少年鑑別所法

# 平成二十六年法律第五十九号 #

第十節 規律及び秩序の維持

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和四年十一月一日 ( 2022年 11月1日 )
@ 最終更新 : 令和二年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2023年 05月14日 16時45分


1項
少年鑑別所の規律 及び秩序は、在所者の観護処遇 及び鑑別の適切な実施を確保し、並びにその健全な育成を図るのにふさわしい安全かつ平穏な環境を保持することができるよう、適正に維持されなければならない。
2項

前項の目的を達成するため執る措置は、そのために必要な限度を超えてはならない。

1項

少年鑑別所の長は、在所者が遵守すべき事項(次項において「遵守事項」という。)を定める。

2項
遵守事項は、在所者としての地位に応じ、次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。
一 号
犯罪行為をしてはならないこと。
二 号
他人に対し、粗野 若しくは乱暴な言動をし、又は迷惑を及ぼす行為をしてはならないこと。
三 号
自身を傷つける行為をしてはならないこと。
四 号
少年鑑別所の職員の職務の執行を妨げる行為をしてはならないこと。
五 号
自己 又は他の在所者の収容の確保を妨げるおそれのある行為をしてはならないこと。
六 号
少年鑑別所の安全を害するおそれのある行為をしてはならないこと。
七 号
少年鑑別所内の衛生 又は風紀を害する行為をしてはならないこと。
八 号
金品について、不正な使用、所持、授受 その他の行為をしてはならないこと。
九 号

前各号に掲げるもののほか、少年鑑別所の規律 及び秩序を維持するため必要な事項

十 号

前各号に掲げる事項について定めた遵守事項に違反する行為を企て、あおり、唆し、又は援助してはならないこと。

3項

前二項のほか、少年鑑別所の長 又はその指定する職員は、少年鑑別所の規律 及び秩序を維持するため必要がある場合には、在所者に対し、その生活 及び行動について指示することができる。

1項
指定職員は、少年鑑別所の規律 及び秩序を維持するため必要がある場合には、在所者について、その身体、着衣、所持品 及び居室を検査し、並びにその所持品を取り上げて一時保管することができる。
2項

第二十四条第二項の規定は、前項の規定による女子の在所者の身体 及び着衣の検査について準用する。

3項

指定職員は、少年鑑別所の規律 及び秩序を維持するため必要がある場合には、少年鑑別所内において、在所者以外の者(弁護士である付添人 若しくは在所者 若しくはその保護者、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹の依頼により付添人となろうとする弁護士 又は弁護人等(弁護人 又は刑事訴訟法第三十九条第一項に規定する弁護人となろうとする者をいう。以下同じ。)を除く)の着衣 及び携帯品を検査し、並びにその者の携帯品を取り上げて一時保管することができる。

4項

前項の検査は、文書図画の内容の検査に及んではならない。

1項
指定職員は、在所者が自身を傷つけ 若しくは他人に危害を加え、逃走し、少年鑑別所の職員の職務の執行を妨げ、その他少年鑑別所の規律 及び秩序を著しく害する行為をし、又はこれらの行為をしようとする場合には、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、その在所者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置を執ることができる。
2項

指定職員は、在所者以外の者が次の各号いずれかに該当する場合には、合理的に必要と判断される限度で、その行為を制止し、その行為をする者を拘束し、その他その行為を抑止するため必要な措置を執ることができる。

一 号
少年鑑別所に侵入し、その設備を損壊し、少年鑑別所の職員の職務執行を妨げ、又はこれらの行為をまさにしようとするとき。
二 号
指定職員の要求を受けたのに少年鑑別所から退去しないとき。
三 号
在所者の逃走 又は少年鑑別所の職員の職務執行の妨害を、現場で、援助し、あおり、又は唆すとき。
四 号
在所者に危害を加え、又はまさに加えようとするとき。
3項

前二項の措置に必要な警備用具については、法務省令で定める。

1項

指定職員は、在所者を護送するとき、又は在所者が次の各号のいずれかの行為をするおそれがある場合において、やむを得ないときは、少年鑑別所の長の命令により、法務省令で定めるところにより、手錠(手錠に附属するひもがある場合にはこれを含む。以下 この条 及び第百十条第一項第五号において同じ。)を使用することができる。

