通信傍受規則

# 平成十二年国家公安委員会規則第十三号 #

第二章 通信傍受の実施の手続等

分類 規則
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和六年国家公安委員会規則第七号
最終編集日 : 2024年 09月06日 15時34分


1項

傍受令状の請求は、傍受の理由 及び必要 その他傍受令状請求書に記載すべき事項について十分に検討してその検討結果を順を経て警察本部長(警視総監 又は道府県警察本部長をいう。以下同じ。)に報告し、事前にその承認を受けて行わなければならない。

2項

前項の請求をするときは、傍受の理由 及び必要があることを疎明する参考人供述調書、捜査報告書 その他の資料 並びに傍受の実施の方法 及び場所 その他傍受令状請求書の記載事項を明らかにする資料を添えて行わなければならない。

3項

法第四条第三項の請求は、当該請求の相当性 その他傍受令状請求書に記載すべき事項について十分に検討してその検討結果を順を経て警察本部長に報告し、事前にその承認を受けて行わなければならない。

4項

前項の請求をするときは、当該請求が相当であることを疎明する捜査報告書 その他の資料 及び次に掲げる事項(法第二十条第一項の許可の請求をする場合にあっては、第一号に掲げる事項)を明らかにする資料を添えて行わなければならない。

一 号
通信管理者等に関する事項
二 号

傍受の実施に用いるものとして指定する特定電子計算機を特定するに足りる事項

5項

法第五条第四項後段の申立ては、当該申立ての相当性 その他傍受令状請求書に記載すべき事項について十分に検討してその検討結果を順を経て警察本部長に報告し、事前にその承認を受けて行わなければならない。

6項

前項の申立てをするときは、当該申立てが相当であることを疎明する捜査報告書 その他の資料 及び次に掲げる事項を明らかにする資料を添えて行わなければならない。

一 号

指定期間における傍受の実施の場所

二 号

指定期間以外の期間における傍受の実施の場所

7項

第一項 若しくは第三項の請求 又は第五項の申立てをするに当たっては、当該請求 又は申立てをしようとする指定警察官(法第四条第一項の規定に基づき国家公安委員会 又は都道府県公安委員会が指定する警視以上の警察官をいう。以下同じ。)その他の当該事件の捜査全般の状況を把握している警察官が裁判官の下に出頭し、裁判官の求めに応じ、陳述し、又は書類 その他の物を提示しなければならない。

1項

傍受ができる期間の延長の請求は、延長を必要とする事由 及び延長を求める期間について十分に検討してその検討結果を順を経て警察本部長に報告し、事前にその承認を受けて行わなければならない。

2項

前項の請求をするときは、その必要があることを疎明する捜査報告書 その他の資料を添えて行わなければならない。

3項

前条第七項の規定は、第一項の請求をする場合について準用する。

1項

傍受を行う事件の捜査については、警察本部長が捜査主任官を指名しなければならない。

2項

捜査主任官は、警察本部長の指揮を受け、傍受の実施、再生の実施、通信記録物等の管理 その他の通信の傍受に関する事務を統括するものとする。

3項

警察本部長は、傍受の実施ごとに、警部以上の警察官の中から傍受実施主任官を指名するものとする。

4項

傍受実施主任官は、捜査主任官の命を受け、傍受の実施 及び再生の実施 並びにこれらに付随する事務に従事する職員を指揮監督するものとする。

5項

警察本部長は、通信記録物等の管理に関する捜査主任官の職務を補助させるため、警部補以上の警察官の中から通信記録物等管理者を指名するものとする。

1項

警察本部長は、捜査の適正を確保するための指導に関する事務を所掌する警察本部(警視庁 及び道府県警察本部をいう。)の課(課に準ずるものを含む。)に所属する警部以上の警察官の中から傍受指導官を指名するものとする。

2項

傍受指導官は、傍受の実施 及び再生の実施 並びにこれらに付随する事務に従事する職員に対して、適正な傍受の実施 及び再生の実施に必要な指導教養を行うものとする。

3項

傍受指導官は、法第二十三条第一項の規定による傍受の実施 及び同条第四項の規定による再生の実施に当たっては、警察通信職員と相互に緊密に連絡し、及び協力して、当該傍受の実施の場所における特定電子計算機の使用方法に関する助言 その他の適正な傍受の実施 及び再生の実施に必要な助言 及び指導を行うものとする。

