森林法

# 昭和二十六年法律第二百四十九号 #

第二章 森林計画等

分類 法律
カテゴリ   林業
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月17日 20時59分


1項

農林水産大臣は、政令で定めるところにより、森林・林業基本法昭和三十九年法律第百六十一号第十一条第一項の基本計画に即し、かつ、保安施設の整備の状況等を勘案して、全国の森林につき、五年ごとに、十五年を一期とする全国森林計画をたてなければならない。

2項
全国森林計画においては、次に掲げる事項を、地勢 その他の条件を勘案して主として流域別に全国の区域を分けて定める区域ごとに当該事項を明らかにすることを旨として、定めるものとする。
一 号
森林の整備 及び保全の目標 その他森林の整備 及び保全に関する基本的な事項
二 号

森林の立木竹の伐採に関する事項(間伐に関する事項を除く

三 号
造林に関する事項
三の二 号
間伐 及び保育に関する事項
三の三 号

公益的機能別森林施業(水源の涵養の機能 その他の森林の有する公益的機能の別に応じて、当該森林の伐期の間隔の拡大 及び伐採面積の規模の縮小 その他の当該森林の有する公益的機能の維持増進を特に図るための森林施業をいう。第十一条第五項第二号ロにおいて同じ。)を推進すべき森林(以下「公益的機能別施業森林」という。)の整備に関する事項

四 号
林道の開設 その他林産物の搬出に関する事項
四の二 号
森林施業の合理化に関する事項
四の三 号
森林の保護に関する事項
五 号
森林の土地の保全に関する事項
六 号
保安施設に関する事項
七 号
その他必要な事項
3項
全国森林計画は、良好な自然環境の保全 及び形成 その他森林の有する公益的機能の維持増進に適切な考慮が払われたものでなければならない。
4項

全国森林計画は、環境基本法平成五年法律第九十一号第十五条第一項の規定による環境基本計画と調和するものでなければならない。

5項

農林水産大臣は、全国森林計画に掲げる森林の整備 及び保全の目標の計画的かつ着実な達成に資するため、全国森林計画の作成と併せて、五年ごとに、森林整備保全事業(造林、間伐 及び保育 並びに林道の開設 及び改良の事業 並びに森林の造成 及び維持に必要な事業で政令で定める者が実施するものをいう。以下同じ。)に関する計画(以下「森林整備保全事業計画」という。)をたてなければならない。

6項

森林整備保全事業計画においては、全国森林計画の計画期間のうち最初の五年間に係る森林整備保全事業の実施の目標 及び事業量を定めるものとする。

7項
農林水産大臣は、森林の現況、経済事情等に変動があつたため必要と認めるときは、全国森林計画 及び森林整備保全事業計画を変更することができる。
8項
農林水産大臣は、全国森林計画をたて、又はこれを変更しようとするときは、環境大臣 その他関係行政機関の長に協議し、かつ、林政審議会 及び都道府県知事の意見を聴かなければならない。
9項
農林水産大臣は、全国森林計画をたて、又はこれを変更するには、閣議の決定を経なければならない。
10項

農林水産大臣は、全国森林計画をたて、又はこれを変更したときは、遅滞なく、その概要を公表するとともに、当該計画(変更の場合にあつては、変更後の計画)を環境大臣 その他関係行政機関の長 及び都道府県知事に通知しなければならない。

11項

前三項の規定は、森林整備保全事業計画について準用する。


この場合において、

第八項 及び前項
環境大臣 その他関係行政機関の長」とあるのは、
「関係行政機関の長」と

読み替えるものとする。

1項
国は、森林整備保全事業計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。
1項

都道府県知事は、全国森林計画に即して、森林計画区別に、その森林計画区に係る民有林(その自然的経済的社会的諸条件 及び その周辺の地域における土地の利用の動向からみて、森林として利用することが相当でないと認められる民有林を除く)につき、五年ごとに、その計画をたてる年の翌年四月一日以降十年を一期とする地域森林計画をたてなければならない。

