武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律

平成十六年法律第百十三号
略称 : 米軍行動関連措置法  米軍行動円滑化法 
分類 法律
カテゴリ   防衛
@ 施行日 : 平成二十八年三月二十九日
@ 最終更新 : 平成二十七年法律第七十六号
最終編集日 : 2024年 08月04日 14時27分

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1項

この法律は、武力攻撃事態等において日本国アメリカ合衆国との間の相互協力 及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)に従って武力攻撃を排除するために必要なアメリカ合衆国の軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置、武力攻撃事態等 又は存立危機事態において自衛隊と協力して武力攻撃 又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な外国軍隊の行動が円滑かつ効果的に実施されるための措置 その他のこれらの行動に伴い我が国が実施する措置について定めることにより、我が国の平和と独立 並びに国 及び国民の安全の確保に資することを目的とする。

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1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 号

武力攻撃事態等

武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律平成十五年法律第七十九号。以下「事態対処法」という。第一条に規定する武力攻撃事態等をいう。

二 号

武力攻撃

事態対処法第二条第一号に規定する武力攻撃をいう。

三 号

武力攻撃事態

事態対処法第二条第二号に規定する武力攻撃事態をいう。

四 号

存立危機事態

事態対処法第二条第四号に規定する存立危機事態をいう。

五 号

存立危機武力攻撃

事態対処法第二条第八号ハ(1)に規定する存立危機武力攻撃をいう。

六 号

特定合衆国軍隊

武力攻撃事態等において、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動を実施しているアメリカ合衆国の軍隊をいう。

七 号

外国軍隊

武力攻撃事態等 又は存立危機事態において、自衛隊と協力して武力攻撃 又は存立危機武力攻撃を排除するために必要な行動を実施している外国の軍隊(特定合衆国軍隊を除く)をいう。

八 号

行動関連措置

次に掲げる措置であって、対処基本方針(事態対処法第九条第一項に規定する対処基本方針をいう。以下同じ。)に基づき、自衛隊 その他の指定行政機関(事態対処法第二条第五号に規定する指定行政機関をいう。以下同じ。)が実施するものをいう。

武力攻撃事態等において、特定合衆国軍隊の行動(第六号に規定する行動(武力攻撃が発生した事態以外の武力攻撃事態等にあっては、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための同号に規定する行動)をいう。以下同じ。)が円滑かつ効果的に実施されるための措置 その他の特定合衆国軍隊の行動に伴い我がが実施する措置

武力攻撃事態等 又は存立危機事態において、外国軍隊の行動(前号に規定する行動(武力攻撃が発生した事態以外の武力攻撃事態等にあっては、自衛隊と協力して武力攻撃を排除するために必要な準備のための同号に規定する行動)をいう。以下同じ。)が円滑かつ効果的に実施されるための措置 その他の外国軍隊の行動に伴い我がが実施する措置

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1項

政府は、武力攻撃事態等 及び存立危機事態においては、的確かつ迅速に行動関連措置を実施し、我が国の平和と独立 並びに 及び国民の安全の確保に努めるものとする。

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1項
行動関連措置は、武力攻撃 及び存立危機武力攻撃を排除する目的の範囲内において、事態に応じ合理的に必要と判断される限度を超えるものであってはならない。
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1項

地方公共団体 及び事業者は、指定行政機関から武力攻撃事態等において行動関連措置に関し協力を要請されたときは、その要請に応じるよう努めるものとする。

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1項

政府は、第三条の責務を果たすため、武力攻撃事態等の状況の認識 及び武力攻撃事態等への対処に関し、日米安保条約に基づき、アメリカ合衆国政府と常に緊密な連絡を保つよう努めるものとする。

2項

前項に規定するもののほか政府は、第三条の責務を果たすため、武力攻撃事態等 又は存立危機事態の状況の認識 及び武力攻撃事態等 又は存立危機事態への対処に関し、関係する外国政府と緊密な連絡を保つよう努めるものとする。

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1項

政府は、武力攻撃事態等 又は存立危機事態においては、国民に対し、特定合衆国軍隊の行動 又は外国軍隊の行動(以下「特定合衆国軍隊等の行動」という。)に係る地域 その他の特定合衆国軍隊等の行動に関する状況 及び行動関連措置の実施状況について、必要な情報の提供を適切に行うものとする。

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1項

政府は、特定合衆国軍隊等の行動 又は行動関連措置の実施が地方公共団体の実施する対処措置(事態対処法第二条第八号に規定する対処措置をいう。)に影響を及ぼすおそれがあるときは、関係する地方公共団体との連絡調整を行うものとする。

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1項

防衛大臣は、武力攻撃事態(自衛隊法昭和二十九年法律第百六十五号第七十六条第一項の規定による防衛出動命令があった場合に限る第十四条第一項において同じ。)において、特定合衆国軍隊から、同法第百十五条の十一第一項 若しくは第二項 又は第百十五条の十六第一項に規定する行為をし、又はした旨の連絡を受けたときは、これらの規定の例に準じて通知するものとする。

