都道府県は、消防機関による救急業務としての傷病者(第二条第九項に規定する傷病者をいう。以下この章において同じ。)の搬送(以下この章において「傷病者の搬送」という。)及び医療機関による当該傷病者の受入れ(以下この章において「傷病者の受入れ」という。)の迅速かつ適切な実施を図るため、傷病者の搬送 及び傷病者の受入れの実施に関する基準(以下この章において「実施基準」という。)を定めなければならない。
消防法
第七章の二 救急業務
実施基準においては、都道府県の区域 又は医療を提供する体制の状況を考慮して都道府県の区域を分けて定める区域ごとに、次に掲げる事項を定めるものとする。
傷病者の心身等の状況(以下この項において「傷病者の状況」という。)に応じた適切な医療の提供が行われることを確保するために医療機関を分類する基準
前号に掲げる基準に基づき分類された医療機関の区分 及び当該区分に該当する医療機関の名称
消防機関が傷病者の搬送を行おうとする医療機関を選定するための基準
消防機関が傷病者の搬送を行おうとする医療機関に対し 傷病者の状況を伝達するための基準
前二号に掲げるもののほか、傷病者の受入れに関する消防機関と医療機関との間の合意を形成するための基準 その他傷病者の受入れを行う医療機関の確保に資する事項
前各号に掲げるもののほか、傷病者の搬送 及び傷病者の受入れの実施に関し 都道府県が必要と認める事項
実施基準は、医学的知見に基づき、かつ、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第一項に規定する医療計画との調和が保たれるように定められなければならない。
都道府県は、実施基準を定めるときは、あらかじめ、第三十五条の八第一項に規定する協議会の意見を聴かなければならない。
都道府県は、実施基準を定めたときは、遅滞なく、その内容を公表しなければならない。
前三項の規定は、実施基準の変更について準用する。
総務大臣 及び厚生労働大臣は、都道府県に対し、実施基準の策定 又は変更に関し、必要な情報の提供、助言 その他の援助を行うものとする。
消防機関は、傷病者の搬送に当たつては、実施基準を遵守しなければならない。
医療機関は、傷病者の受入れに当たつては、実施基準を尊重するよう努めるものとする。
都道府県は、実施基準に関する協議 並びに実施基準に基づく傷病者の搬送 及び傷病者の受入れの実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織するものとする。
協議会は、必要があると認めるときは、関係行政機関に対し、資料の提供、意見の表明、説明 その他の協力を求めることができる。
協議会は、都道府県知事に対し、実施基準 並びに傷病者の搬送 及び傷病者の受入れの実施に関し 必要な事項について意見を述べることができる。
都道府県知事は、救急業務を行つていない市町村の区域に係る道路の区間で交通事故の発生が頻繁であると認められるものについて当該交通事故により必要とされる救急業務を、関係市町村の意見を聴いて、救急業務を行つている他の市町村に実施するよう要請することができる。
この場合において、その要請を受けた市町村は、当該要請に係る救急業務を行うことができる。
都道府県は、救急業務を行つていない市町村の区域に係る高速自動車国道 又は一般国道のうち交通事故により必要とされる救急業務が特に必要な区間として政令で定める区間(前項の要請により救急業務が行われている道路の区間を除く。)について、当該救急業務を行つていない市町村の意見を聴いて、当該救急業務を行うものとする。
この場合において、当該救急業務に従事する職員は、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の適用については、消防職員とする。
救急隊員は、緊急の必要があるときは、傷病者の発生した現場付近に在る者に対し、救急業務に協力することを求めることができる。
救急隊員は、救急業務の実施に際しては、常に警察官と密接な連絡をとるものとする。
第二十七条の規定は、救急隊について準用する。
この場合において、
同条中
「火災の現場に到着する」とあるのは、
「救急業務を実施する」と
読み替えるものとする。
消防組織法第三十九条の規定は、第三十五条の九第二項の規定により都道府県が救急業務を行う場合について準用する。
この場合において、
同法第三十九条中
「市町村」とあるのは
「市町村 及び都道府県」と、
「消防」とあるのは
「救急業務」と、
「市町村長」とあるのは
「市町村長 及び都道府県知事」と
読み替えるものとする。
この章に規定するもののほか、救急隊の編成 及び装備の基準 その他救急業務の処理に関し必要な事項は、政令で定める。