一 号
逃走すること。
二 号
自身を傷つけ、又は他人に危害を加えること。
三 号
少年鑑別所の設備、器具 その他の物を損壊すること。
2項

前項に規定する場合において、少年鑑別所の長の命令を待ついとまがないときは、指定職員は、その命令を待たないで、手錠を使用することができる。


この場合には、速やかに、その旨を少年鑑別所の長に報告しなければならない。

3項

在所者を護送する際に手錠を使用するに当たっては、その名誉をいたずらに害することのないように配慮しなければならない。

4項
手錠の制式は、法務省令で定める。
1項

指定職員は、在所者が次の各号いずれかに該当する場合において、やむを得ないときは、少年鑑別所の長の命令により、その者を保護室に収容することができる。

一 号
自身を傷つけるおそれがあるとき。
二 号

次のイからハまでいずれかに該当する場合において、少年鑑別所の規律 及び秩序を維持するため特に必要があるとき。

指定職員の制止に従わず、大声 又は騒音を発するとき。
他人に危害を加えるおそれがあるとき。
少年鑑別所の設備、器具 その他の物を損壊し、又は汚損するおそれがあるとき。
2項

前項に規定する場合において、少年鑑別所の長の命令を待ついとまがないときは、指定職員は、その命令を待たないで、その在所者を保護室に収容することができる。


この場合には、速やかに、その旨を少年鑑別所の長に報告しなければならない。

3項

保護室への収容の期間は、七十二時間以内とする。


ただし、特に継続の必要がある場合には、少年鑑別所の長は、四十八時間ごとにこれを更新することができる。

4項
保護室に収容されている在所者に対しては、その心情の安定を図るための適切な働き掛けを行うように努めなければならない。
5項

少年鑑別所の長は、第三項の期間中であっても、保護室への収容の必要がなくなったときは、直ちにその収容を中止させなければならない。

6項
在所者を保護室に収容し、又はその収容の期間を更新した場合には、少年鑑別所の長は、速やかに、その在所者の健康状態について、少年鑑別所の職員である医師 又は少年鑑別所の長が委嘱する医師の意見を聴かなければならない。
7項
保護室の構造 及び設備の基準は、法務省令で定める。
1項

指定職員は、在所者が逃走した場合には、これを連れ戻すことができる。


ただし、逃走の時から四十八時間を経過した後は、被観護措置者等(観護の措置(当該措置が少年法第四十三条第一項の規定による請求により執られたものである場合において、事件が家庭裁判所に送致されていないときを除く)が執られて収容されている者、少年院法第二条第二号に規定する保護処分在院者としての地位を有する在所者 及び少年法第二十六条の二の規定により収容されている者をいう。以下 この項 及び次条第四項において同じ。)にあっては裁判官のあらかじめ発する連戻状によらなければ連戻しに着手することができず、被観護措置者等以外の在所者にあっては連戻しに着手することができない

2項

前項の規定による連戻しが困難である場合には、少年鑑別所の長は、警察官に対して連戻しのための援助を求めることができる。


この場合において、援助を求められた警察官については、同項の規定を準用する。

3項

第一項ただし書(前項において準用する場合を含む。)の連戻状は、少年鑑別所の長の請求により、その少年鑑別所の所在地を管轄する家庭裁判所の裁判官が発する。


この場合においては、少年法第四条 及び第三十六条の規定を準用する。

1項

少年鑑別所の長は、地震、火災 その他の災害に際し、少年鑑別所内において避難の方法がないときは、在所者を適当な場所に護送しなければならない。

2項

前項の場合において、在所者を護送することができないときは、少年鑑別所の長は、その者を少年鑑別所から解放することができる。


地震、火災 その他の災害に際し、少年鑑別所の外にある在所者を避難させるため適当な場所に護送することができない場合も、同様とする。

3項

前項の規定により解放された者は、避難を必要とする状況がなくなった後速やかに、少年鑑別所 又は少年鑑別所の長が指定した場所に出頭しなければならない。

4項

指定職員は、第二項の規定により解放された被観護措置者等が前項の規定に違反して少年鑑別所 又は指定された場所に出頭しないときは、裁判官のあらかじめ発する連戻状により、その者を連れ戻すことができる。

5項

前項の規定による連戻しが困難である場合には、少年鑑別所の長は、警察官に対して連戻しのための援助を求めることができる。


この場合において、援助を求められた警察官については、同項の規定を準用する。

6項

前条第三項の規定は、第四項前項において準用する場合を含む。)の連戻状について準用する。