児童福祉法

# 昭和二十二年法律第百六十四号 #
略称 : 児福法 

第四節 実施機関

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月21日 10時37分


1項

市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

一 号

児童 及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。

二 号

児童 及び妊産婦の福祉に関し、必要な情報の提供を行うこと。

三 号

児童 及び妊産婦の福祉に関し、家庭 その他からの相談に応ずること 並びに必要な調査 及び指導を行うこと 並びにこれらに付随する業務を行うこと。

四 号
児童 及び妊産婦の福祉に関し、心身の状況等に照らし包括的な支援を必要とすると認められる要支援児童等 その他の者に対して、これらの者に対する支援の種類 及び内容 その他の内閣府令で定める事項を記載した計画の作成 その他の包括的かつ計画的な支援を行うこと。
五 号

前各号に掲げるもののほか、児童 及び妊産婦の福祉に関し、家庭 その他につき、必要な支援を行うこと。

○2項

市町村長は、前項第三号に掲げる業務のうち専門的な知識 及び技術を必要とするものについては、児童相談所の技術的援助 及び助言を求めなければならない。

○3項

市町村長は、第一項第三号に掲げる業務を行うに当たつて、医学的、心理学的、教育学的、社会学的 及び精神保健上の判定を必要とする場合には、児童相談所の判定を求めなければならない。

○4項

市町村は、この法律による事務を適切に行うために必要な体制の整備に努めるとともに、当該事務に従事する職員の人材の確保 及び資質の向上のために必要な措置を講じなければならない。

5項

国は、市町村における前項の体制の整備 及び措置の実施に関し、必要な支援を行うように努めなければならない。

1項
市町村は、こども家庭センターの設置に努めなければならない。
2項
こども家庭センターは、次に掲げる業務を行うことにより、児童 及び妊産婦の福祉に関する包括的な支援を行うことを目的とする施設とする。
一 号

前条第一項第一号から第四号までに掲げる業務を行うこと。

二 号
児童 及び妊産婦の福祉に関する機関との連絡調整を行うこと。
三 号
児童 及び妊産婦の福祉 並びに児童の健全育成に資する支援を行う者の確保、当該支援を行う者が相互の有機的な連携の下で支援を円滑に行うための体制の整備 その他の児童 及び妊産婦の福祉 並びに児童の健全育成に係る支援を促進すること。
四 号

前三号に掲げるもののほか、児童 及び妊産婦の福祉に関し、家庭 その他につき、必要な支援を行うこと。

3項

こども家庭センターは、前項各号に掲げる業務を行うに当たつて、次条第一項に規定する地域子育て相談機関と密接に連携を図るものとする。

1項

市町村は、地理的条件、人口、交通事情 その他の社会的条件、子育てに関する施設の整備の状況等を総合的に勘案して定める区域ごとに、その住民からの子育てに関する相談に応じ、必要な助言を行うことができる地域子育て相談機関(当該区域に所在する保育所、認定こども園、地域子育て支援拠点事業を行う場所 その他の内閣府令で定める場所であつて、的確な相談 及び助言を行うに足りる体制を有すると市町村が認めるものをいう。以下この条において同じ。)の整備に努めなければならない。

1項

地域子育て相談機関は、前項の相談 及び助言を行うほか、必要に応じ、こども家庭センターと連絡調整を行うとともに、地域の住民に対し、子育て支援に関する情報の提供を行うよう努めなければならない。

1項
市町村は、その住民に対し、地域子育て相談機関の名称、所在地 その他必要な情報を提供するよう努めなければならない。
1項

都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。

一 号

第十条第一項各号に掲げる市町村の業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供、市町村職員の研修 その他必要な援助を行うこと 及びこれらに付随する業務を行うこと。

二 号

児童 及び妊産婦の福祉に関し、主として次に掲げる業務を行うこと。

各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。

児童に関する家庭 その他からの相談のうち、専門的な知識 及び技術を必要とするものに応ずること。

児童 及びその家庭につき、必要な調査 並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的 及び精神保健上の判定を行うこと。

児童 及びその保護者につき、の調査 又は判定に基づいて心理 又は児童の健康 及び心身の発達に関する専門的な知識 及び技術を必要とする指導 その他必要な指導を行うこと。

