実用新案法

# 昭和三十四年法律第百二十三号 #

第二章 実用新案登録及び実用新案登録出願

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 02月26日 19時25分


1項

産業上利用することができる考案であつて物品の形状、構造 又は組合せに係るものをした者は、次に掲げる考案を除き、その考案について実用新案登録を受けることができる。

一 号

実用新案登録出願前日本国内 又は外国において公然知られた考案

二 号

実用新案登録出願前日本国内 又は外国において公然実施をされた考案

三 号

実用新案登録出願前日本国内 又は外国において、頒布された刊行物に記載された考案 又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となつた考案

2項

実用新案登録出願前にその考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる考案に基いてきわめて容易に考案をすることができたときは、その考案については、同項の規定にかかわらず、実用新案登録を受けることができない

1項

実用新案登録出願に係る考案が当該実用新案登録出願の日前の他の実用新案登録出願 又は特許出願であつて当該実用新案登録出願後に第十四条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行 又は特許法第六十六条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報の発行 若しくは出願公開がされたものの願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲 若しくは特許請求の範囲 又は図面(同法第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案 又は発明(その考案 又は発明をした者が当該実用新案登録出願に係る考案の考案者と同一の者である場合におけるその考案 又は発明を除く)と同一であるときは、
その考案については、前条第一項の規定にかかわらず、実用新案登録を受けることができない


ただし、当該実用新案登録出願の時にその出願人と当該 他の実用新案登録出願 又は特許出願の出願人とが同一の者であるときは、この限りでない。

1項

公の秩序、善良の風俗 又は公衆の衛生を害するおそれがある考案については、第三条第一項の規定にかかわらず、実用新案登録を受けることができない

1項

実用新案登録を受ける権利を有する者は、その実用新案登録を受ける権利に基づいて取得すべき実用新案権について、その実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲 又は図面に記載した事項の範囲内において、他人に仮通常実施権を許諾することができる。

2項

前項の規定による仮通常実施権に係る実用新案登録出願について実用新案権の設定の登録があつたときは、当該仮通常実施権を有する者に対し、その実用新案権について、当該仮通常実施権の設定行為で定めた範囲内において、通常実施権が許諾されたものとみなす。

3項

特許法第三十三条第二項 及び第三項第三十四条の三第四項から第六項まで 及び第八項から第十項まで 並びに第三十四条の五の規定は、仮通常実施権に準用する。


この場合において、

同法第三十四条の三第八項
実用新案法第四条の二第一項の規定による仮通常実施権に係る実用新案登録出願について、第四十六条第一項」とあるのは
第一項 又は前条第四項の規定による仮通常実施権に係る特許出願について、実用新案法第十条第一項」と、

同条第九項
第四十六条第二項」とあるのは
実用新案法第十条第二項」と

読み替えるものとする。

1項

実用新案登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。

一 号

実用新案登録出願人の氏名 又は名称 及び住所 又は居所

二 号

考案者の氏名 及び住所 又は居所

2項

願書には、明細書、実用新案登録請求の範囲、図面 及び要約書を添付しなければならない。

3項

前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
考案の名称
二 号
図面の簡単な説明
三 号
考案の詳細な説明
4項

前項第三号の考案の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、その考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に、記載しなければならない。

5項

第二項の実用新案登録請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに実用新案登録出願人が実用新案登録を受けようとする考案を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。


この場合において、一の請求項に係る考案と他の請求項に係る考案とが同一である記載となることを妨げない。

6項

第二項の実用新案登録請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

一 号

実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものであること。

二 号

実用新案登録を受けようとする考案が明確であること。

三 号

請求項ごとの記載が簡潔であること。

四 号

その他 経済産業省令で定めるところにより記載されていること。

7項

第二項の要約書には、明細書、実用新案登録請求の範囲 又は図面に記載した考案の概要 その他 経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

1項

二以上の考案については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより考案の単一性の要件を満たす一群の考案に該当するときは、一の願書で実用新案登録出願をすることができる。

1項

特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲 又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。

