障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律

令和四年法律第五十号
略称 : 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法 
分類 法律
カテゴリ   厚生
最終編集日 : 2023年 10月17日 13時11分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 基本的施策

第一章 総則

1項

この法律は、全ての障害者が、社会を構成する一員として社会、経済、文化 その他あらゆる分野の活動に参加するためには、その必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができることが極めて重要であることに鑑み、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、及び地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策の基本となる事項を定めること等により、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

1項

この法律において「障害者」とは、障害者基本法昭和四十五年法律第八十四号第二条第一号に規定する障害者をいう。

1項

障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策の推進は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。

一 号

障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る手段について、可能な限り、その障害の種類 及び程度に応じた手段を選択することができるようにすること。

二 号

全ての障害者が、その日常生活 又は社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しくその必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにすること。

三 号

障害者が取得する情報について、可能な限り、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること。

四 号

デジタル社会(デジタル社会形成基本法令和三年法律第三十五号第二条に規定するデジタル社会をいう。)において、全ての障害者が、高度情報通信ネットワークの利用 及び情報通信技術の活用を通じ、その必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにすること。

1項

は、前条の基本理念にのっとり、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2項

地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、その地域の実情を踏まえ、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を策定し、及び実施する責務を有する。

3項

及び地方公共団体は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策が障害者でない者による情報の十分な取得 及び利用 並びに円滑な意思疎通にも資するものであることを認識しつつ、当該施策を策定し、及び実施するものとする。

1項

事業者は、その事業活動を行うに当たっては、障害者がその必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにするよう努めるとともに、 又は地方公共団体が実施する障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策に協力するよう努めなければならない。

1項

国民は、障害者による情報の十分な取得 及び利用 並びに円滑な意思疎通の重要性に関する関心と理解を深めるよう努めるものとする。

1項

地方公共団体事業者 その他の関係者は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策が効率的かつ効果的に推進されるよう、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

1項

及び地方公共団体は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を講ずるに当たっては、障害者、障害児の保護者 その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。

1項

政府障害者基本法第十一条第一項に規定する障害者基本計画を、都道府県同条第二項に規定する都道府県障害者計画を、市町村同条第三項に規定する市町村障害者計画を策定し 又は変更する場合には、それぞれ、当該計画がこの法律の規定の趣旨を踏まえたものとなるようにするものとする。

2項

政府は、障害者基本法第十三条の規定により国会に提出する報告書において、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策の実施の状況が明らかになるようにするものとする。

1項

政府は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に係る施策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。

第二章 基本的施策

1項

及び地方公共団体は、障害者による情報の十分な取得 及び利用 並びに円滑な意思疎通に資する情報通信機器 その他の機器 及び情報通信技術を活用した役務(以下 この条 及び第十五条において「障害者による情報取得等に資する機器等」という。)の開発 及び普及の促進を図るため、障害者による情報取得等に資する機器等に関し、開発 及び提供に対する助成 その他の支援、規格の標準化、障害者 又はその介助を行う者次項 及び第三項において「障害者等」という。)に対する情報提供 及び入手の支援 その他の必要な施策を講ずるものとする。

2項

及び地方公共団体は、障害者等障害者による情報取得等に資する機器等の利用方法を習得することができるようにするため、障害者による情報取得等に資する機器等の利用に関し、障害者の居宅における支援、講習会の実施、障害者等からの相談への対応 その他の必要な取組を自ら行うとともに、当該取組を行う者を支援するために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

3項

は、障害者による情報取得等に資する機器等の開発 及び普及の促進 並びに質の向上に資するよう、内閣府、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省 その他の関係行政機関の職員、障害者による情報取得等に資する機器等を開発し 又は提供する者、障害者等 その他の関係者による協議の場を設けること その他関係者の連携協力に関し必要な措置を講ずるものとする。

1項

及び地方公共団体は、障害の種類 及び程度に応じて障害者が防災 及び防犯に関する情報を迅速かつ確実に取得することができるようにするため、体制の整備充実、設備 又は機器の設置の推進 その他の必要な施策を講ずるものとする。

2項

及び地方公共団体は、障害の種類 及び程度に応じて障害者が緊急の通報を円滑な意思疎通により迅速かつ確実に行うことができるようにするため、多様な手段による緊急の通報の仕組みの整備の推進 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

及び地方公共団体は、医療、介護、保健、福祉、教育、労働、交通、電気通信、放送、文化芸術、スポーツ、レクリエーション、司法手続 その他の障害者が自立した日常生活 及び社会生活を営むために必要な分野において、障害者がその必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができるようにするため、障害者とその他の者の意思疎通の支援を行う者第十五条において「意思疎通支援者」という。)の確保、養成 及び資質の向上 その他の必要な施策を講ずるものとする。

2項

及び地方公共団体は、医療、介護、保健 若しくは福祉に係るサービスを提供する者、学校の設置者、事業主、交通施設(移動施設を含む。)を設置する事業者、電気通信 若しくは放送の役務を提供する事業者 又は文化芸術施設、スポーツ施設 若しくはレクリエーション施設の管理 若しくは運営を行う者が行う障害者による情報の十分な取得 及び利用 並びに円滑な意思疎通のための取組を支援するために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

1項

及び地方公共団体は、障害者からの各種の相談に応ずるに当たっては、障害者がその必要とする情報を十分に取得し 及び利用し 並びに円滑に意思疎通を図ることができるよう配慮するものとする。

2項

及び地方公共団体は、障害者に情報を提供するに当たっては、その障害の種類 及び程度に応じてこれを行うよう配慮するものとする。

1項

及び地方公共団体は、障害者による情報の十分な取得 及び利用 並びに円滑な意思疎通の重要性に関する国民の関心と理解を深めるよう、障害者による情報取得等に資する機器等の有用性、障害者による円滑な意思疎通において意思疎通支援者が果たす役割等に関する広報活動 及び啓発活動の充実 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

及び地方公共団体は、障害者による情報の取得 及び利用 並びに意思疎通に関する調査 及び研究を推進し、その成果の普及に努めるものとする。