児童の一時保護を行うこと。

児童の権利の保護の観点から、一時保護の解除後の家庭 その他の環境の調整、当該児童の状況の把握 その他の措置により当該児童の安全を確保すること。

養子縁組により養子となる児童、その父母 及び当該養子となる児童の養親となる者、養子縁組により養子となつた児童、その養親となつた者 及び当該養子となつた児童の父母(民法明治二十九年法律第八十九号第八百十七条の二第一項に規定する特別養子縁組により親族関係が終了した当該養子となつた児童の実方の父母を含む。)その他の児童を養子とする養子縁組に関する者につき、その相談に応じ、必要な情報の提供、助言 その他の援助を行うこと。

里親に関する次に掲げる業務を行うこと。

(1)

里親に関する普及啓発を行うこと。

(2)

里親につき、その相談に応じ、必要な情報の提供、助言、研修 その他の援助を行うこと。

(3)

里親と第二十七条第一項第三号の規定により入所の措置が採られて乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設 又は児童自立支援施設に入所している児童 及び里親相互の交流の場を提供すること。

(4)

第二十七条第一項第三号の規定による里親への委託に資するよう、里親の選定 及び里親と児童との間の調整を行うこと。

(5)

第二十七条第一項第三号の規定により里親に委託しようとする児童 及びその保護者 並びに里親の意見を聴いて、当該児童の養育の内容 その他の内閣府令で定める事項について当該児童の養育に関する計画を作成すること。

養子縁組により養子となる児童、その父母 及び当該養子となる児童の養親となる者、養子縁組により養子となつた児童、その養親となつた者 及び当該養子となつた児童の父母(特別養子縁組により親族関係が終了した当該養子となつた児童の実方の父母を含む。)その他の児童を養子とする養子縁組に関する者につき、その相談に応じ、必要な情報の提供、助言 その他の援助を行うこと。

児童養護施設その他の施設への入所の措置、一時保護の措置 その他の措置の実施 及びこれらの措置の実施中における処遇に対する児童の意見 又は意向に関し、都道府県児童福祉審議会 その他の機関の調査審議 及び意見の具申が行われるようにすること その他の児童の権利の擁護に係る環境の整備を行うこと。

措置解除者等の実情を把握し、その自立のために必要な援助を行うこと。
三 号

前二号に掲げるもののほか、児童 及び妊産婦の福祉に関し、広域的な対応が必要な業務 並びに家庭 その他につき専門的な知識 及び技術を必要とする支援を行うこと。

○2項

都道府県知事は、市町村の第十条第一項各号に掲げる業務の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、体制の整備 その他の措置について必要な助言を行うことができる。

○3項

都道府県知事は、第一項 又は前項の規定による都道府県の事務の全部 又は一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。

○4項

都道府県知事は、第一項第二号トに掲げる業務(以下「里親支援事業」という。)に係る事務の全部 又は一部を内閣府令で定める者に委託することができる。

○5項

前項の規定により行われる里親支援事業に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、その事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

6項

都道府県は、この法律による事務を適切に行うために必要な体制の整備に努めるとともに、当該事務に従事する職員の人材の確保 及び資質の向上のために必要な措置を講じなければならない。

7項

国は、都道府県における前項の体制の整備 及び措置の実施に関し、必要な支援を行うように努めなければならない。

1項

都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。

○2項
児童相談所の管轄区域は、地理的条件、人口、交通事情 その他の社会的条件について政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとする。
○3項

児童相談所は、児童の福祉に関し、主として前条第一項第一号に掲げる業務(市町村職員の研修を除く)並びに同項第二号除く)及び第三号に掲げる業務 並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第二十二条第二項 及び第三項 並びに第二十六条第一項に規定する業務を行うものとする。

○4項

都道府県は、児童相談所が前項に規定する業務のうち第二十八条第一項各号に掲げる措置を採ること その他の法律に関する専門的な知識経験を必要とするものについて、常時弁護士による助言 又は指導の下で適切かつ円滑に行うため、児童相談所における弁護士の配置 又はこれに準ずる措置を行うものとする。

○5項

児童相談所は、必要に応じ、巡回して、第三項に規定する業務(前条第一項第二号ホに掲げる業務を除く)を行うことができる。

6項

児童相談所長は、その管轄区域内の社会福祉法に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)の長(以下「福祉事務所長」という。)に必要な調査を委嘱することができる。

