船員法

# 昭和二十二年法律第百号 #

第六章 労働時間、休日及び定員

分類 法律
カテゴリ   海運
@ 施行日 : 令和六年五月三十一日 ( 2024年 5月31日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第四十二号
最終編集日 : 2024年 11月06日 20時14分


1項

船員の一日当たりの労働時間は、八時間以内とする。

2項

船員の一週間当たりの労働時間は、基準労働期間について平均四十時間以内とする。

3項

前項基準労働期間とは、船舶の航行区域、航路 その他の航海の期間 及び態様に係る事項を勘案して国土交通省令で定める船舶の区分に応じて一年以下の範囲内において国土交通省令で定める期間(船舶所有者が就業規則 その他これに準ずるものにより当該期間の範囲内においてこれと異なる期間を定めた場合 又は労働協約により一年以下の範囲内においてこれらと異なる期間が定められた場合には、それぞれその定められた期間)をいう。

4項
国土交通大臣は、前項の国土交通省令の制定 又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、交通政策審議会の議を経なければならない。
1項

船舶所有者が船員に与えるべき休日は、前条第二項の基準労働期間について一週間当たり平均一日以上とする。

1項

船舶所有者は、船員の労働時間(第六十六条第八十八条の二の二第四項 及び第五項 並びに第八十八条の三第四項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける時間を除く)が一週間において四十時間を超える場合 又は船員に一週間において少なくとも一日の休日を与えることができない場合には、その超える時間(当該一週間において少なくとも一日の休日が与えられない場合にあつては、その超える時間が八時間を超える時間。次項において「超過時間」という。)において作業に従事すること 又はその休日を与えられないことに対する補償としての休日(以下「補償休日」という。)を、当該一週間に係る第六十条第二項の基準労働期間以内にその者に与えなければならない。


ただし、船舶が航海の途中にあるとき その他の国土交通省令で定めるやむを得ない事由のあるときは、その事由の存する期間、補償休日を与えることを延期することができる。

2項

前項の規定により与えるべき補償休日の日数は、超過時間の合計八時間当たり又は少なくとも一日の休日が与えられない一週間当たり一日を基準として、第六十条第二項 及び前条の規定を遵守するために必要な日数として国土交通省令で定めるところにより算定される日数とし、その付与の単位は、一日国土交通省令で定める場合は、国土交通省令で定める一日未満の単位)とする。

3項

第一項の規定により与えられた補償休日を含む一週間に係る同項の規定の適用については、当該補償休日はそれを与えられた船員が作業に従事した日であつて休日以外のものとみなし、その労働時間は八時間当該補償休日が前項の国土交通省令の規定による一日未満の単位で与えられたものである場合には、国土交通省令で定める時間)とみなす。

4項

前三項に定めるもののほか、補償休日の付与に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。

1項

船舶所有者は、前条第一項の規定により補償休日を与えるべき船員が当該補償休日を与えられる前に解雇され、又は退職したときは、その者に与えるべき補償休日の日数に応じ、国土交通省令で定める補償休日手当を支払わなければならない。

1項

船長は、船舶の航海の安全を確保するため臨時の必要があるときは、第六十条第一項の規定 若しくは第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて、自ら作業に従事し、若しくは海員を作業に従事させ、又は第六十二条第一項 若しくは第六十五条の三の規定にかかわらず、補償休日 若しくは休息時間において、自ら作業に従事し、若しくは海員を作業に従事させることができる。

2項

船長は、前項に規定する場合のほか、船舶が狭い水路を通過するため航海当直の員数を増加する必要がある場合 その他の国土交通省令で定める特別の必要がある場合においては、国土交通省令で定める時間を限度として、第六十条第一項の規定 又は第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて、自ら作業に従事し、又は海員を作業に従事させることができる。

3項

船長は、第一項の規定により、補償休日 又は休息時間において、自ら作業に従事し、又は海員を作業に従事させたときは、船舶の運航の安全の確保に支障を及ぼさない限りにおいて、当該作業の終了後できる限り速やかに休息をし、又は休息をさせるよう努めなければならない。