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1項

防衛大臣 又はその委任を受けた者は、行動関連措置としての自衛隊に属する物品の提供を実施することができる。

2項

自衛隊法第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、行動関連措置としての役務の提供を実施することができる。

3項

前項に規定するもののほか防衛大臣は、内閣総理大臣の承認を得て、防衛省の機関 又は自衛隊の部隊等自衛隊法第八条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)に、行動関連措置としての役務の提供の実施を命ずることができる。

4項

第一項の規定による自衛隊に属する物品の提供 及び前二項の規定による自衛隊による役務の提供として行う業務は、補給(武器の提供を行う補給を除く)、輸送、修理 若しくは整備、医療、通信、空港 若しくは港湾に関する業務、基地に関する業務、宿泊、保管、施設の利用 又は訓練に関する業務(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。)とする。

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1項

前二条に規定するもののほか指定行政機関は、法令 及び対処基本方針に基づき、必要な行動関連措置を実施するものとする。

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1項

第十条第三項の規定により行動関連措置としての役務の提供の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、その職務を行うに際し、自己 又は自己と共に当該職務に従事する自衛隊員 若しくはその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命 又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。


ただし刑法明治四十年法律第四十五号第三十六条 又は第三十七条に該当する場合のほか、に危害を与えてはならない。

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1項

事態対策本部長事態対処法第十一条第一項に規定する事態対策本部長をいう。)は、行動関連措置を的確かつ迅速に実施するため、対処基本方針に基づき、行動関連措置に関する指針を定めることができる。

2項

指定行政機関は、前項に規定する指針が定められたときは、当該指針に基づき、必要な行動関連措置を適切に実施しなければならない。

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1項

は、特定合衆国軍隊次の各号に掲げる行為により損失を受けた者がある場合においては、それぞれ当該各号に定める法律の規定の例により、その損失を補償しなければならない。

一 号

武力攻撃事態において、特定合衆国軍隊の行動に係る地域内を緊急に移動するに際して、通行に支障がある場所をう回するために行う自衛隊法第九十二条の二前段に規定する場所の通行

同条後段

二 号

武力攻撃事態において、道路交通法昭和三十五年法律第百五号第百十四条の五第一項の規定により同項に規定する自衛隊等の使用する車両以外の車両の道路における通行が禁止され、又は制限されている区域 又は道路の区間を特定合衆国軍隊車両(特定合衆国軍隊の使用する車両をいう。以下この号において同じ。)により通行する場合において、車両 その他の物件が通行の妨害となることにより特定合衆国軍隊の行動の実施に著しい支障を生ずるおそれがあり、かつ、警察官 又は当該車両 その他の物件の占有者、所有者 若しくは管理者のいずれもがその場にいないときに、特定合衆国軍隊車両の円滑な通行の確保に必要な措置をとるためやむを得ない限度において行う当該車両 その他の物件の破損

災害対策基本法昭和三十六年法律第二百二十三号第八十二条第一項

2項

前項の規定は、他の法律の規定によりが損害賠償 又は損失補償の責めに任ずべき損失については、適用しない

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1項

防衛大臣は、武力攻撃事態において、特定合衆国軍隊の用に供するため土地 又は家屋(以下「土地等」という。)を緊急に必要とする場合において、その土地等を特定合衆国軍隊の用に供することが適正かつ合理的であり、かつ、武力攻撃を排除する上で不可欠であると認めるときは、その告示して定めた地域内に限り、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法昭和二十七年法律第百四十号)の規定にかかわらず、期間を定めて、当該土地等を使用することができる。

2項

前項の規定により土地を使用する場合において、当該土地の上にある立木 その他土地に定着する物件(家屋を除く。以下「立木等」という。)が特定合衆国軍隊の行動の実施の妨げとなると認められるときは、防衛大臣は、当該立木等を移転することができる。


この場合において、事態に照らし移転が著しく困難であると認めるときは、当該立木等を処分することができる。

3項

第一項の規定により家屋を使用する場合において、特定合衆国軍隊の行動の実施のためやむを得ない必要があると認められるときは、防衛大臣は、その必要な限度において、当該家屋の形状を変更することができる。

4項

自衛隊法第百三条第七項から第十項まで第十七項 及び第十八項の規定は前三項の規定により土地等を使用し、立木等を移転し、若しくは処分し、又は家屋の形状を変更する場合について、同条第十三項第十五項 及び第十六項の規定は第一項の規定により土地等を使用する場合について準用する。


この場合において、

同条第七項 及び第十三項
都道府県知事」とあるのは
「防衛大臣」と、

同条第十項
都道府県(第一項ただし書の場合にあつては、国)」とあるのは
「国」と、

同条第十三項
その職員」とあるのは
「その指名する職員」と

読み替えるものとする。

5項

前各項の規定により防衛大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。

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1項

この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続 その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

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1項

第十五条第四項において読み替えて準用する自衛隊法第百三条第十三項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二十万円以下の罰金に処する。

2項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業員が、その法人 又は人の業務に関し前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、同項の刑を科する。

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