一 号

その実用新案登録出願に係る考案が物品の形状、構造 又は組合せに係るものでないとき。

二 号

その実用新案登録出願に係る考案第四条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。

三 号

その実用新案登録出願が第五条第六項第四号 又は前条に規定する要件を満たしていないとき。

四 号

その実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲 若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき

1項

同一の考案について異なつた日二以上の実用新案登録出願があつたときは、最先の実用新案登録出願人のみがその考案について実用新案登録を受けることができる。

2項

同一の考案について同日二以上の実用新案登録出願があつたときは、いずれも、その考案について実用新案登録を受けることができない

3項

実用新案登録出願に係る考案と特許出願に係る発明とが同一である場合において、その実用新案登録出願 及び特許出願が異なつた日にされたものであるときは、実用新案登録出願人は、特許出願人より先に出願をした場合にのみ その考案について実用新案登録を受けることができる。

4項

実用新案登録出願 又は特許出願が放棄され、取り下げられ、又は却下されたときは、その実用新案登録出願 又は特許出願は、前三項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。

5項

特許出願について拒絶をすべき旨の査定 又は審決が確定したときは、その特許出願は、第三項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。


ただし、その特許出願について特許法第三十九条第二項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定 又は審決が確定したときは、この限りでない。

6項

特許法第三十九条第四項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、実用新案登録出願人は、その考案について実用新案登録を受けることができない

1項

実用新案登録を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その実用新案登録出願に係る考案について、その者が実用新案登録 又は特許を受ける権利を有する実用新案登録出願 又は特許出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲 若しくは特許請求の範囲 又は図面(先の出願が特許法第三十六条の二第二項の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案に基づいて優先権を主張することができる。


ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その実用新案登録出願の際に、その承諾を得ている場合に限る

一 号

その実用新案登録出願が先の出願の日から一年以内にされたものでない場合(その実用新案登録出願を先の出願の日から一年以内にすることができなかつたことについて正当な理由がある場合であつて、かつ、その実用新案登録出願が経済産業省令で定める期間内にされたものである場合を除く

二 号

先の出願が第十一条第一項において準用する特許法第四十四条第一項の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願 若しくは第十条第一項 若しくは第二項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願 又は同法第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、同法第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願 若しくは同法第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合

三 号

先の出願が、その実用新案登録出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合

四 号

先の出願について、その実用新案登録出願の際に、査定 又は審決が確定している場合

五 号

先の出願について、その実用新案登録出願の際に、第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合

2項

前項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願に係る考案のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲 若しくは特許請求の範囲 又は図面(当該先の出願が特許法第三十六条の二第二項の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案(当該先の出願が前項 若しくは同法第四十一条第一項の規定による優先権の主張 又は同法第四十三条第一項第四十三条の二第一項同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項 若しくは第二項これらの規定を第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、実用新案登録請求の範囲 若しくは特許請求の範囲 又は図面に相当するものに限る)に記載された考案を除く)についての第三条第三条の二本文、前条第一項から第三項まで第十一条第一項において準用する同法第三十条第一項 及び第二項第十七条第二十六条において準用する同法第六十九条第二項第二号同法第七十九条同法第八十一条 及び同法第八十二条第一項 並びに同法第三十九条第三項 及び第四項 並びに第七十二条意匠法昭和三十四年法律第百二十五号)第二十六条、第三十一条第二項 及び第三十二条第二項 並びに商標法昭和三十四年法律第百二十七号第二十九条 並びに第三十三条の二第三項 及び第三十三条の三第三項これらの規定を同法第六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、当該実用新案登録出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす。

3項

第一項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲 又は図面に記載された考案のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲 又は図面(当該先の出願が特許法第三十六条の二第二項の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案(当該先の出願が第一項 若しくは同法第四十一条第一項の規定による優先権の主張 又は同法第四十三条第一項第四十三条の二第一項同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項 若しくは第二項これらの規定を第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、実用新案登録請求の範囲 若しくは特許請求の範囲 又は図面に相当するものに限る)に記載された考案を除く)については、当該実用新案登録出願について実用新案掲載公報の発行がされた時に当該先の出願について実用新案掲載公報の発行 又は出願公開がされたものとみなして、第三条の二本文 又は同法第二十九条の二本文の規定を適用する。

