森林法

# 昭和二十六年法律第二百四十九号 #

第一節 市町村等による森林の整備の推進

分類 法律
カテゴリ   林業
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 06月22日 18時38分


1項

市町村は、その区域内にある地域森林計画の対象となつている民有林につき、五年ごとに、当該民有林の属する森林計画区に係る地域森林計画の計画期間の始期をその計画期間の始期とし、十年を一期とする市町村森林整備計画をたてなければならない。


ただし、地域森林計画の変更により新たにその区域内にある民有林が当該地域森林計画の対象となつた市町村にあつては、その最初にたてる市町村森林整備計画については当該地域森林計画の計画期間の終期をその計画期間の終期とし、当該市町村森林整備計画に引き続く次の市町村森林整備計画については当該地域森林計画に引き続きたてられる次の地域森林計画の計画期間の始期をその計画期間の始期として、たてなければならない。

2項
市町村森林整備計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 号
伐採、造林、保育 その他森林の整備に関する基本的事項
二 号

立木の標準伐期齢、立木の伐採の標準的な方法 その他森林の立木竹の伐採に関する事項(間伐に関する事項を除く

三 号
造林樹種、造林の標準的な方法 その他造林に関する事項
四 号
間伐を実施すべき標準的な林齢、間伐 及び保育の標準的な方法 その他間伐 及び保育の基準
五 号
公益的機能別施業森林区域 及び当該公益的機能別施業森林区域内における施業の方法 その他公益的機能別施業森林の整備に関する事項
六 号
委託を受けて行う森林の施業 又は経営の実施の促進に関する事項
七 号
森林施業の共同化の促進に関する事項
八 号
作業路網 その他森林の整備のために必要な施設の整備に関する事項
九 号
鳥獣害防止森林区域 及び当該鳥獣害防止森林区域内における鳥獣害の防止に関する事項
十 号

森林病害虫の駆除 及び予防、火災の予防 その他の森林の保護に関する事項(前号に掲げる事項を除く

3項

市町村森林整備計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。

一 号
林業に従事する者の養成 及び確保に関する事項
二 号
森林施業の合理化を図るために必要な機械の導入の促進に関する事項
三 号
林産物の利用の促進のために必要な施設の整備に関する事項
四 号
その他森林の整備のために必要な事項
4項
市町村森林整備計画は、地域森林計画に適合したものでなければならない。
5項

第四条第三項の規定は、市町村森林整備計画について準用する。

6項
市町村は、市町村森林整備計画の案を作成しようとするときは、森林 及び林業に関し学識経験を有する者の意見を聴かなければならない。
7項

第六条第一項 及び第二項の規定は、第一項の規定により市町村が市町村森林整備計画をたてる場合に準用する。


この場合において、

同条第一項 及び第二項
都道府県知事」とあるのは、
「市町村の長」と

読み替えるものとする。

8項

市町村の長は、当該市町村の区域内に第七条の二第一項の森林計画の対象となる国有林があるときは、前項の規定により読み替えて準用する第六条第一項の縦覧期間満了後、当該市町村森林整備計画の案について、必要に応じ、関係森林管理局長の意見を聴かなければならない。

9項

市町村は、市町村森林整備計画をたてようとするときは、第七項の規定により読み替えて準用する第六条第一項の縦覧期間満了後、都道府県知事に協議しなければならない。

10項

市町村は、市町村森林整備計画をたてたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事(当該市町村の区域内に第十九条第四項の規定による通知に係る農林水産大臣の認定を受けた森林経営計画の対象とする森林が存するときは、都道府県知事 及び農林水産大臣)及び関係森林管理局長に当該市町村森林整備計画書の写しを送付しなければならない。


この場合においては、第七項の規定により読み替えて準用する第六条第二項の規定により申立てがあつた意見の要旨 及び当該意見の処理の結果を併せて公表しなければならない。

1項

都道府県知事は、地域森林計画の変更により市町村森林整備計画が地域森林計画に適合しなくなつたと認めるときは、当該市町村森林整備計画に係る市町村に対し、当該市町村森林整備計画を変更すべき旨を通知しなければならない。

2項

市町村は、前項の規定による通知を受けたときは、市町村森林整備計画を変更しなければならない。

3項

市町村は、前項の場合を除くほか、森林の現況等に変動があつたため必要があると認めるときは、市町村森林整備計画を変更することができる。

4項

前条第六項から第十項までの規定は、市町村森林整備計画の変更について準用する。

1項

森林所有者 その他権原に基づき森林の立木竹の使用 又は収益をする者(以下「森林所有者等」という。)は、市町村森林整備計画に従つて森林の施業 及び保護を実施することを旨としなければならない。

1項

地域森林計画の対象となつている民有林について、新たに当該森林の土地の所有者となつた者は、農林水産省令で定める手続に従い、市町村の長にその旨を届け出なければならない。


ただし国土利用計画法昭和四十九年法律第九十二号第二十三条第一項の規定による届出をしたときは、この限りでない。

2項

市町村の長は、前項本文の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る民有林が第二十五条 若しくは第二十五条の二の規定により指定された保安林 又は第四十一条の規定により指定された保安施設地区の区域内の森林であるときは、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事に当該届出の内容を通知しなければならない。