1項

船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを国土交通大臣に届け出た場合においては、その協定で定めるところにより、第六十条第一項の規定 又は第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて船員を作業に従事させることができる。

2項

国土交通大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度 その他の必要な事項について、船員の福祉、時間外労働の動向 その他の事情を考慮して基準を定めることができる。

3項

第一項の協定をする船舶所有者 及び労働組合 又は船員の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。

4項

国土交通大臣は、第二項の基準に関し、第一項の協定をする船舶所有者 及び労働組合 又は船員の過半数を代表する者に対し、必要な助言 及び指導を行うことができる。

1項

船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを国土交通大臣に届け出た場合においては、第六十二条第一項の規定にかかわらず、その協定で定めるところにより、かつ、国土交通省令で定める補償休日の日数を限度として、補償休日において船員を作業に従事させることができる。

1項

第六十四条第二項の規定により第六十条第一項の規定 又は第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて船員を作業に従事させる場合であつても、船員の一日当たりの労働時間 及び一週間当たりの労働時間は、第六十条第一項の規定 及び第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間 並びに海員にあつては次項の規定による作業に従事する労働時間を含め、それぞれ十四時間 及び七十二時間を限度とする。

2項

第六十四条の二第一項の規定により第六十条第一項の規定 又は第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて海員を作業に従事させる場合であつても、海員の一日当たりの労働時間 及び一週間当たりの労働時間は、第六十条第一項の規定 及び第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間 並びに前項の規定による作業に従事する労働時間を含め、それぞれ十四時間 及び七十二時間を限度とする。

3項

船舶所有者は、船員を前二項に規定する労働時間の限度を超えて作業に従事させてはならない。

4項

第六十四条第一項の規定により船員が作業に従事した労働時間は、第一項 及び第二項に規定する労働時間には算入しないものとする。

5項

第一項から第三項までの規定は、海底の掘削に従事する船舶 その他のその航海の態様が特殊であるため船員がこれらの規定によることが著しく不適当な職務に従事することとなると認められる船舶として国土交通省令で定めるものについては、適用しない

1項

船舶所有者は、休息時間を一日について三回以上に分割して船員に与えてはならない。

2項

船舶所有者は、前項に規定する休息時間を一日について二回に分割して船員に与える場合において、休息時間のうち、いずれか長い方の休息時間を六時間以上としなければならない。

3項

前二項の規定にかかわらず、船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを国土交通大臣に届け出た場合においては、その協定で定めるところにより、休息時間を、一日について三回以上に分割して、又は前項に規定する場合において休息時間のうちいずれか長い方の休息時間を六時間未満として、船員(海員にあつては、次に掲げる者に限る)に与えることができる。

一 号

船舶が狭い水路を通過するため航海当直の員数を増加する必要がある場合 その他の国土交通省令で定める特別の安全上の必要がある場合において作業に従事する海員

二 号

定期的に短距離の航路に就航するため入出港が頻繁である船舶 その他のその航海の態様が特殊であるため船員が前二項の規定によることが著しく不適当な職務に従事することとなると認められる船舶で国土交通大臣の指定するものに乗り組む海員

1項

船舶所有者は、第六十四条から第六十五条までの規定により、船員が、第六十条第一項の規定 若しくは第七十二条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて 又は補償休日において作業に従事したときは、国土交通省令で定める割増手当を支払わなければならない。

1項

船長は、第十二条から第十四条までに規定する場合 その他非常の場合以外の通常の場合における船員の船内作業の時間帯 及び作業内容に関し、国土交通省令で定めるところにより、通常配置表を定め、これを船員室 その他適当な場所に掲示しておかなければならない。

1項

船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、船員の労務管理を行う主たる事務所に記録簿を備え置いて、船員の労働時間 及び休息時間 並びに船員に対する休日 及び有給休暇の付与に関する事項を記載しなければならない。