1項

特定電子計算機は、警察庁、管区警察局、東京都警察情報通信部 又は北海道警察情報通信部において保管するものとする。

2項

警察通信職員は、法第二十三条第一項の規定による傍受の実施に当たっては、当該傍受の実施の場所において、当該傍受の実施に用いるものとして指定された特定電子計算機の設置 その他の特定電子計算機の適正な供用の開始のために必要な措置を講じなければならない。

1項

傍受の実施(法第二十条第一項 又は第二十三条第一項第二号の規定によるものを除く。以下 この項 及び次項において同じ。)に当たっては、警察本部長は、あらかじめ、次に掲げる事項について、捜査主任官に対し、文書により指示しなければならない。

一 号

第十三条第五項第六項 及び第八項の規定により警察本部長が指定する時間

二 号

報道の取材のための通信が行われていると認めた場合に留意すべき事項

三 号

前二号に掲げるもののほか、傍受の実施の適正を確保するための事項

2項

捜査主任官は、傍受の実施をしている場合においては、傍受実施主任官に、前項の文書の写しを携帯させなければならない。

3項

前二項の規定は、再生の実施について準用する。


この場合において、

第一項第一号
第十三条第五項、第六項 及び第八項」とあるのは
第十四条第五項第六項 及び第八項同条第九項の規定によりこれらの規定の例によることとされる場合を含む。)」と、

時間」とあるのは
時間 又は部分」と、

同項第二号
報道」とあるのは
「再生に係る通信が報道」と、

が行われている」とあるのは
「に該当する」と

読み替えるものとする。

1項

傍受の実施 又は再生の実施に当たっては、傍受令状に記載されている傍受すべき通信、傍受の実施の対象とすべき通信手段、傍受の実施の方法 及び場所、傍受ができる期間、傍受の実施に関する条件 その他傍受令状に記載されている事項を厳格に遵守しなければならない。

1項

傍受の実施 又は再生の実施に当たっては、逐次、法第二十七条第一項各号 若しくは第二項各号 又は第二十八条第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる事項 その他当該傍受の実施 又は再生の実施の状況を警察本部長が定める様式の書面に記載するものとする。

1項

傍受の実施 又は再生の実施(法第二十三条第四項の規定によるものを除く)に当たっては、通信事業者等の規模、電気通信設備の概要 その他の通信事業者等の事情を理解し、通信事業者等に必要な限度を超えて迷惑を及ぼさないように特に注意しなければならない。

2項

電気通信設備に接続する傍受 又は再生のための機器については、電気通信設備を損傷し、又はその機能に障害を与えないものを使用するものとする。

1項

傍受の実施(法第二十条第一項 又は第二十三条第一項の規定によるものを除く)に当たっては、あらかじめ、立会人に対し、次に掲げる事項について説明しなければならない。

一 号

法第十三条法第二十五条 その他の立会人に係る主要な法令の規定

二 号

傍受令状に記載されている傍受の実施の対象とすべき通信手段、傍受の実施の方法 及び場所、傍受ができる期間 並びに傍受の実施に関する条件

三 号
傍受のための機器の概要 及びその使用方法
四 号

第八条第一項第一号に掲げる事項

五 号

法第二十五条第一項の封印の具体的方法に関する事項

六 号

前各号に掲げるもののほか、立会人が適切な立会いをするため参考となるべき事項

2項

法第十三条第二項の規定による立会人の意見が述べられたときは、これを勘案して、必要に応じ、傍受の実施の適正を確保するための措置を講じなければならない。

3項

前項に規定する場合においては、立会人に意見書の提出を求めなければならない。

4項

立会いをしていた期間中に立会人の意見が述べられなかったときは、立会人にその旨を記載した意見書の提出を求めなければならない。

5項

前各項の規定は、法第二十一条第一項の規定による再生の実施について準用する。


この場合において、

第一項第一号
法第十三条」とあるのは
法第二十一条第一項において準用する法第十三条」と、

同項第三号
傍受」とあるのは
「再生」と、

同項第四号
第八条第一項第一号」とあるのは
第八条第三項において読み替えて準用する同条第一項第一号」と、

同項第五号
法第二十五条第一項」とあるのは
法第二十五条第二項」と、

第二項
法第十三条第二項」とあるのは
法第二十一条第一項において準用する法第十三条第二項」と

読み替えるものとする。

1項

スポット傍受は、スポット傍受の開始時からあらかじめ設定した時間が経過すると自動的にスポット傍受が中断される機能、スポット傍受をしている旨を標示する機能 その他スポット傍受の適正を確保するための機能を有する機器を用いて行うものとする。