2項
地域森林計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 号
その対象とする森林の区域
二 号
森林の有する機能別の森林の整備 及び保全の目標 その他森林の整備 及び保全に関する基本的な事項
三 号

伐採立木材積 その他森林の立木竹の伐採に関する事項(間伐に関する事項を除く

四 号
造林面積 その他造林に関する事項
五 号
間伐立木材積 その他間伐 及び保育に関する事項
六 号

公益的機能別施業森林の区域(以下「公益的機能別施業森林区域」という。)の基準 その他公益的機能別施業森林の整備に関する事項

七 号
林道の開設 及び改良に関する計画、搬出方法を特定する必要のある森林の所在 及び その搬出方法 その他林産物の搬出に関する事項
八 号
委託を受けて行う森林の施業 又は経営の実施、森林施業の共同化 その他森林施業の合理化に関する事項
九 号

鳥獣害を防止するための措置を実施すべき森林の区域(以下「鳥獣害防止森林区域」という。)の基準 その他の鳥獣害の防止に関する事項

十 号

森林病害虫の駆除 及び予防 その他の森林の保護に関する事項(前号に掲げる事項を除く

十一 号
樹根 及び表土の保全 その他森林の土地の保全に関する事項
十二 号

保安林の整備、第四十一条の保安施設事業に関する計画 その他保安施設に関する事項

3項

地域森林計画においては、前項各号に掲げる事項のほか、森林の整備 及び保全のために必要な事項を定めるよう努めるものとする。

4項

第四条第三項の規定は、地域森林計画に準用する。

5項
都道府県知事は、森林の現況、経済事情等に変動があつたため必要と認めるときは、地域森林計画を変更することができる。
1項

都道府県知事は、地域森林計画をたて、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該地域森林計画の案を当該公告の日からおおむね三十日間の期間を定めて公衆の縦覧に供しなければならない。

2項

前項の規定による公告があつたときは、当該地域森林計画の案に意見がある者は、同項の縦覧期間満了の日までに、当該都道府県知事に、理由を付した文書をもつて、意見を申し立てることができる。

3項

都道府県知事は、第一項の縦覧期間満了後、当該地域森林計画の案について、都道府県森林審議会 及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。


この場合において、当該地域森林計画の案に係る森林計画区の区域内に第七条の二第一項の森林計画の対象となる国有林があるときは、都道府県知事は、併せて関係森林管理局長の意見を聴かなければならない。

4項

都道府県知事は、前項の規定により地域森林計画の案について都道府県森林審議会の意見を聴く場合には、第二項の規定により申立てがあつた意見の要旨を都道府県森林審議会に提出しなければならない。

5項

都道府県知事は、地域森林計画をたて、又はこれを変更しようとするときは、前条第三項に規定する事項を除き、農林水産省令で定めるところにより、当該地域森林計画に定める事項のうち次の各号に掲げるものの区分に応じ、当該各号に定める手続を経なければならない。

一 号

次号 及び第三号に掲げる事項以外の事項

農林水産大臣に協議すること。

二 号

前条第二項第二号の森林の整備 及び保全の目標、同項第三号の伐採立木材積、同項第四号の造林面積、同項第五号の間伐立木材積 並びに同項第十二号の保安林の整備

農林水産大臣に協議し、その同意を得ること。

三 号

前条第二項第八号に掲げる事項

農林水産大臣に届け出ること。

6項

都道府県知事は、地域森林計画に前条第三項に規定する事項を定め、又は当該事項に係る地域森林計画の変更をしようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に届け出なければならない。

7項

都道府県知事は、地域森林計画をたて、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係市町村長に通知し、かつ、農林水産大臣に報告しなければならない。


この場合においては、第二項の規定により申立てがあつた意見の要旨 及び当該意見の処理の結果を併せて公表しなければならない。

1項

第五条第一項の森林計画区は、農林水産大臣が、都道府県知事の意見を聴き、地勢 その他の条件を勘案し、主として流域別に都道府県の区域を分けて定める。

2項

農林水産大臣は、森林計画区を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

1項

森林管理局長は、全国森林計画に即して、森林計画区別に、その管理経営する国有林で当該森林計画区に係るもの(その自然的経済的社会的諸条件 及びその周辺の地域における土地の利用の動向からみて、森林として利用することが相当でないと認められる国有林を除く)につき、五年ごとに、その計画をたてる年の翌年四月一日以降十年を一期とする森林計画をたてなければならない。