1項

森林所有者等は、地域森林計画の対象となつている民有林(第二十五条 又は第二十五条の二の規定により指定された保安林 及び第四十一条の規定により指定された保安施設地区の区域内の森林を除く)の立木を伐採するには、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、市町村の長に森林の所在場所、伐採面積、伐採方法、伐採齢、伐採後の造林の方法、期間 及び樹種 その他農林水産省令で定める事項を記載した伐採 及び伐採後の造林の届出書を提出しなければならない。


ただし次の各号いずれかに該当する場合は、この限りでない。

一 号
法令 又はこれに基づく処分により伐採の義務のある者がその履行として伐採する場合
二 号

第十条の二第一項の許可を受けた者が当該許可に係る同項の開発行為をするために伐採する場合

三 号

第十条の十七第一項の規定による公告に係る第十条の十五第一項に規定する公益的機能維持増進協定(その変更につき第十条の十八において準用する第十条の十七第一項の規定による公告があつたときは、その変更後のもの)に基づいて伐採する場合

四 号

第十一条第五項の認定に係る森林経営計画(その変更につき第十二条第三項において読み替えて準用する第十一条第五項の規定による認定があつたときは、その変更後のもの)において定められている伐採をする場合

五 号

森林所有者等が第四十九条第一項の許可を受けて伐採する場合

六 号

第百八十八条第三項の規定に基づいて伐採する場合

七 号

法令によりその立木の伐採につき制限がある森林で農林水産省令で定めるもの以外の森林(次号において「普通林」という。)であつて、立木の果実の採取 その他農林水産省令で定める用途に主として供されるものとして市町村の長が当該森林所有者の申請に基づき指定したものにつき伐採する場合

八 号
普通林であつて、自家の生活の用に充てるため必要な木材 その他の林産物の採取の目的に供すべきもののうち、市町村の長が当該森林所有者の申請に基づき農林水産省令で定める基準に従い指定したものにつき伐採する場合
九 号
火災、風水害 その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
十 号
除伐する場合
十一 号
その他農林水産省令で定める場合
2項

森林所有者等は、農林水産省令で定めるところにより、前項の規定により提出された届出書に記載された伐採 及び伐採後の造林に係る森林の状況について、市町村の長に報告しなければならない。

3項

第一項第九号に掲げる場合に該当して森林の立木を伐採した森林所有者等は、農林水産省令で定めるところにより、市町村の長に伐採の届出書を提出しなければならない。

1項

市町村の長は、前条第一項の規定により提出された届出書に記載された伐採面積、伐採方法 若しくは伐採齢 又は伐採後の造林の方法、期間 若しくは樹種に関する計画が市町村森林整備計画に適合しないと認めるときは、当該届出書を提出した者に対し、その伐採 及び伐採後の造林の計画を変更すべき旨を命ずることができる。

2項

前項の命令があつたときは、その命令があつた後に行われる立木の伐採については、同項の届出書の提出はなかつたものとみなす。

3項

市町村の長は、前条第一項の規定により届出書を提出した者の行つている伐採 又は伐採後の造林が当該届出書に記載された伐採面積、伐採方法 若しくは伐採齢 又は伐採後の造林の方法、期間 若しくは樹種に関する計画に従つていないと認めるときは、その者に対し、その伐採 及び伐採後の造林の計画に従つて伐採し、又は伐採後の造林をすべき旨を命ずることができる。

4項

市町村の長は、前条第一項の規定に違反して届出書の提出をしないで立木を伐採した者が引き続き伐採をしたならば次の各号いずれかに該当すると認められる場合 又は その者が伐採後の造林をしておらず、かつ、引き続き伐採後の造林をしないとしたならば次の各号いずれかに該当すると認められる場合において、伐採の中止をすること 又は伐採後の造林をすることが当該各号に規定する事態の発生を防止するために必要かつ適当であると認めるときは、その者に対し、伐採の中止を命じ、又は当該伐採跡地につき、期間、方法 及び樹種を定めて伐採後の造林をすべき旨を命ずることができる。

一 号
当該伐採跡地の周辺の地域における土砂の流出 又は崩壊 その他の災害を発生させるおそれがあること。
二 号
伐採前の森林が有していた水害の防止の機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること。
三 号
伐採前の森林が有していた水源の涵養の機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。
四 号
当該伐採跡地の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。
1項
市町村の長は、森林所有者等がその森林の施業につき市町村森林整備計画を遵守していないと認める場合において、市町村森林整備計画の達成上必要があるときは、当該森林所有者等に対し、遵守すべき事項を示して、これに従つて施業すべき旨を勧告することができる。
1項

市町村の区域内に存する一団の民有林で次に掲げる要件に該当するもの(以下 この項において「対象森林」という。)の森林所有者等 又は当該対象森林の土地の所有者は、当該市町村の長の認可を受けて、森林施業の実施に関する協定(以下「施業実施協定」という。)であつて当該対象森林について行う間伐 又は保育 その他の森林施業の共同化 及びそのために必要な施設の整備に関する措置を内容とするものを締結することができる。