2項

スポット傍受に当たっては、犯罪の組織的背景、既に傍受をされた通信の内容 その他スポット傍受をしている通信の該当性判断に資する事項を考慮しなければならない。

3項

傍受の実施の開始時に現に通話が行われているとき 又は傍受の実施の間に通話が開始されたときは、スポット傍受を開始するものとする。

4項

スポット傍受をしている場合において、次の各号に掲げる通信が行われていると認めるに至ったときは、スポット傍受を終了し、それぞれ当該各号に定める傍受を開始するものとする。

一 号

傍受すべき通信に該当することが明らかである通信

令状記載傍受

二 号

第十四条外国語等通信

外国語等傍受

三 号

他犯罪通信

他犯罪傍受

5項

スポット傍受を開始した場合においては、前項の規定により同項各号に定める傍受を開始し、又は第七項の規定によりスポット傍受を終了したときを除き、スポット傍受の開始時からあらかじめ警察本部長が指定した時間内にスポット傍受を中断しなければならない。

6項

前項の規定によりスポット傍受を中断した時点からあらかじめ警察本部長が指定した時間が経過した後において、当該スポット傍受を中断した時点において現に行われていた通話と同一の通話が行われており、傍受すべき通信に該当するかどうかを判断するため必要があると認めるときは、スポット傍受を開始するものとする。

7項

スポット傍受をしている場合において、第四項各号いずれにも該当しない通信であって傍受すべき通信に該当しないことが明らかであるものが行われていると認めるに至ったときは、直ちに、スポット傍受を終了しなければならない。

8項

前項の規定によりスポット傍受を終了した時 又は第十五条第二項の規定により傍受を終了した時に現に行われていた通話が傍受の終了時からあらかじめ警察本部長が指定した時間を超えて継続しており、当該傍受の終了時における通信と内容の異なる通信が行われていないかどうかを確認するため必要があると認めるときは、スポット傍受を開始するものとする。

1項

スポット再生は、スポット再生の開始時からあらかじめ設定した時間が経過し、又はスポット再生を開始した部分からあらかじめ設定した部分までの範囲を表示すると自動的にスポット再生が中断される機能、スポット再生をしている旨を標示する機能 その他スポット再生の適正を確保するための機能を有する機器を用いて行うものとする。

2項

スポット再生に当たっては、犯罪の組織的背景、既に再生をされた通信の内容 その他スポット再生をしている通信の該当性判断に資する事項を考慮しなければならない。

3項

再生の実施をするときは、通話ごとに、スポット再生を開始するものとする。

4項

スポット再生をしている場合において、当該スポット再生に係る通信が次の各号に掲げる通信のいずれかに該当すると認めるに至ったときは、スポット再生を終了し、それぞれ当該各号に定める再生を開始するものとする。

一 号

傍受すべき通信に該当することが明らかである通信

令状記載再生

二 号

第二十一条外国語等通信

外国語等再生

三 号

他犯罪通信

他犯罪再生

5項

スポット再生を開始した場合においては、前項の規定により同項各号に定める再生を開始し、又は第七項の規定によりスポット再生を終了したときを除き、スポット再生の開始時からあらかじめ警察本部長が指定した時間内 又はスポット再生を開始した部分からあらかじめ警察本部長が指定した部分までの範囲内においてスポット再生を中断しなければならない。

6項

前項の規定によりスポット再生を中断した時点からあらかじめ警察本部長が指定した時間が経過した後 又は同項の規定によりスポット再生を中断した部分からあらかじめ警察本部長が指定した部分までの範囲を通信の内容を知ることができない状態で表示した後において、当該スポット再生を中断した時点 又は部分における当該スポット再生に係る通信と同一の通話の機会に行われた通信について法第二十条第一項の規定により一時的保存をされた暗号化信号であって法第二十一条第一項の規定による復号をされていないものがあり、傍受すべき通信に該当するかどうかを判断するため必要があると認めるときは、スポット再生を開始するものとする。

