科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律

# 平成二十年法律第六十三号 #
略称 : 研究開発力強化法  科技イノベ活性化法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和五年六月七日 ( 2023年 6月7日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第四十七号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 01時05分


1項
この法律は、国際競争の激化、急速な少子高齢化の進展等の経済社会情勢の変化に対応して、我が国の経済社会を更に発展させるためには科学技術・イノベーション創出の活性化を通じてこれに関する知識、人材 及び資金の好循環を実現することが極めて重要であることに鑑み、科学技術・イノベーション創出の活性化に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、研究開発法人 及び大学等 並びに民間事業者の責務等を明らかにするとともに、科学技術・イノベーション創出の活性化のために必要な事項等を定めることにより、我が国の国際競争力の強化、経済社会の健全な発展 及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。
1項

この法律において「研究開発」とは、科学技術に関する試験 若しくは研究 又は科学技術に関する開発をいう。

2項

この法律において「研究開発等」とは、研究開発 又は研究開発の成果の普及 若しくは実用化をいう。

3項

この法律において「研究開発能力」とは、研究開発等を行う能力をいう。

4項

この法律において「研究開発システム」とは、研究開発等の推進のための基盤が整備され、科学技術に関する予算、人材 その他の科学技術の振興に必要な資源(以下単に「科学技術の振興に必要な資源」という。)が投入されるとともに、研究開発が行われ、その成果の普及 及び実用化が図られるまでの仕組み全般をいう。

5項

この法律において「イノベーションの創出」とは、科学技術・イノベーション基本法平成七年法律第百三十号第二条第一項に規定するイノベーションの創出をいう。

6項

この法律において「科学技術・イノベーション創出の活性化」とは、科学技術の活性化 及び研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出の活性化をいう。

7項

この法律において「大学等」とは、大学 及び大学共同利用機関をいう。

8項

この法律において「試験研究機関等」とは、次に掲げる機関のうち科学技術に関する試験 又は研究(以下単に「研究」という。)を行うもので政令で定めるものをいう。

一 号

内閣府設置法平成十一年法律第八十九号第三十九条 及び第五十五条 並びに宮内庁法昭和二十二年法律第七十号第十六条第二項 並びに国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第八条の二に規定する機関

二 号

内閣府設置法第四十条 及び第五十六条 並びに国家行政組織法第八条の三に規定する特別の機関 又は当該機関に置かれる試験所、研究所 その他これらに類する機関

三 号

内閣府設置法第四十三条 及び第五十七条宮内庁法第十八条第一項において準用する 場合を含む。)並びに宮内庁法第十七条第一項 並びに国家行政組織法第九条に規定する地方支分部局に置かれる試験所、研究所 その他これらに類する機関

四 号

行政執行法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。以下同じ。

9項

この法律において「研究開発法人」とは、独立行政法人通則法第二条第一項に規定する独立行政法人(以下単に「独立行政法人」という。)であって、研究開発等、研究開発等であって公募によるものに係る業務 又は科学技術に関する啓発 及び知識の普及に係る業務を行うもののうち重要なものとして別表第一に掲げるものをいう。

10項

この法律において「国立大学法人等」とは、国立大学法人法平成十五年法律第百十二号第二条第五項に規定する国立大学法人等をいう。

11項

この法律において「研究者等」とは、科学技術に関する研究者 及び技術者(研究開発の補助を行う人材を含む。)をいう。

12項

この法律において「研究公務員」とは、試験研究機関等に勤務する次に掲げる国家公務員をいう。

一 号

一般職の職員の給与に関する法律昭和二十五年法律第九十五号第六条第一項の規定に基づき同法別表第七研究職俸給表次号において「別表第七」という。)の適用を受ける職員 並びに同項の規定に基づき同法別表第六教育職俸給表)(次号において「別表第六」という。)の適用を受ける職員、同項の規定に基づき同法別表第八医療職俸給表)(次号において「別表第八」という。)の適用を受ける職員 及び一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律平成十二年法律第百二十五号第七条第一項の規定に基づき同項に規定する俸給表次号において「任期付職員俸給表」という。)の適用を受ける職員のうち研究を行う者として政令で定める者 並びに一般職の任期付研究員の採用、給与 及び勤務時間の特例に関する法律平成九年法律第六十五号第六条第一項 又は第二項の規定に基づき これらの規定に規定する俸給表(次号において「任期付研究員俸給表」という。)の適用を受ける職員(第十四条第二項において「任期付研究員俸給表適用職員」という。

二 号

防衛省の職員の給与等に関する法律昭和二十七年法律第二百六十六号第四条第一項の規定に基づき別表第七に定める額の俸給が支給される職員 並びに同項の規定に基づき別表第六 又は別表第八に定める額の俸給が支給される職員、同条第二項の規定に基づき任期付職員俸給表に定める額の俸給が支給される職員 及び防衛省設置法昭和二十九年法律第百六十四号第三十九条に規定する自衛官のうち研究を行う者として政令で定める者 並びに防衛省の職員の給与等に関する法律第四条第三項の規定に基づき任期付研究員俸給表に定める額の俸給が支給される職員