4項

第一項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨 及び先の出願の表示を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

1項

前条第一項の規定による優先権の主張の基礎とされた先の出願は、その出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した時に取り下げたものとみなす。


ただし、当該先の出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されている場合、当該先の出願について査定 若しくは審決が確定している場合、当該先の出願について第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合 又は当該先の出願に基づく全ての優先権の主張が取り下げられている場合には、この限りでない。

2項

前条第一項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願の出願人は、先の出願の日から経済産業省令で定める期間を経過した後は、その主張を取り下げることができない

3項

前条第一項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願が先の出願の日から経済産業省令で定める期間内に取り下げられたときは、同時に当該優先権の主張が取り下げられたものとみなす。

1項

特許出願人は、その特許出願(特許法第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願(同法第四十四条第二項同法第四十六条第六項において準用する場合を含む。)の規定により当該特許出願の時にしたものとみなされるものを含む。)を除く)を実用新案登録出願に変更することができる。


ただし、その特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月を経過した後 又はその特許出願の日から九年六月を経過した後は、この限りでない。

2項

意匠登録出願人は、その意匠登録出願(意匠法第十三条第六項において準用する同法第十条の二第二項の規定により特許法第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願の時にしたものとみなされる意匠登録出願(意匠法第十条の二第二項の規定により当該意匠登録出願の時にしたものとみなされるものを含む。)を除く)を実用新案登録出願に変更することができる。


ただし、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から三月を経過した後 又はその意匠登録出願の日から九年六月を経過した後は、この限りでない。

3項

前二項の規定による出願の変更があつたときは、その実用新案登録出願は、その特許出願 又は意匠登録出願の時にしたものとみなす。


ただし、その実用新案登録出願が第三条の二に規定する他の実用新案登録出願 又は特許法第二十九条の二に規定する実用新案登録出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用 及び次条第一項において準用する同法第三十条第三項の規定の適用については、この限りでない。

4項

第一項 又は第二項の規定による出願の変更をする場合における次条第一項において準用する特許法第四十三条第二項次条第一項において準用する同法第四十三条の二第二項次条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、

同法第四十三条第二項
最先の日から一年四月以内」とあるのは、
「最先の日から一年四月 又は実用新案法第十条第一項 若しくは第二項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願の日から三月のいずれか遅い日まで」と

する。

5項

第一項 又は第二項の規定による出願の変更があつたときは、その特許出願 又は意匠登録出願は、取り下げたものとみなす。

6項

第一項ただし書に規定する三月の期間は、特許法第四条の規定により同法第百二十一条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

7項

第二項ただし書に規定する三月の期間は、意匠法第六十八条第一項において準用する特許法第四条の規定により意匠法第四十六条第一項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。

8項

第一項に規定する出願の変更をする場合には、もとの特許出願について提出された書面 又は書類であつて、新たな実用新案登録出願について第八条第四項 又は次条第一項において準用する特許法第三十条第三項 若しくは第四十三条第一項 及び第二項これらの規定を次条第一項において準用する同法第四十三条の二第二項次条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな実用新案登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

9項

特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、第一項の規定による出願の変更をすることができる。

10項

第八項の規定は、第二項の規定による出願の変更の場合に準用する。

1項

特許法第三十条発明の新規性の喪失の例外)、第三十八条共同出願)、第四十三条から第四十四条までパリ条約による優先権主張の手続等 及び特許出願の分割)の規定は、実用新案登録出願に準用する。

2項

特許法第三十三条 並びに第三十四条第一項第二項 及び第四項から第七項まで特許を受ける権利)の規定は、実用新案登録を受ける権利に準用する。

3項

特許法第三十五条仮専用実施権に係る部分を除く)(職務発明)の規定は、従業者、法人の役員 又は国家公務員 若しくは地方公務員がした考案に準用する。