心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律

# 平成十五年法律第百十号 #
略称 : 心神喪失者等医療観察法 

第四章 地域社会における処遇

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和五年十一月十五日 ( 2023年 11月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第二十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 22時51分


第一節 処遇の実施計画

1項

保護観察所の長は、第四十二条第一項第二号 又は第五十一条第一項第二号の決定があったときは、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者 並びに当該決定を受けた者の居住地を管轄する都道府県知事 及び市町村長と協議の上、その処遇に関する実施計画を定めなければならない。

2項

前項の実施計画には、政令で定めるところにより、指定通院医療機関の管理者による医療、社会復帰調整官が実施する精神保健観察 並びに指定通院医療機関の管理者による第九十一条の規定に基づく援助、都道府県 及び市町村による精神保健 及び精神障害者福祉に関する法律第四十七条 又は第四十九条障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第二十九条 その他の精神障害者の保健 又は福祉に関する法令の規定に基づく援助 その他当該決定を受けた者に対してなされる援助について、その内容 及び方法を記載するものとする。

3項

保護観察所の長は、当該決定を受けた者の処遇の状況等に応じ、当該決定を受けた者に対して入院によらない医療を行う指定通院医療機関の管理者 並びに当該決定を受けた者の居住地を管轄する都道府県知事 及び市町村長と協議の上、第一項の実施計画について必要な見直しを行わなければならない。

1項

前条第一項に掲げる決定があった場合における医療、精神保健観察 及び援助は、同項に規定する実施計画に基づいて行われなければならない。

第二節 精神保健観察

1項

第四十二条第一項第二号 又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者は、当該決定による入院によらない医療を行う期間中、精神保健観察に付する。

2項

精神保健観察は、次に掲げる方法によって実施する。

一 号

精神保健観察に付されている者と適当な接触を保ち、指定通院医療機関の管理者 並びに都道府県知事 及び市町村長から報告を求めるなどして、当該決定を受けた者が必要な医療を受けているか否か 及びその生活の状況を見守ること。

二 号

継続的な医療を受けさせるために必要な指導 その他の措置を講ずること。

1項

精神保健観察に付された者は、速やかに、その居住地を管轄する保護観察所の長に当該居住地を届け出るほか、次に掲げる事項を守らなければならない。

一 号

一定の住居に居住すること。

二 号

住居を移転し、又は長期の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長に届け出ること。

三 号

保護観察所の長から出頭 又は面接を求められたときは、これに応ずること。

第三節 連携等

1項

保護観察所の長は、医療、精神保健観察、第九十一条の規定に基づく援助 及び 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第四十七条 又は第四十九条障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第二十九条 その他の精神障害者の保健 又は福祉に関する法令の規定に基づく援助が、第百四条の規定により定められた実施計画に基づいて適正かつ円滑に実施されるよう、あらかじめ指定通院医療機関の管理者 並びに都道府県知事 及び市町村長との間において必要な情報交換を行うなどして協力体制を整備するとともに、処遇の実施状況を常に把握し、当該実施計画に関する関係機関相互間の緊密な連携の確保に努めなければならない。

2項

保護観察所の長は、実施計画に基づく適正かつ円滑な処遇を確保するため必要があると認めるときは、指定通院医療機関の管理者 並びに都道府県知事 及び市町村長に対し、必要な協力を求めることができる。

1項

保護観察所の長は、個人 又は民間の団体が第四十二条第一項第二号 又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者の処遇の円滑な実施のため自発的に行う活動を促進するとともに、これらの個人 又は民間の団体との連携協力の下、当該決定を受けた者の円滑な社会復帰に対する地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。

第四節 報告等

1項

指定通院医療機関の管理者は、当該指定通院医療機関に勤務する精神保健指定医による診察の結果、第四十二条第一項第二号 又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者について、第三十七条第二項に規定する事項を考慮し、次の各号いずれかに該当すると認める場合は、直ちに、保護観察所の長に対し、その旨を通知しなければならない。

一 号

対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、この法律による医療を行う必要があると 認めることができなくなったとき。

二 号

対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を行う必要があると 認めるに至ったとき。

2項

指定通院医療機関の管理者は、当該指定通院医療機関に勤務する精神保健指定医による診察の結果、第四十二条第一項第二号又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者について、第三十七条第二項に規定する事項を考慮し、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく、社会に復帰することを促進するために当該決定による入院によらない医療を行う期間を延長してこの法律による医療を行う 必要があると認める場合は、保護観察所の長に対し、その旨を通知しなければならない。

1項

指定通院医療機関の管理者 並びに都道府県知事 及び市町村長は、第四十二条第一項第二号 又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者について、第四十三条第二項第五十一条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する事実 又は第百七条各号に掲げる事項を守らない事実があると認めるときは、速やかに、保護観察所の長に通報しなければならない。

第五節 雑則

1項

保護観察所の長は、第四十二条第一項第二号 又は第五十一条第一項第二号の決定を受けた者が、親族 又は公共の衛生福祉 その他の施設から必要な保護を受けることができないため、現に、その生活の維持に著しい支障を生じている場合には、当該決定を受けた者に対し、金品を給与し、又は貸与する等の緊急の保護を行うことができる。

2項

保護観察所の長は、前項の規定により支払った費用を、期限を指定して、当該決定を受けた者 又はその扶養義務者から徴収しなければならない。


ただし、当該決定を受けた者 及びその扶養義務者が、その費用を負担することができないと認めるときは、この限りでない。

1項

国は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対し専門的知識に基づくより適切な処遇を行うことができるようにするため、保護観察所等関係機関の職員に専門的知識を有する人材を確保し、その資質を向上させるように努めなければならない。