警察が取り扱う死体に係る通報、引渡しその他行政上の手続については、警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(平成二十四年法律第三十四号。以下「法」という。)その他の法令に定めるもののほか、この規則の定めるところによる。
死体取扱規則
制定に関する表明
警察法施行令(昭和二十九年政令第百五十一号)第十三条第一項の規定に基づき、死体取扱規則(昭和三十三年国家公安委員会規則第四号)の全部を改正する この規則を制定する。
警察署長は、法第四条第一項の規定による報告又は死体に関する法令に基づく 届出に係る死体の身元が明らかになった場合において、当該死亡者が外国人であることが判明したときは、遅滞なく、その旨を当該死亡者が死亡の際国籍を有していた国の領事機関(総領事館、領事館、副領事館 又は代理領事事務所をいう。)に通報するものとする。
警察署長は、取扱死体(法第五条第一項に規定する取扱死体をいう。以下同じ。)の身元を明らかにするため必要があると認めるときは、当該取扱死体の指紋 及び掌紋を押なつし、並びに当該取扱死体に関連する事項を記載した死者身元照会依頼書(別記様式第一号)を作成し、警視庁、道府県警察本部 又は方面本部の鑑識課長(以下「鑑識課長」という。)にこれを送付することにより、警察庁刑事局犯罪鑑識官(以下「犯罪鑑識官」という。)に対し身元照会を行うことを依頼することができる。
前項の規定による依頼を受けた鑑識課長は、当該死者身元照会依頼書に係る電磁的方法による記録を作成し、犯罪鑑識官に対し、当該記録を電磁的方法により送信することにより、身元照会を行うものとする。
前項の規定による身元照会を受けた犯罪鑑識官は、速やかに、当該身元照会に係る電磁的方法による記録とその保管する指掌紋記録(指掌紋取扱規則(平成九年国家公安委員会規則第十三号)第六条第三項に規定する指掌紋記録をいう。)とを対照し、直ちに、その結果を当該身元照会をした鑑識課長に回答しなければならない。
前項の規定による回答を受けた鑑識課長は、直ちに、当該回答の内容を第一項の規定による依頼をした警察署長に通知しなければならない。
警察署長は、取扱死体の組織の一部(以下「資料」という。)を採取した場合において、当該取扱死体の身元を明らかにするため必要があると認めるときは、警視庁 又は道府県警察本部の科学捜査研究所長(以下「科学捜査研究所長」という。)に当該資料を送付することにより、当該資料のDNA型鑑定(DNA型記録取扱規則(平成十七年国家公安委員会規則第十五号)第二条第三号のDNA型鑑定をいう。以下同じ。)を嘱託することができる。
前項の規定による嘱託を受けた科学捜査研究所長は、当該嘱託に係る資料のDNA型鑑定を行い、その特定DNA型(DNA型記録取扱規則第二条第二号の特定DNA型をいう。以下同じ。)が判明した場合において、前項に規定する警察署長から第四項の規定による対照をする必要があると認められる旨の通知を受けたときは、当該資料の特定DNA型 その他の警察庁長官が定める事項の記録(以下「死体DNA型記録」という。)を作成し、これを犯罪鑑識官に電磁的方法により送信しなければならない。
科学捜査研究所長は、前項の規定による送信をしたときは、当該死体DNA型記録を抹消しなければならない。
第二項の規定による送信を受けた犯罪鑑識官は、速やかに、当該死体DNA型記録に係る特定DNA型と犯罪鑑識官の保管する被疑者DNA型記録(DNA型記録取扱規則第二条第五号の被疑者DNA型記録をいう。)及び特異行方不明者等DNA型記録(行方不明者発見活動に関する規則(平成二十一年国家公安委員会規則第十三号)第二十四条の二第二項に規定する特異行方不明者等DNA型記録をいう。以下同じ。)に係る特定DNA型とを対照し、直ちに、その結果を当該送信をした科学捜査研究所長に通知しなければならない。
前項の規定による通知を受けた科学捜査研究所長は、直ちに、当該通知の内容を第一項に規定する警察署長に通知しなければならない。
犯罪鑑識官は、前条第二項の規定による死体DNA型記録の送信を受けたときは、これを整理保管しなければならない。
犯罪鑑識官は、死体DNA型記録の保管に当たっては、これに記録された情報の漏えい、滅失 又はき損の防止を図るため必要かつ適切な措置を講じなければならない。
犯罪鑑識官は、その保管する死体DNA型記録が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該死体DNA型記録を抹消しなければならない。
前条第四項の規定による対照をした場合において、当該死体DNA型記録に係る特定DNA型が犯罪鑑識官の保管する特異行方不明者等DNA型記録に係る特定DNA型に該当し、当該死体DNA型記録に係る取扱死体が当該特異行方不明者等DNA型記録に係る特異行方不明者(行方不明者発見活動に関する規則第二条第二項に規定する特異行方不明者をいう。)であることが判明したとき。
前号に掲げるもののほか、死体DNA型記録を保管する必要がなくなったとき。
警察署長は、法第四条第一項の規定による報告 又は死体に関する法令に基づく届出に係る死体(取扱死体を除く。)について、当該死体を引き渡したとしてもその後 の犯罪捜査に支障を及ぼすおそれがないと認められる場合において、当該死体の身元が明らかになったときは、速やかに、遺族 その他当該死体を引き渡すことが適当と認められる者に対し、その後の犯罪捜査 又は公判に支障を及ぼさない範囲内においてその死因 その他参考となるべき事項の説明を行うとともに、着衣 及び所持品と共に当該死体を引き渡さなければならない。
ただし、当該者に引き渡すことができないときは、死亡地の市町村長(特別区の区長を含む。次項において同じ。)に引き渡すものとする。
警察署長は、前項に規定する死体について、当該死体を引き渡したとしてもその後の犯罪捜査に支障を及ぼすおそれがないと認められる場合において、当該死体の身元を明らかにすることができないと認めるときは、遅滞なく、着衣 及び所持品と共に当該死体をその所在地の市町村長に引き渡すものとする。
警察署長は、法第十条 又は前条の規定による引渡しを行ったときは、死体 及び所持品引取書(別記様式第二号)を徴さなければならない。
戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第九十二条第一項の規定による報告は、死亡報告書(別記様式第三号)に本籍等不明死体調査書(別記様式第四号)を添付して行うものとする。
戸籍法第九十二条第二項の規定による報告は、死亡者の本籍等判明報告書(別記様式第五号)により行うものとする。
死産の届出に関する規程(昭和二十一年厚生省令第四十二号)第九条の規定による通知は、母の不明な死産児に関する通知書(別記様式第六号)により行うものとする。
警察署長は、死産の届出に関する規程第九条の規定による通知を行った場合において、死産児の母が明らかになったときは、遅滞なく、同条に規定する市町村長に対し、その旨を通知しなければならない。