7項

都道府県知事は、第三項に規定する業務の質の評価を行うこと その他必要な措置を講ずることにより、当該業務の質の向上に努めなければならない。

8項

国は、前項の措置を援助するために、児童相談所の業務の質の適切な評価の実施に資するための措置を講ずるよう努めなければならない。

1項

児童相談所には、所長 及び所員を置く。

○2項

所長は、都道府県知事の監督を受け、所務を掌理する。

○3項

所員は、所長の監督を受け、前条に規定する業務をつかさどる。

○4項

児童相談所には、第一項に規定するもののほか、必要な職員を置くことができる。

1項

児童相談所の所長 及び所員は、都道府県知事の補助機関である職員とする。

○2項

所長は、次の各号いずれかに該当する者でなければならない。

一 号

医師であつて、精神保健に関して学識経験を有する者

二 号

学校教育法に基づく大学 又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学において、心理学を専修する学科 又はこれに相当する課程を修めて卒業した者(当該学科 又は当該課程を修めて同法に基づく専門職大学の前期課程を修了した者を含む。

三 号
社会福祉士
四 号

精神保健福祉士

五 号

公認心理師

六 号

児童の福祉に関する事務をつかさどる職員(以下「児童福祉司」という。)として二年以上勤務した者 又は児童福祉司たる資格を得た後二年以上所員として勤務した者

七 号

前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者であつて、内閣府令で定めるもの

○3項
所長は、内閣総理大臣が定める基準に適合する研修を受けなければならない。
○4項

相談 及び調査をつかさどる所員は、児童福祉司たる資格を有する者でなければならない。

○5項

判定をつかさどる所員の中には、第二項第一号に該当する者 又はこれに準ずる資格を有する者 及び同項第二号に該当する者 若しくはこれに準ずる資格を有する者 又は同項第五号に該当する者が、それぞれ一人以上含まれなければならない。

○6項

心理に関する専門的な知識 及び技術を必要とする指導をつかさどる所員の中には、第二項第一号に該当する者 若しくはこれに準ずる資格を有する者、同項第二号に該当する者 若しくはこれに準ずる資格を有する者 又は同項第五号に該当する者が含まれなければならない。

7項

前項に規定する指導をつかさどる所員の数は、政令で定める基準を標準として都道府県が定めるものとする。

8項

児童の健康 及び心身の発達に関する専門的な知識 及び技術を必要とする指導をつかさどる所員の中には、医師 及び保健師が、それぞれ一人以上含まれなければならない。

1項

児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設(以下「一時保護施設」という。)を設けなければならない。

2項

都道府県は、一時保護施設の設備 及び運営について、条例で基準を定めなければならない。


この場合において、その基準は、児童の身体的、精神的 及び社会的な発達のために必要な生活水準を確保するものでなければならない。

3項

都道府県が前項の条例を定めるに当たつては、次に掲げる事項については内閣府令で定める基準に従い定めるものとし、その他の事項については内閣府令で定める基準を参酌するものとする。

一 号
一時保護施設に配置する従業者 及びその員数
二 号
一時保護施設に係る居室の床面積 その他一時保護施設の設備に関する事項であつて、児童の適切な処遇の確保に密接に関連するものとして内閣府令で定めるもの
三 号
一時保護施設の運営に関する事項であつて、児童の適切な処遇 及び安全の確保 並びに秘密の保持に密接に関連するものとして内閣府令で定めるもの
1項

この法律で定めるもののほか、当該都道府県内の児童相談所を援助する中央児童相談所の指定 その他児童相談所に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

1項

保健所は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。

一 号

児童の保健について、正しい衛生知識の普及を図ること。

二 号

児童の健康相談に応じ、又は健康診査を行い、必要に応じ、保健指導を行うこと。

三 号

身体に障害のある児童 及び疾病により長期にわたり療養を必要とする児童の療育について、指導を行うこと。

四 号

児童福祉施設に対し、栄養の改善 その他衛生に関し、必要な助言を与えること。

○2項

児童相談所長は、相談に応じた児童、その保護者 又は妊産婦について、保健所に対し、保健指導 その他の必要な協力を求めることができる。