裁判上の公示催告で権利の届出を催告するためのもの(以下 この編において「公示催告」という。)の申立ては、法令にその届出をしないときは当該権利につき失権の効力を生ずる旨の定めがある場合に限り、することができる。
非訟事件手続法
第一章 通則
公示催告手続(公示催告によって当該公示催告に係る権利につき失権の効力を生じさせるための一連の手続をいう。以下 この章において同じ。)に係る事件(第百十二条において「公示催告事件」という。)は、公示催告に係る権利を有する者の普通裁判籍の所在地 又は当該公示催告に係る権利の目的物の所在地を管轄する簡易裁判所の管轄に属する。
ただし、当該権利が登記 又は登録に係るものであるときは、登記 又は登録をすべき地を管轄する簡易裁判所もこれを管轄する。
裁判所は、公示催告の申立てが適法であり、かつ、理由があると認めるときは、公示催告手続開始の決定をするとともに、次に掲げる事項を内容とする公示催告をする旨の決定(第百十三条第二項において「公示催告決定」という。)をしなければならない。
前号に規定する権利の届出の終期までに当該権利を届け出るべき旨の催告
前号に掲げる催告に応じて権利の届出をしないことにより生ずべき失権の効力の表示
公示催告についての公告は、前条に規定する公示催告の内容を、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、官報に掲載する方法によってする。
裁判所は、相当と認めるときは、申立人に対し、前項に規定する方法に加えて、前条に規定する公示催告の内容を、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載して公告すべき旨を命ずることができる。
前条第一項の規定により公示催告を官報に掲載した日から権利の届出の終期までの期間は、他の法律に別段の定めがある場合を除き、二月を下ってはならない。
公示催告手続開始の決定後第百六条第一項から第四項までの規定による除権決定がされるまでの間において、公示催告の申立てが不適法であること 又は理由のないことが明らかになったときは、裁判所は、公示催告手続終了の決定をしなければならない。
前項の決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。
裁判所は、権利の届出の終期の経過後においても、必要があると認めるときは、公示催告の申立てについての審理をすることができる。
この場合において、裁判所は、審理を終結する日(以下 この章において「審理終結日」という。)を定めなければならない。
権利の届出の終期までに申立人が申立ての理由として主張した権利を争う旨の申述(以下 この編において「権利を争う旨の申述」という。)があったときは、裁判所は、申立人 及びその権利を争う旨の申述をした者の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。
前二項の規定により審理終結日が定められたときは、権利の届出の終期の経過後においても、権利の届出 又は権利を争う旨の申述は、その審理終結日まですることができる。
権利を争う旨の申述をするには、自らが権利者であること その他の申立人が申立ての理由として主張した権利を争う理由を明らかにしなければならない。
権利の届出の終期(前条第一項 又は第二項の規定により審理終結日が定められた場合にあっては、審理終結日。以下この条において同じ。)までに適法な権利の届出 又は権利を争う旨の申述がないときは、裁判所は、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利につき失権の効力を生ずる旨の裁判(以下 この編において「除権決定」という。)をしなければならない。
裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出があった場合であって、適法な権利を争う旨の申述がないときは、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利のうち適法な権利の届出があったものについては失権の効力を生じない旨の定め(以下 この章において「制限決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。
裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないときは、第百四条第一項の場合を除き、申立人と その適法な権利を争う旨の申述をした者との間の当該権利についての訴訟の判決が確定するまで公示催告手続を中止し、又は除権決定は、その適法な権利を争う旨の申述をした者に対してはその効力を有せず、かつ、申立人が当該訴訟において敗訴したときはその効力を失う旨の定め(以下この章において「留保決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。
ただし、その権利を争う旨の申述に理由がないことが明らかであると認めるときは、留保決定をしないで、除権決定をしなければならない。
裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出 及び権利を争う旨の申述があったときは、第百四条第一項の場合を除き、制限決定 及び留保決定をして、除権決定をしなければならない。
除権決定に対しては、第百八条の規定による場合のほか、不服を申し立てることができない。
制限決定 又は留保決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
除権決定、制限決定 及び留保決定は、官報に掲載して公告しなければならない。
次に掲げる事由がある場合には、除権決定の取消しの申立てをすることができる。
法令において公示催告の申立てをすることができる場合に該当しないこと。
第百二条第一項の規定による公示催告についての公告をせず、又は法律に定める方法によって公告をしなかったこと。
第百三条に規定する公示催告の期間を遵守しなかったこと。
除斥 又は忌避の裁判により除権決定に関与することができない裁判官が除権決定に関与したこと。
適法な権利の届出 又は権利を争う旨の申述があったにもかかわらず、第百六条第二項から第四項までの規定に違反して除権決定がされたこと。
第八十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百三十八条第一項第四号から第八号までの規定により再審の申立てをすることができる場合であること。
前条の規定による除権決定の取消しの申立てに係る事件は、当該除権決定をした裁判所の管轄に属する。
第百八条の規定による除権決定の取消しの申立ては、申立人が除権決定があったことを知った日(同条第四号 又は第六号に掲げる事由を不服の理由とする場合において、その日に申立人がその事由があることを知らなかったときにあっては、その事由があることを知った日)から三十日の不変期間内にしなければならない。
除権決定が告知された日から五年を経過したときは、第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てをすることができない。
第百八条の規定による除権決定の取消しの申立てがあったときは、裁判所は、申立人 及び相手方の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。
裁判所は、前項に規定する場合において、第百八条各号に掲げる事由があるときは、除権決定を取り消す決定をしなければならない。
前項の規定による除権決定を取り消す決定が確定したときは、官報に掲載してその主文を公告しなければならない。
第三十二条第一項から第四項までの規定にかかわらず、申立人 及び権利の届出をした者 又は権利を争う旨の申述をした者 その他の利害関係人は、裁判所書記官に対し、公示催告事件 又は除権決定の取消しの申立てに係る事件の記録の閲覧等 又は記録の複製を請求することができる。
第四十条の規定は、公示催告手続には、適用しない。
第五十九条の規定は、公示催告手続開始の決定、公示催告決定 及び除権決定には、適用しない。