法務大臣は、外務大臣から第四条の規定により証拠の提供に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた場合において、次の各号のいずれにも該当しないときは、次項 又は第三項に規定する措置をとるものとする。
国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律
第一款 証拠の提供
当該協力の請求が国際捜査共助等に関する法律(昭和五十五年法律第六十九号)第一条第一号に規定する共助(以下 この号 及び第三十九条第一項第二号において「捜査共助」という。)の要請と競合し、かつ、規程の定めるところによりその要請を優先させることができる場合において、当該捜査共助をすることが相当であると認めるとき。
当該協力の請求に応ずることにより、請求犯罪以外の罪に係る事件で日本国の検察官、検察事務官 若しくは司法警察職員によって捜査され 又は日本国の裁判所に係属しているものについて、その捜査 又は裁判を妨げるおそれがあり、直ちに当該請求に応ずることが相当でないと認めるとき。
前項の規定により法務大臣がとる措置は、次項に規定する場合を除き、次の各号のいずれかとする。
海上保安庁長官 その他の刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第百九十条に規定する司法警察職員として職務を行うべき者の置かれている国の機関の長に証拠の提供に係る協力の請求に関する書面を送付すること。
第一項に規定する協力の請求が裁判所、検察官 又は司法警察員の保管する訴訟に関する書類の提供に係るものであるときは、法務大臣は、その書類の保管者に協力の請求に関する書面を送付するものとする。
法務大臣は、前二項に規定する措置 その他の証拠の提供に係る協力に関する措置をとるため必要があると認めるときは、関係人の所在 その他必要な事項について調査を行うことができる。
国家公安委員会は、前条第二項第二号の書面の送付を受けたときは、相当と認める警察庁 又は都道府県警察に対し、証拠の提供に係る協力に必要な証拠の収集を指示するものとする。
この場合において、都道府県警察に対して指示を行うときは、当該都道府県警察に関係書類を送付するものとする。
国際捜査共助等に関する法律第七条、第八条、第十条、第十二条 及び第十三条の規定は、第六条第一項の請求による証拠の提供に係る協力について準用する。
この場合において、
同法第七条第一項中
「第五条第一項第一号」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成十九年法律第三十七号)第六条第二項第一号」と、
同条第二項 及び第三項中
「前条」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第七条」と、
同条第四項中
「第五条第一項第三号」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第六条第二項第三号」と、
同法第十三条中
「この法律に特別の定めがある」とあるのは
「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律第八条において準用する第八条、第十条 及び前条に規定する」と
読み替えるものとする。
前条において準用する国際捜査共助等に関する法律第八条第三項の規定による証明書の提出を求められた者が、虚偽の証明書を提出したときは、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
前項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)又は第四章の罪に触れるときは、これを適用しない。
検事正は、証拠の提供に係る協力に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、法務大臣に対し、収集した証拠を送付しなければならない。
第六条第二項第三号の国の機関の長が協力に必要な証拠の収集を終えたときも、同様とする。
都道府県公安委員会は、都道府県警察の警視総監 又は道府県警察本部長が協力に必要な証拠の収集を終えたときは、速やかに、意見を付して、国家公安委員会に対し、収集した証拠を送付しなければならない。
国家公安委員会は、警察庁長官が協力に必要な証拠の収集を終えたとき 又は前項の規定により証拠の送付を受けたときは、速やかに、意見を付して、法務大臣に対し、収集した証拠 又は送付を受けた証拠を送付するものとする。
第六条第三項の規定により証拠の提供に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた訴訟に関する書類の保管者は、速やかに、意見を付して、法務大臣に対し、当該書類 又は その謄本を送付しなければならない。
ただし、直ちにこれを送付することに支障があると認めるときは、速やかに、法務大臣に対し、その旨を通知しなければならない。
法務大臣は、前条第一項、第三項 又は第四項の規定により送付を受けた証拠を国際刑事裁判所に提供する場合において、必要があると認めるときは、当該証拠の使用 又は返還に関する条件を定めるものとする。
法務大臣は、第六条第二項第二号 若しくは第三号 又は第三項の規定による措置をとった後において、同条第一項第一号から第四号までのいずれかに該当すると認めて、証拠の提供に係る協力をしないこととするときは、遅滞なく、その旨を証拠の提供に係る協力の請求に関する書面の送付を受けた者に通知するものとする。
法務大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合には、あらかじめ、外務大臣と協議するものとする。
第六条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当することを理由として、証拠の提供に係る協力をしないこととするとき。
第六条第一項第五号 又は第六号のいずれかに該当することを理由として、証拠の提供に係る協力をすることを留保するとき。
第十一条の条件を定めるとき。
国際捜査共助等に関する法律第十六条第二項の規定は、証拠の提供に係る協力の請求に関し法務大臣が第六条第二項各号の措置をとることとする場合について準用する。