一 号
地域森林計画の対象となつている森林であること。
二 号
森林の保続培養 及び森林生産力の増進を期するためには一体として整備することが相当と認められる森林であること。
2項

緑化活動 その他の森林の整備 及び保全を図ることを目的とする特定非営利活動促進法平成十年法律第七号第二条第二項に規定する特定非営利活動法人、一般社団法人、一般財団法人 その他農林水産省令で定める営利を目的としない者(以下「特定非営利活動法人等」という。)は、市町村の区域内に存する公益的機能別施業森林(地域森林計画の対象となつているものに限る。以下 この項において「対象森林」という。)の森林所有者等 又は当該対象森林の土地の所有者と、当該市町村の長の認可を受けて、施業実施協定であつて当該対象森林について当該特定非営利活動法人等が行う間伐 又は保育 その他の森林施業の実施 及び そのために必要な施設の整備に関する措置を内容とするものを締結することができる。

3項
施業実施協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 号

施業実施協定の目的となる森林の区域 及びその面積

二 号
森林施業の実施に関する次に掲げる事項

第一項の申請に係る施業実施協定にあつては、森林所有者等が共同して行う森林施業の種類 並びにその実施の方法 及び時期 その他農林水産省令で定める事項

前項の申請に係る施業実施協定にあつては、特定非営利活動法人等が行う森林施業の種類 並びにその実施の方法 及び時期 その他農林水産省令で定める事項

三 号

前号に掲げる事項を実施するために必要な作業路網 その他の施設の設置 及び維持運営に関する事項

四 号
施業実施協定の有効期間
五 号
施業実施協定に違反した場合の措置
4項
施業実施協定については、当該施業実施協定の対象となる森林の森林所有者等 及び当該森林の土地の所有者の全員の合意がなければならない。
5項

施業実施協定の有効期間は、十年を超えてはならない。

1項

施業実施協定の内容は、この法律 及びこの法律に基づく命令 その他関係法令(条例を含む。)並びにこれらに基づく処分に違反するものであつてはならない。

2項
施業実施協定の内容は、法令に基づき策定された国 又は地方公共団体の計画に適合するものでなければならない。
1項

市町村の長は、第十条の十一第一項 又は第二項の認可の申請があつたときは、農林水産省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該施業実施協定を当該公告の日から二週間利害関係人の縦覧に供しなければならない。

2項

前項の規定による公告があつたときは、利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、当該施業実施協定について、市町村の長に意見書を提出することができる。

1項

市町村の長は、第十条の十一第一項 又は第二項の認可の申請が次の各号の全てに該当するときは、当該施業実施協定を認可しなければならない。

一 号
申請の手続 又は施業実施協定の内容が法令に違反するものでないこと。
二 号
施業実施協定の内容が森林の利用を不当に制限するものでないこと。
三 号
施業実施協定の内容が市町村森林整備計画の達成に資すると認められるものであること。
2項

市町村の長は、前項の認可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、当該施業実施協定の写しを当該市町村の事務所に備えて公衆の縦覧に供するとともに、施業実施協定の対象とする森林である旨を当該森林の区域内に明示しなければならない。

1項
施業実施協定に係る森林所有者等、森林の土地の所有者 及び特定非営利活動法人等は、施業実施協定において定めた事項を変更しようとする場合においては、全員の合意をもつてその旨を定め、市町村の長の認可を受けなければならない。
2項

前二条の規定は、前項の認可について準用する。

1項

第十条の十一の四第二項前条第二項において準用する場合を含む。)の規定による認可の公告のあつた施業実施協定は、その公告のあつた後において当該施業実施協定の対象とする森林の森林所有者等 又は当該森林の土地の所有者となつた者に対しても、その効力があるものとする。

1項

施業実施協定に係る森林所有者等、森林の土地の所有者 及び特定非営利活動法人等は、第十条の十一第一項 若しくは第二項 又は第十条の十一の五第一項の認可を受けた施業実施協定を廃止しようとする場合においては、その過半数の合意をもつてその旨を定め、市町村の長の認可を受けなければならない。

2項

市町村の長は、前項の認可をしたときは、その旨を公告しなければならない。

1項

市町村の長は、第十条の十一第一項 若しくは第二項 又は第十条の十一の五第一項の認可をした後において、当該認可に係る施業実施協定の内容が第十条の十一の四第一項各号に掲げる要件に該当しないものと認められるに至つたときは、当該施業実施協定の認可を取り消すものとする。

2項

市町村の長は、前項の規定による認可の取消しを行つたときは、その旨を、当該施業実施協定に係る森林所有者等、森林の土地の所有者 及び特定非営利活動法人等に通知するとともに、公告しなければならない。

1項

市町村は、市町村森林整備計画の作成 及びその達成のため必要があるときは、都道府県知事 又は関係森林管理局長に対し、技術的援助 その他の必要な協力を求めることができる。