自衛隊法

# 昭和二十九年法律第百六十五号 #

第一款 予備自衛官

分類 法律
カテゴリ   防衛
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十四号による改正
最終編集日 : 2024年 04月22日 07時49分

1項

予備自衛官は、第七十条第一項各号に規定する招集命令により招集された場合において同条第三項の規定により自衛官となつて勤務し、第七十一条第一項に規定する訓練招集命令により招集された場合において訓練に従事するものとする。

2項

予備自衛官の員数は、四万七千九百人とし、防衛省の職員の定員外とする。

1項

予備自衛官の採用は、第三十五条の規定にかかわらず、自衛官であつた者 又は次項の規定により予備自衛官に任用されたことがある者の志願に基づき、防衛省令で定めるところにより、選考によつて行うものとする。

2項

前項の規定によるもののほか第七十五条の九第一項に規定する教育訓練のすべてを修了した者は、修了の日の翌日に予備自衛官に任用されるものとする。

3項

防衛大臣 又はその委任を受けた者は、前二項の規定により任用された予備自衛官に対し、防衛省令で定めるところにより、相当の自衛官の階級を指定するものとする。

1項

前条第一項 又は第二項の規定により予備自衛官に任用された者の任用期間は、任用の日から起算して三年とする。

2項

防衛大臣は、予備自衛官(第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている者を含む。)がその任用期間が満了した場合において、志願をしたときは、引き続き三年を任用期間として、これを予備自衛官に任用することができる。


この場合における任用期間の起算日は、引き続いて任用された日とする。

3項

防衛大臣は、予備自衛官が第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている場合において、当該自衛官が予備自衛官としての任用期間が満了したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、その者の任用期間を延長することができる。

4項

予備自衛官が第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつていた期間は、予備自衛官の任用期間に含めて計算するものとする。

1項

防衛大臣 又はその委任を受けた者は、人事評価に基づく選考により、予備自衛官を、その現に指定されている自衛官の階級より上位の階級を指定して、昇進させることができる。

2項

前項の選考 その他予備自衛官の昇進の方法 及び手続に関し必要な事項は、防衛省令で定める。

1項

予備自衛官は、その指定に係る自衛官の階級名に予備の文字を冠した呼称を用いることができる。

2項

予備自衛官は、第七十一条に規定する訓練招集命令を受けて訓練に従事する場合においては、防衛大臣の定めるところに従い、制服を着用しなければならない。

3項

前項に規定するもののほか、予備自衛官は、次の場合には、防衛大臣の定めるところにより、制服を着用することができる。

一 号

自衛隊の行なう儀式 その他公の儀式に参加する場合

二 号

自衛隊の行なう行事 その他防衛大臣の定める行事に参加する場合

1項

防衛大臣は、次の各号に掲げる場合には、内閣総理大臣の承認を得て、予備自衛官に対し、当該各号に定める招集命令書による招集命令を発することができる。

一 号

第七十六条第一項の規定による防衛出動命令が発せられた場合 又は事態が緊迫し、同項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、必要があると認めるとき

防衛招集命令書による防衛招集命令

二 号

第七十七条の四の規定により国民の保護のための措置(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律平成十六年法律第百十二号第二条第三項に規定する国民の保護のための措置をいい、治安の維持に係るものを除く。以下同じ。) 又は緊急対処保護措置(同法第百七十二条第一項に規定する緊急対処保護措置をいい、治安の維持に係るものを除く。以下同じ。)を実施するため部隊等を派遣する場合において、特に必要があると認めるとき

国民保護等招集命令書による国民保護等招集命令

三 号

第八十三条第二項の規定により部隊等を救援のため派遣する場合において、特に必要があると認めるとき

災害招集命令書による災害招集命令

2項

前項各号の招集命令を受けた予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、招集に応じなければならない。

3項

第一項各号の招集命令により招集された予備自衛官は、辞令を発せられることなく、招集に応じて出頭した日をもつて、現に指定されている階級の自衛官となるものとする。


この場合において、当該自衛官の員数は、防衛省の職員の定員外とする。

4項

前項本文の場合においては、当該自衛官の任用期間は、第三十六条の規定にかかわらず、その者の予備自衛官としての任用期間によるものとし、当該自衛官については、第四十五条第一項の定年に関する規定は、適用しない

5項

第一項各号の規定による招集命令を受けた予備自衛官が心身の故障 その他真にやむを得ない事由により指定の日時に、指定の場所に出頭することができない旨を申し出た場合 又は招集に応じて出頭した予備自衛官についてこれらの事由があると認める場合においては、防衛大臣は、政令で定めるところにより、招集命令を取り消し、又は招集を猶予し、若しくは解除することができる。

6項

防衛大臣は、第一項各号の規定による招集命令を受け、第三項の規定により自衛官となつた者について、招集の必要がなくなつた場合には、速やかに、招集を解除しなければならない。

7項

前二項の規定により招集を解除された自衛官は、次項の規定による招集命令を受けた場合 又は第九項に該当する場合を除き、辞令を発せられることなく、招集の解除の日の翌日をもつて予備自衛官となり、招集の解除の日の当該自衛官の階級を指定されたものとする。

