及び向上の促進に関する施策について、基本理念を定め、並びに国 及び地方公共団体 並びに住宅関連事業者の責務を明らかにするとともに、基本理念の実現を図るための基本的施策、住生活基本計画 その他の基本となる事項を定めることにより、住生活の安定の確保 及び向上の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上と社会福祉の増進を図るとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
この法律において「住生活基本計画」とは、第十五条第一項に規定する全国計画 及び第十七条第一項に規定する都道府県計画をいう。
この法律において「公営住宅等」とは、次に掲げる住宅をいう。
公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号に規定する公営住宅(以下単に「公営住宅」という。)
住宅地区改良法(昭和三十五年法律第八十四号)第二条第六項に規定する改良住宅
独立行政法人住宅金融支援機構が貸し付ける資金によって建設、購入 又は改良が行われる住宅
独立行政法人都市再生機構がその業務として賃貸 又は譲渡を行う住宅
前各号に掲げるもののほか、国、政府関係機関 若しくは地方公共団体が建設を行う住宅 又は国 若しくは地方公共団体が補助、貸付け その他の助成を行うことによりその建設の推進を図る住宅
住生活の安定の確保 及び向上の促進に関する施策の推進は、我が国における近年の急速な少子高齢化の進展、生活様式の多様化 その他の社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、住宅の需要 及び供給に関する長期見通しに即し、かつ、居住者の負担能力を考慮して、現在 及び将来における国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給、建設、改良 又は管理(以下「供給等」という。)が図られることを旨として、行われなければならない。
住生活の安定の確保 及び向上の促進に関する施策の推進は、地域の自然、歴史、文化 その他の特性に応じて、環境との調和に配慮しつつ、住民が誇りと愛着をもつことのできる良好な居住環境の形成が図られることを旨として、行われなければならない。
住生活の安定の確保 及び向上の促進に関する施策の推進は、民間事業者の能力の活用 及び既存の住宅の有効利用を図りつつ、居住のために住宅を購入する者 及び住宅の供給等に係るサービスの提供を受ける者の利益の擁護 及び増進が図られることを旨として、行われなければならない。
住生活の安定の確保 及び向上の促進に関する施策の推進は、住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であることにかんがみ、低額所得者、被災者、高齢者、子どもを育成する家庭 その他住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られることを旨として、行われなければならない。
国 及び地方公共団体は、第三条から前条までに定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、住生活の安定の確保 及び向上の促進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
国は、基本理念にのっとり、住宅の品質 又は性能の維持 及び向上に資する技術に関する研究開発を促進するとともに、住宅の建設における木材の使用に関する伝統的な技術の継承 及び向上を図るため、これらの技術に関する情報の収集 及び提供 その他必要な措置を講ずるものとする。
国 及び地方公共団体は、教育活動、広報活動 その他の活動を通じて、住生活の安定の確保 及び向上の促進に関し、国民の理解を深め、かつ、その協力を得るよう努めなければならない。
住宅の供給等を業として行う者(以下「住宅関連事業者」という。)は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たって、自らが住宅の安全性 その他の品質 又は性能の確保について最も重要な責任を有していることを自覚し、住宅の設計、建設、販売 及び管理の各段階において住宅の安全性 その他の品質 又は性能を確保するために必要な措置を適切に講ずる責務を有する。
前項に定めるもののほか、住宅関連事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る住宅に関する正確かつ適切な情報の提供に努めなければならない。
国、地方公共団体、公営住宅等の供給等を行う者、住宅関連事業者、居住者、地域において保健医療サービス 又は福祉サービスを提供する者 その他の関係者は、基本理念にのっとり、現在 及び将来の国民の住生活の安定の確保 及び向上の促進のため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。
政府は、住生活の安定の確保 及び向上の促進に関する施策を実施するために必要な法制上、財政上 又は金融上の措置 その他の措置を講じなければならない。