2項

前項の森林計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 号

第五条第二項第一号から第五号まで第七号 及び第十号から第十二号までに掲げる事項

二 号
公益的機能別施業森林区域 及び当該公益的機能別施業森林区域内における施業の方法 その他公益的機能別施業森林の整備に関する事項
三 号
森林施業の合理化に関する事項
四 号
鳥獣害防止森林区域 及び当該鳥獣害防止森林区域内における鳥獣害の防止に関する事項
五 号
その他必要な事項
3項

第四条第三項 及び第五条第五項の規定は、第一項の森林計画について準用する。

4項

第六条第一項 及び第二項の規定は、第一項の規定により森林管理局長が森林計画をたてる場合に準用する。

5項

森林管理局長は、前項において準用する第六条第一項の縦覧期間満了後、当該森林計画の案について、関係都道府県知事 及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。

6項

森林管理局長は、第一項の森林計画をたて、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、関係都道府県知事 及び関係市町村長に通知しなければならない。


この場合においては、第四項において準用する第六条第二項の規定により申立てがあつた意見の要旨 及び当該意見の処理の結果を併せて公表しなければならない。

1項

森林所有者 その他権原に基づき森林の立木竹 又は土地の使用 又は収益をする者は、地域森林計画に従つて森林の施業 及び保護を実施し、又は森林の土地の使用 若しくは収益をすることを旨としなければならない。

2項

森林管理局長は、前条第一項の森林計画に従つて国有林を管理経営するよう努めなければならない。

1項

地域森林計画の対象となつている民有林(第二十五条 又は第二十五条の二の規定により指定された保安林 並びに第四十一条の規定により指定された保安施設地区の区域内 及び海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条の規定により指定された海岸保全区域内の森林を除く)において開発行為(土石 又は樹根の採掘、開墾 その他の土地の形質を変更する行為で、森林の土地の自然的条件、その行為の態様等を勘案して政令で定める規模をこえるものをいう。以下同じ。)をしようとする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。


ただし次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。

一 号
国 又は地方公共団体が行なう場合
二 号
火災、風水害 その他の非常災害のために必要な応急措置として行なう場合
三 号
森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく、かつ、公益性が高いと認められる事業で農林水産省令で定めるものの施行として行なう場合
2項

都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、次の各号いずれにも該当しないと認めるときは、これを許可しなければならない。

一 号
当該開発行為をする森林の現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域において土砂の流出 又は崩壊 その他の災害を発生させるおそれがあること。
一の二 号
当該開発行為をする森林の現に有する水害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること。
二 号
当該開発行為をする森林の現に有する水源のかん養の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。
三 号
当該開発行為をする森林の現に有する環境の保全の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。
3項

前項各号の規定の適用につき同項各号に規定する森林の機能を判断するに当たつては、森林の保続培養 及び森林生産力の増進に留意しなければならない。

4項

第一項の許可には、条件を附することができる。

5項

前項の条件は、森林の現に有する公益的機能を維持するために必要最小限度のものに限り、かつ、その許可を受けた者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。

6項

都道府県知事は、第一項の許可をしようとするときは、都道府県森林審議会 及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。

1項

都道府県知事は、森林の有する公益的機能を維持するために必要があると認めるときは、前条第一項の規定に違反した者 若しくは同項の許可に附した同条第四項の条件に違反して開発行為をした者 又は偽りその他の不正な手段により同条第一項の許可を受けて開発行為をした者に対し、その開発行為の中止を命じ、又は期間を定めて復旧に必要な行為をすべき旨を命ずることができる。

1項

この章の規定は、試験研究の目的に供している森林で農林水産大臣の指定するもの その他農林水産省令で定める森林には適用しない