三 号

行政執行法人に勤務する国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号第二条に規定する一般職に属する職員のうち研究を行う者として政令で定める者

13項

この法律において「産学官連携」とは、研究開発等の実施、人事交流、人材の育成 その他の科学技術・イノベーション創出の活性化に必要な取組の効果的な実施を図るために国、地方公共団体、研究開発法人、大学等 及び民間事業者が相互に連携することをいう。

14項

この法律において「中小企業者」とは、次の各号いずれかに該当する者をいう。

一 号

資本金の額 又は出資の総額が三億円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社 及び個人であって、製造業建設業運輸業 その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種 及び第五号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

二 号

資本金の額 又は出資の総額が一億円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社 及び個人であって、卸売業第五号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

三 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社 及び個人であって、サービス業第五号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

四 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社 及び個人であって、小売業次号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

五 号

資本金の額 又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社 並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社 及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの

六 号
企業組合
七 号
協業組合
八 号

事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会 その他の特別の法律により設立された組合 及びその連合会であって、政令で定めるもの

15項

この法律において「国等」とは、国 及び独立行政法人 その他特別の法律によって設立された法人であって新技術に関する研究開発のための補助金、委託費 その他相当の反対給付を受けない給付金(以下「新技術補助金等」という。)を交付するものとして政令で定めるものをいう。

16項

この法律において「指定補助金等」とは、内閣総理大臣、経済産業大臣 及び各省各庁の長等(財政法昭和二十二年法律第三十四号第二十条第二項に規定する各省各庁の長、国等である独立行政法人の主務大臣(独立行政法人通則法第六十八条に規定する主務大臣をいう。第二十七条の三第三十四条の六第四十八条 及び第五十二条において同じ。)及び国等である特別の法律によって設立された法人の主務大臣をいう。以下同じ。)が、第三十四条の十一第一項の指針における同条第二項第一号に掲げる事項に照らして適切であるものとして指定する新技術補助金等をいう。

1項
科学技術・イノベーション創出の活性化は、これに関する国際的な水準を踏まえるとともに地域経済の活性化を図る観点を踏まえつつ、次に掲げる事項を推進することにより、我が国における科学技術の水準の向上を図るとともに、国民経済の健全な発展 及び安全で豊かな国民生活の実現に寄与するよう行われなければならない。
一 号
研究開発等の推進のための基盤の強化 並びに科学技術の振興に必要な資源の確保 及び柔軟かつ弾力的な活用
二 号

研究開発等を行う機関(以下「研究開発機関」という。)及び研究者等が、これまでの研究開発の成果の集積を最大限に活用しながら、その研究開発能力を最大限に発揮して研究開発等を行うことができる環境の整備

三 号
産学官連携による基礎的な研究開発からその成果の実用化までの一貫した取組
四 号
経済社会情勢の変化と社会の要請に対応した研究開発法人 及び大学等による経営能力の強化を図るための改革
五 号

革新的な研究開発 又は研究開発の成果を活用した新たな事業の創出を行う意欲を有する多様な人材が主体的かつ積極的にこれらに取り組むことができる環境の整備

2項

科学技術・イノベーション創出の活性化は、科学技術・イノベーション基本法第三条に規定する科学技術・イノベーション創出の振興に関する方針にのっとり、政府の行政改革の基本方針との整合性に配慮して、行われなければならない。

1項

国は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、科学技術・イノベーション創出の活性化に関し、国の施策に準じた施策 及びその地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項
研究開発法人 及び大学等は、基本理念にのっとり、その研究開発能力の強化 及び研究開発等の効率的推進に努めるとともに、民間事業者と連携し、科学技術・イノベーション創出の活性化に努めるものとする。
2項
研究開発法人 及び大学等は、基本理念にのっとり、経済社会情勢の変化、社会の要請、自らの研究開発能力の現状、科学技術に関する内外の動向 その他のその経営を取り巻く状況を的確に把握しつつ、経営能力の強化に努めるものとする。
3項

国 及び地方公共団体は、研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化 及び研究開発等の効率的推進に関する施策で大学等に係るものを策定し、及び実施するに当たっては、大学等における研究活動の活性化を図るよう努めるとともに、研究者等の自主性の尊重 その他の大学等における研究の特性に配慮しなければならない。

1項
民間事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、研究開発法人 及び大学等と積極的に連携し、科学技術・イノベーション創出の活性化に努めるものとする。
1項
国は、国、地方公共団体、研究開発法人、大学等 及び民間事業者が相互に連携を図りながら協力することにより、科学技術・イノベーション創出の活性化が図られることに鑑み、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。
1項
政府は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上、税制上 又は金融上の措置 その他の措置を講じなければならない。