7項

スポット再生をしている場合において、当該スポット再生に係る通信が第四項各号いずれにも該当しない通信であって傍受すべき通信に該当しないことが明らかであるものに該当すると認めるに至ったときは、直ちに、スポット再生を終了しなければならない。

8項

前項の規定によりスポット再生を終了した時 又は次条第三項において読み替えて準用する同条第二項の規定により再生を終了した時における当該再生に係る通信と同一の通話の機会に行われた通信について、再生の終了時からあらかじめ警察本部長が指定した時間が経過した後 又は再生を終了した部分からあらかじめ警察本部長が指定した部分までの範囲を通信の内容を知ることができない状態で表示した後も、法第二十条第一項の規定により一時的保存をされた暗号化信号であって法第二十一条第一項の規定による復号をされていないものがあり、当該再生の終了時における通信と内容の異なる通信が行われていなかったかどうかを確認するため必要があると認めるときは、スポット再生を開始するものとする。

9項

法第二十三条第四項の規定によりその例によることとされる法第二十一条第三項の規定による再生であって、傍受すべき通信に該当するかどうか明らかでない通信に係るものについては、前各項の規定の例による。

1項

第十三条第四項各号いずれかに定める傍受をしている場合において、当該各号に掲げる通信以外の通信であって同項各号いずれかに掲げるものが行われていると認めるに至ったときは、当該傍受を終了し、それぞれ当該各号に定める傍受を開始するものとする。

2項

第十三条第四項各号いずれかに定める傍受をしている場合において、同項各号いずれにも該当しない通信であって傍受すべき通信に該当するかどうか明らかでないものが行われていると認めるに至ったときは、直ちに、当該傍受を終了してスポット傍受を開始するものとし、同項各号いずれにも該当しない通信であって傍受すべき通信に該当しないことが明らかであるものが行われていると認めるに至ったときは、直ちに、傍受を終了しなければならない。

3項

前二項の規定は、前条第四項各号同条第九項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)のいずれかに定める再生をしている場合について準用する。


この場合において、

前二項
おいて、」とあるのは
「おいて、当該再生に係る通信が」と、

が行われている」とあるのは
「に該当する」と、

前項
スポット傍受」とあるのは
「スポット再生」と、

ものとし、」とあるのは
「ものとし、当該再生に係る通信が」と

読み替えるものとする。

1項

法第十四条第二項後段 又は第二十一条第四項後段(法第二十三条第四項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定による傍受すべき通信に該当するかどうかの判断のために行う翻訳、復号 又は復元 及び翻訳、復号 又は復元がなされた通信の内容の聴取 又は閲覧は、必要最小限度の範囲で行うようにしなければならない。

2項

第十四条外国語等通信 又は第二十一条外国語等通信であって、傍受の実施(法第二十三条第一項の規定によるものを除く)の場所(指定期間以外の期間における傍受の実施の場所が定められているときは、その場所)でその内容を容易に復元することができる方法を用いて行われたものについては、当該場所の状況を考慮して適当であると認めるときは、当該場所において立会人の立会いを得て前項の復元 若しくは閲覧、法第十四条第二項後段 若しくは第二十一条第四項後段の規定による傍受すべき通信に該当するかどうかの判断 又は傍受記録の作成を行わなければならない。

3項

第一項の翻訳、復号 又は復元の嘱託をする場合は、当該嘱託を受ける者が通信の秘密を不当に害することなく、かつ、捜査の妨げとならないようにするための措置を講じなければならない。

4項

第一項の翻訳、復号 又は復元 及び聴取 又は閲覧については、これらを行った者の氏名、これらが行われた年月日、傍受 又は再生をされた通信のうちこれらが行われた部分 その他これらが行われた状況を明らかにするために必要な事項を書面に記録しておかなければならない。

1項

法第十七条第三項 又は第二十条第四項法第二十三条第一項において準用する場合を含む。)の規定による要請は、当該要請に係る通信を特定するために必要な事項を告知して行うものとする。