8項

防衛大臣は、第六項の規定により招集を解除する場合において、新たに第一項各号に掲げる場合に該当するときは、内閣総理大臣の承認を得て、当該自衛官に対し、当該各号に定める招集命令書による招集命令を発することができる。


この場合において、当該招集命令を受けた自衛官は、同項各号の規定による招集命令を受け、第三項の規定により自衛官となつたものとする。

9項

第六十八条第三項の規定により任用期間が延長されていた自衛官が招集を解除された場合においては、招集の解除の日をもつて予備自衛官の任用期間が満了したものとする。

1項

防衛大臣は、所要の訓練を行うため、各回ごとに招集期間を定めて、予備自衛官に対し、訓練招集命令書によつて、訓練招集命令を発することができる。

2項

前項の訓練招集命令を受けた予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、訓練招集に応じなければならない。

3項

第一項の招集期間は、一年を通じて二十日をこえないものとする。

4項

第一項の規定による訓練招集命令を受けた予備自衛官が心身の故障 その他正当な事由により指定の日時に、指定の場所に出頭することができない旨を申し出た場合 又は訓練招集に応じて出頭した予備自衛官についてこれらの事由があると認める場合においては、防衛大臣は、政令で定めるところにより、訓練招集命令を取り消し、又は変更することができる。

5項

第一項の訓練招集命令により招集された予備自衛官は、その招集されている期間中、防衛省令で定めるところに従い、防衛大臣が指定する場所に居住して、訓練に従事するものとする。

1項

前二条に規定するもののほか第七十条第一項各号に規定する防衛招集命令書、国民保護等招集命令書 及び災害招集命令書 並びに前条第一項に規定する訓練招集命令書に記載すべき事項、予備自衛官に対する防衛招集命令、国民保護等招集命令 及び災害招集命令 並びに訓練招集命令の手続 その他予備自衛官の防衛招集、国民保護等招集 及び災害招集 並びに訓練招集に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

何人も、被用者を求め、又は求職者の採否を決定する場合においては、予備自衛官である者に対し、その予備自衛官であることを理由として不利益な取扱をしてはならない。

2項

すべて使用者は、被用者が予備自衛官であること 又は予備自衛官になろうとしたことを理由として、その者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をしてはならない。

1項

防衛大臣 又はその委任を受けた者は、予備自衛官(第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている者を含む。)である者の使用者から求められた場合であつて、当該予備自衛官の同意があるときは、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、当該使用者に対し、当該予備自衛官の訓練招集の予定期間 その他予備自衛官の職務に対する理解と協力の確保に資するものとして防衛省令で定める情報の提供を行うものとする。

1項

防衛大臣 又はその委任を受けた者は、予備自衛官(第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている者を含む。第二号において同じ。)が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつたときは、当該予備自衛官である者の使用者(政令で定める者を除く)に対し、当該予備自衛官である者が当該使用者の事業に従事することができない間における当該事業の継続に伴う負担を考慮して政令で定める額に、当該各号に定める日の数を乗じて得た額を、予備自衛官の職務に対する理解と協力の確保に資するための給付金として支給することができる

一 号

第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつて勤務した場合

自衛官としての勤務のために当該事業に従事することができなかつた日(招集に応じて出頭した日から招集の解除の日までの間の日に限る

二 号

第七十条第一項各号の規定による招集命令 又は第七十一条第一項の規定による訓練招集命令を受けた後に当該招集命令 又は訓練招集命令を受けた予備自衛官として公務上負傷し、又は疾病にかかつた場合

当該負傷 又は疾病の療養のために当該事業に従事することができなかつた日(招集の解除の日 又は同項の招集期間の終了の日の翌日以後最初に当該事業に従事することができなかつた日から起算して政令で定める期間を経過する日までの間の日に限る

2項

前項に定めるもののほか同項の給付金の支給に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

予備自衛官は、住所を変更したとき、心身の故障のため長期の休養を要するに至つたとき、又は心身障害の状態となつたときは、政令で定めるところにより、防衛大臣に対し、すみやかに、その旨を届け出なければならない。

2項

予備自衛官は、防衛招集、国民保護等招集 若しくは災害招集 又は訓練招集に支障を来すことのないように、常にその所在を同居の親族 その他政令で定める者に明らかにしておかなければならない。

3項

予備自衛官が死亡したとき、又は所在不明となつたときは、前項の同居の親族 その他政令で定める者は、政令で定めるところにより、防衛大臣に対し、すみやかに、その旨を届け出なければならない。

1項

第四十一条第三節第五十四条第一項第六十条第二項 及び第三項第六十一条から第六十三条まで 並びに前節の規定は、予備自衛官については、適用しない


ただし第六十一条第一項の規定は、第七十一条第一項の規定による訓練招集命令により招集されている予備自衛官については、適用があるものとする。

2項

第四十一条第六十条第二項 及び第三項第六十一条第二項 及び第三項第六十二条第六十三条 並びに前節の規定は、第七十条第三項の規定により自衛官となつている者については、適用しない