適法ノ時期ニ呈示シタル小切手ノ支払ナキ場合ニ於テ左ノ何レカニ依リ支払拒絶ヲ証明スルトキハ所持人ハ裏書人、振出人 其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得
小切手法
第六章 支払拒絶ニ因ル遡求
公正証書(拒絶証書)
小切手ニ呈示ノ日ヲ表示シテ記載シ且 日附ヲ附シタル支払人ノ宣言
適法ノ時期ニ小切手ヲ呈示シタルモ 其ノ支払ナカリシ旨ヲ証明シ且 日附ヲ附シタル手形交換所ノ宣言
拒絶証書 又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ハ呈示期間経過前ニ 之ヲ作ラシムルコトヲ要ス
期間ノ末日ニ呈示アリタルトキハ拒絶証書 又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ハ之ニ次グ第一ノ取引日ニ之ヲ作ラシムルコトヲ得
所持人ハ拒絶証書 又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成ノ日ニ次グ 又ハ無費用償還文句アル場合ニ於テハ呈示ノ日ニ 次グ四取引日内ニ 自己ノ裏書人及振出人ニ対シ支払拒絶アリタルコトヲ通知スルコトヲ要ス 各裏書人ハ通知ヲ受ケタル日ニ次グ二取引日内ニ前ノ通知者全員ノ名称 及宛所ヲ示シテ自己ノ受ケタル通知ヲ 自己ノ裏書人ニ通知シ順次振出人ニ及ブモノトス此ノ期間ハ 各其ノ通知ヲ受ケタル時ヨリ進行ス
前項ノ規定ニ従ヒ 小切手ノ署名者ニ通知ヲ為ストキハ同一期間内ニ 其ノ保証人ニ 同一ノ通知ヲ為スコトヲ要ス
裏書人ガ 其ノ宛所ヲ記載セズ 又ハ其ノ記載ガ読ミ難キ場合ニ於テハ其ノ裏書人ノ 直接ノ前者ニ通知スルヲ以テ足ル
通知ヲ為スベキ者ハ如何ナル方法ニ依リテモ 之ヲ為スコトヲ得単ニ小切手ヲ返付スルニ依リテモ 亦之ヲ為スコトヲ得
通知ヲ為スベキ者ハ適法ノ期間内ニ通知ヲ為シタルコトヲ証明スルコトヲ要ス此ノ期間内ニ通知ヲ為ス書面ヲ郵便ニ付シ 又ハ民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項ニ規定スル一般信書便事業者 若ハ同条第九項ニ規定スル特定信書便事業者ノ提供スル同条第二項ニ規定スル信書便ノ役務ヲ利用シテ発送シタル場合ニ於テハ其ノ期間ヲ遵守シタルモノト看做ス
前項ノ期間内ニ通知ヲ為サザル者ハ其ノ権利ヲ失フコトナシ
但シ過失ニ因リテ生ジタル損害アルトキハ小切手ノ金額ヲ超エザル範囲内ニ於テ其ノ賠償ノ責ニ任ズ
振出人、裏書人又ハ保証人ハ証券ニ記載シ且署名シタル 「無費用償還」、 「拒絶証書不要」ノ文句其ノ他 之ト同一ノ意義ヲ有スル文言ニ依リ 所持人ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フ為ノ拒絶証書又ハ 之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成ヲ免除スルコトヲ得
前項ノ文言ハ所持人ニ対シ 法定期間内ニ於ケル 小切手ノ呈示及通知ノ義務ヲ免除スルコトナシ期間ノ不遵守ハ所持人ニ対シ 之ヲ援用スル者ニ於テ 其ノ証明ヲ為スコトヲ要ス
振出人ガ第一項ノ文言ヲ記載シタルトキハ一切ノ署名者ニ対シ其ノ効力ヲ生ズ裏書人 又ハ保証人ガ之ヲ記載シタルトキハ其ノ裏書人 又ハ保証人ニ対シテノミ 其ノ効力ヲ生ズ振出人ガ 此ノ文言ヲ記載シタルニ拘ラズ所持人ガ 拒絶証書 又ハ 之ト同一ノ効力ヲ有スル 宣言ヲ作ラシメタルトキハ其ノ費用ハ 所持人之ヲ負担ス裏書人 又ハ保証人ガ 此ノ文言ヲ記載シタル場合ニ於テ拒絶証書 又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル 宣言ノ作成アリタルトキハ一切ノ署名者ヲシテ 其ノ費用ヲ償還セシムルコトヲ得
小切手上ノ各債務者ハ所持人ニ対シ 合同シテ其ノ責ニ任ズ
所持人ハ前項ノ債務者ニ対シ其ノ債務ヲ負ヒタル順序ニ拘ラズ各別 又ハ 共同ニ請求ヲ為スコトヲ得
小切手ノ署名者ニシテ之ヲ受戻シタルモノモ 同一ノ権利ヲ有ス
債務者ノ一人ニ対スル請求ハ 他ノ債務者ニ対スル請求ヲ妨ゲズ既ニ請求ヲ受ケタル者ノ 後者ニ対シテモ亦同ジ
所持人ハ遡求ヲ受クル者ニ対シ左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得
支払アラザリシ小切手ノ金額
法定利率(国内ニ於テ振出シ且支払フベキ小切手以外ノ小切手ニ在リテハ年六分ノ率次条第二号ニ於テ同ジ)ニ依ル呈示ノ日以後ノ利息
拒絶証書 又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ費用、通知ノ費用及 其ノ他ノ費用
小切手ヲ受戻シタル者ハ其ノ前者ニ対シ 左ノ金額ヲ請求スルコトヲ得
前号ノ金額ニ対シ法定利率ニ依リ計算シタル 支払ノ日以後ノ利息
遡求ヲ受ケタル 又ハ受クベキ債務者ハ支払ト引換ニ拒絶証書 又ハ 之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言、 受取ヲ証スル記載ヲ為シタル計算書及 小切手ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
小切手ヲ受戻シタル裏書人ハ自己及後者ノ裏書ヲ 抹消スルコトヲ得
法定ノ期間内ニ於ケル小切手ノ呈示 又ハ 拒絶証書若ハ 之ト同一ノ効力ヲ有スル 宣言ノ作成ガ避クベカラザル 障碍(国ノ法令ニ依ル禁制其ノ他ノ不可抗力)ニ因リテ 妨ゲラレタルトキハ其ノ期間ヲ伸長ス
所持人ハ 自己ノ裏書人ニ対シ遅滞ナク其ノ不可抗力ヲ通知シ且 小切手 又ハ補箋ニ 其ノ通知ヲ記載シ日附ヲ附シテ之ニ署名スルコトヲ要ス其ノ他ニ付テハ第四十一条ノ規定ヲ準用ス
不可抗力ガ止ミタルトキハ所持人ハ遅滞ナク支払ノ為 小切手ヲ呈示シ且 必要アルトキハ拒絶証書 又ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル 宣言ヲ作ラシムルコトヲ要ス
不可抗力ガ所持人ニ於テ其ノ裏書人ニ不可抗力ノ通知ヲ為シタル日ヨリ十五日ヲ超エテ継続スルトキハ呈示期間経過前ニ 其ノ通知ヲ為シタル場合ト雖モ呈示又ハ拒絶証書 若ハ 之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ヲ要セズシテ遡求権ヲ行フコトヲ得
所持人 又ハ所持人ガ小切手ノ呈示 又ハ拒絶証書 若ハ之ト同一ノ効力ヲ有スル宣言ノ作成ヲ 委任シタル者ニ付テノ 単純ナル人的事由ハ不可抗力ヲ構成スルモノト認メズ