この法律は、全ての障害者が、社会を構成する一員として社会、経済、文化 その他あらゆる分野の活動に参加するためには、その必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができることが極めて重要であることに鑑み、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策の基本となる事項を定めること等により、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律
第一章 総則
この法律において「障害者」とは、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第二条第一号に規定する障害者をいう。
障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。
障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る手段について、可能な限り、その障害の種類 及び程度に応じた手段を選択することができるようにすること。
全ての障害者が、その日常生活 又は社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しくその必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにすること。
障害者が取得する情報について、可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること。
デジタル社会(デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)第二条に規定するデジタル社会をいう。)において、全ての障害者が、高度情報通信ネットワークの利用 及び情報通信技術の活用を通じ、その必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにすること。
国は、前条の基本理念にのっとり、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、その地域の実情を踏まえ、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を策定し、及び実施する責務を有する。
国 及び地方公共団体は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策が障害者でない者による情報の十分な取得 及び利用 並びに円滑な意思疎通にも資するものであることを認識しつつ、当該施策を策定し、及び実施するものとする。
事業者は、その事業活動を行うに当たっては、障害者がその必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにするよう努めるとともに、国 又は地方公共団体が実施する障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策に協力するよう努めなければならない。
国民は、障害者による情報の十分な取得 及び利用 並びに円滑な意思疎通の重要性に関する関心と理解を深めるよう努めるものとする。
国、地方公共団体、事業者 その他の関係者は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策が効率的かつ効果的に推進されるよう、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。
国 及び地方公共団体は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を講ずるに当たっては、障害者、障害児の保護者 その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。
政府が障害者基本法第十一条第一項に規定する障害者基本計画を、都道府県が同条第二項に規定する都道府県障害者計画を、市町村が同条第三項に規定する市町村障害者計画を策定し 又は変更する場合には、それぞれ、当該計画がこの法律の規定の趣旨を踏まえたものとなるようにするものとする。
政府は、障害者基本法第十三条の規定により国会に提出する報告書において、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策の実施の状況が明らかになるようにするものとする。
政府は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。