民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第十節 委任

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 20時49分


1項

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

1項

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

1項

受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない

2項

代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。

1項

受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なく その経過 及び結果を報告しなければならない。

1項

受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭 その他の物を委任者に引き渡さなければならない。


その収取した果実についても、同様とする。

2項

受任者は、委任者のために自己の名で取得した権利を委任者に移転しなければならない。

1項

受任者は、委任者に引き渡すべき金額 又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。


この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。

1項

受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない

2項

受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない


ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。

3項

受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。

一 号

委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。

二 号

委任が履行の中途で終了したとき。

1項

委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、その成果の引渡しと同時に、支払わなければならない。

2項

第六百三十四条の規定は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合について準用する。

1項

委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。

1項

受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用 及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。

2項

受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。


この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。

3項

受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

1項

委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2項

前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。


ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

一 号

相手方に不利な時期に委任を解除したとき。

二 号

委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したとき。

1項

第六百二十条の規定は、委任について準用する。

1項

委任は、次に掲げる事由によって終了する。

一 号

委任者 又は受任者の死亡

二 号

委任者 又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。

三 号

受任者が後見開始の審判を受けたこと。

1項

委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者 又はその相続人 若しくは法定代理人は、委任者 又はその相続人 若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

1項

委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない

1項

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。