2項

船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、船員に対し、前項の記録簿の写しを交付しなければならない。

3項

船舶所有者は、第一項の記録簿の作成に当たり、国土交通省令で定める方法により、船員の労働時間の状況を把握しなければならない。

1項

船舶所有者は、前条第一項の記録簿の作成 及び備置き その他の船員の労務管理に関する事項であつて国土交通省令で定めるものを管理させるため、労務管理責任者を選任しなければならない。

2項

労務管理責任者は、船員の労働時間、作業による心身への負荷 その他の船員の状況に鑑み、労働時間の短縮、休日 又は有給休暇の付与、乗り組む船舶の変更 その他国土交通省令で定める措置を講ずる必要があるときは、船舶所有者に対し その旨の意見を述べるものとする。

3項

船舶所有者は、前項の規定による労務管理責任者の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、船員の健康状態 その他の実情を考慮して、同項の措置のうち適切なものを講じなければならない。

4項

船舶所有者は、前項の措置を講ずるため運航計画(内航海運業法(昭和二十七年法律第百五十一号)第十二条第一項に規定する運航計画をいう。)の作成 及び実施に関する事項について変更の必要があると認めるときは、当該船員が乗り組む船舶の運航の管理を行う同法第八条第一項に規定する内航運送をする内航海運業者に対し意見を述べなければならない。

5項

船舶所有者は、労務管理責任者について、必要な研修を受けさせること その他の第一項に規定する事項を管理するための知識の習得 及び向上を図るための措置を講ずるよう努めなければならない。

1項

第六十条から前条までの規定 及び第七十二条の国土交通省令の規定は、船員が人命、船舶 若しくは積荷の安全を図るため 又は人命 若しくは他の船舶を救助するため緊急を要する作業に従事する場合(海員にあつては、船長の命令により当該作業に従事する場合に限る)には、これを適用しない

2項

船長は、補償休日 又は休息時間において、前項の作業に自ら従事し、又は海員を従事させたときは、船舶の運航の安全の確保に支障を及ぼさない限りにおいて、当該作業の終了後できる限り速やかに休息をし、又は休息をさせるよう努めなければならない。

1項

船舶所有者は、国土交通省令で定める場合を除いて第六十条第一項の規定 又は第七十二条の国土交通省令の規定を遵守するために必要な海員の定員を定めて、その員数の海員を乗り組ませなければならない。

2項

船舶所有者は、航海中海員に欠員を生じたときは、遅滞なく その欠員を補充しなければならない。

1項

船舶所有者は、前条の規定によるほか、航海当直 その他の船舶の航海の安全を確保するための作業を適切に実施するために必要な員数の海員を乗り組ませなければならない。

1項

第六十条から第六十九条までの規定は、次に掲げる船舶については、これを適用しない

一 号
漁船
二 号

船員が断続的作業に従事する船舶で船舶所有者が国土交通大臣の許可を受けたもの

2項

前項各号の船舶に係る前条の規定の適用については、

同条
「前条の規定によるほか、航海当直」とあるのは、
「航海当直」と

する。

1項

定期的に短距離の航路に就航するため入出港が頻繁である船舶 その他のその航海の態様が特殊であるため船員が第六十条第一項の規定によることが著しく不適当な職務に従事することとなると認められる船舶で国土交通大臣の指定するものに関しては、当該船舶の航海の態様 及び当該船員の職務に応じ、国土交通省令で定める一定の期間を平均した一日当たりの労働時間が八時間を超えず、かつ、一日当たりの労働時間が十四時間を超えない範囲内において、船員の一日当たりの労働時間について国土交通省令で別段の定めをすることができる。

1項

国土交通大臣は、必要があると認めるときは、交通政策審議会の決議により、第六十条から第六十九条までの規定の適用を受けない船員の労働時間、休日 及び定員に関し必要な国土交通省令を発することができる。