この法律は、脳卒中、心臓病 その他の循環器病(以下単に「循環器病」という。)が国民の疾病による死亡の原因 及び国民が介護を要する状態となる原因の主要なものとなっている等循環器病が国民の生命 及び健康にとって重大な問題となっている現状に鑑み、循環器病の予防に取り組むこと等により国民の健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間をいう。)の延伸等を図り、あわせて医療 及び介護に係る負担の軽減に資するため、循環器病に係る対策(以下「循環器病対策」という。)に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、医療保険者、国民 及び保健、医療 又は福祉の業務に従事する者の責務を明らかにし、並びに循環器病対策の推進に関する計画の策定について定めるとともに、循環器病対策の基本となる事項を定めることにより、循環器病対策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法
第一章 総則
循環器病対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
喫煙、食生活、運動 その他の生活習慣の改善等による循環器病の予防 及び循環器病を発症した疑いがある場合における迅速かつ適切な対応の重要性に関する国民の理解と関心を深めるようにすること。
循環器病を発症した疑いがある者の搬送 及び医療機関による受入れの迅速かつ適切な実施、循環器病患者に対する良質かつ適切なリハビリテーションを含む医療(以下単に「医療」という。)の迅速な提供、循環器病患者 及び循環器病の後遺症を有する者に対する福祉サービスの提供 その他の循環器病患者等に対する保健、医療 及び福祉に係るサービスの提供が、その居住する地域にかかわらず等しく、継続的かつ総合的に行われるようにすること。
循環器病に関する専門的、学際的 又は総合的な研究が企業 及び大学 その他の研究機関の連携が図られつつ行われるようにその推進を図るとともに、循環器病に係る予防、診断、治療、リハビリテーション等に係る技術の向上 その他の研究等の成果を普及し、及び その成果に関する情報を提供し、あわせて、企業等においてその成果を活用して商品 又はサービスが開発され、及び提供されるようにすること。
国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、循環器病対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
地方公共団体は、基本理念にのっとり、循環器病対策に関し、国との連携を図りつつ、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
医療保険者(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第七条第二項に規定する保険者 及び同法第四十八条に規定する後期高齢者医療広域連合をいう。)は、国 及び地方公共団体が講ずる循環器病の予防等に関する啓発及び知識の普及等の施策に協力するよう努めなければならない。
国民は、喫煙、食生活、運動 その他の生活習慣 及び生活環境、肥満 その他の健康状態 並びに高血圧症、脂質異常症、糖尿病、心房細動 その他の疾病が循環器病の発症に及ぼす影響等循環器病に関する正しい知識を持ち、日常生活において循環器病の予防に積極的に取り組むよう努めるとともに、自己 又はその家族等が循環器病を発症した疑いがある場合においては、できる限り迅速かつ適切に対応するよう努めなければならない。
保健、医療 又は福祉の業務に従事する者は、国 及び地方公共団体が講ずる循環器病対策に協力し、循環器病の予防等に寄与するよう努めるとともに、循環器病患者等に対し良質かつ適切な保健、医療 又は福祉に係るサービスを提供するよう努めなければならない。
政府は、循環器病対策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。