建築物用地下水の採取の規制に関する法律

# 昭和三十七年法律第百号 #
略称 : ビル用水法 

第二章 建築物用地下水の採取の規制

分類 法律
カテゴリ   環境保全
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 02月15日 09時47分


1項

この法律の規定により建築物用地下水の採取を規制する地域は、当該地域内において地下水を採取したことにより地盤が沈下し、これに伴つて高潮、出水等による災害が生ずるおそれがある場合において、政令で指定する。

2項

環境大臣は、前項の政令の制定 又は改廃の立案をしようとする場合においては、関係都道府県知事 及び関係市(特別区を含む。以下同じ。)町村の長の意見をきかなければならない。

1項

前条第一項の規定により政令で指定された地域(以下「指定地域」という。)内の揚水設備により建築物用地下水を採取しようとする者は、揚水設備ごとに、そのストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、環境省令で定めるところにより、都道府県知事(地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の区域内にあつては、指定都市の長。以下第十五条除き同じ。)の許可を受けなければならない。


許可を受けた揚水設備のストレーナーの位置を許可を受けた位置より浅くし、又は その揚水機の吐出口の断面積を許可を受けた断面積より大きくしようとする者も、同様とする。

2項

都道府県知事は、前項の許可の申請に係る揚水設備のストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積が環境省令で定める技術的基準に適合していると認める場合でなければ、同項の許可をしてはならない。

3項

都道府県知事は、前項の規定にかかわらず、水洗便所の用に供する地下水の採取については、他の水源をもつてその地下水に替えることが著しく困難であると認める場合に限り、第一項の許可をすることができる。

4項

都道府県知事は、第一項の許可に、地盤の沈下を防止するため必要な条件を附することができる。


ただし、その条件は、その許可を受けた者(以下「採取者」という。)に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。

1項

国 又は都道府県(指定都市の区域内にあつては、指定都市を含む。以下この条において同じ。)が建築物用地下水を採取する揚水設備については、国 又は都道府県と都道府県知事との協議が成立することをもつて前条第一項の許可があつたものとみなす。

1項

指定地域の指定の際 現に当該地域内の揚水設備でそのストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積が第四条第二項の環境省令で定める技術的基準に適合するものにより建築物用地下水を採取している者は、当該揚水設備について、そのストレーナーの位置 及び吐出口の断面積により、第四条第一項の許可を受けたものとみなす。

2項

指定地域の指定の際 現に当該地域内の揚水設備で前項に規定するもの以外のものにより建築物用地下水を採取している者は、当該指定地域の指定の日から起算して二年を下らない期間で環境省令で定める期間内に限り、当該揚水設備について、そのストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積により、第四条第一項の許可を受けたものとみなす。

3項

前二項に規定する者は、当該指定地域の指定の日から起算して一月以内に、環境省令で定めるところにより、当該揚水設備について、都道府県知事に届け出なければならない。

4項

前三項の規定は、第二条第一項の政令 又は これを改正する政令の施行に伴い新たに建築物用地下水となる地下水を当該政令の施行の際現に指定地域内の揚水設備により採取している者がある場合において、当該揚水設備について準用する。


この場合において、

前二項
当該指定地域の指定の日」とあるのは、
「当該政令の施行の日」と

読み替えるものとする。

5項

第四条第二項の環境省令を改正する環境省令の施行の際現に指定地域内において改正後の環境省令で定める技術的基準に適合しない許可揚水設備(同条第一項の許可を受けた揚水設備をいう。以下同じ。)(第二項前項において準用する場合を含む。)の許可揚水設備を除く)により建築物用地下水を採取している者がある場合においては、当該許可揚水設備に係る同条第一項の許可は、当該環境省令を改正する環境省令の施行の日から起算して二年を下らない期間で環境省令で定める期間を経過した時にその効力を失う。

1項

採取者は、その氏名 若しくは名称 又は住所に変更があつた場合においては、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

1項

採取者から許可揚水設備を譲り受け、又は借り受けて、これにより建築物用地下水を採取する者は、当該許可揚水設備に係る採取者の地位を承継する。

2項

採取者について相続、合併 又は分割(当該許可揚水設備を承継させるものに限る)があつた場合においては、相続人、合併後存続する法人 若しくは合併により設立した法人 又は分割により当該許可揚水設備を承継した法人は、採取者の地位を承継する。

3項

前二項の規定により採取者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

1項

採取者がその許可揚水設備につき次の各号の一に該当するに至つた場合においては、当該許可揚水設備に係る第四条第一項の許可は、その効力を失う。


この場合においては、採取者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

一 号

許可揚水設備により建築物用地下水を採取することを廃止したとき。

二 号

許可揚水設備の揚水機を動力によらないものとし、又は その吐出口の断面積を六平方センチメートル以下としたとき。

三 号

前二号の場合のほか、許可揚水設備を廃止したとき。

1項

都道府県知事は、偽りその他不正な手段により第四条第一項の許可を受けた者又は同条第四項の規定により附した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができる。

2項

都道府県知事は、第四条第一項の規定に違反して同項の許可を受けず、又は同条第四項の規定により附した条件に違反して建築物用地下水の採取が行なわれている揚水設備については、当該揚水設備の所有者、管理者 又は占有者に対して、当該揚水設備による建築物用地下水の採取を禁止し、若しくは制限し、又は相当の猶予期限をつけて、当該揚水設備のストレーナーの位置を深くすること、その揚水機の吐出口の断面積を小さくすること、その他 その違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができる。

3項

都道府県知事は、予想することができなかつた急激な地盤の沈下が生じたため、又は生ずるおそれがあるため、地盤の沈下に伴う高潮、出水等による災害の発生のおそれが著しく、第四条第二項の環境省令で定める技術的基準が改正された場合において、第六条第二項同条第四項において準用する場合を含む。) 又は第五項の許可揚水設備による建築物用地下水の採取を放置することができないと認めるときは、当該許可揚水設備の所有者、管理者 又は占有者に対して、当該許可揚水設備による建築物用地下水の採取を制限し、又は相当の猶予期限をつけて、当該許可揚水設備による建築物用地下水の採取を停止するか若しくは当該許可揚水設備を改正後の環境省令で定める技術的基準に適合させるため必要な措置をとることを命ずることができる。