感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

# 平成十年法律第百十四号 #
略称 : 感染症予防法  感染症法 

第三章 感染症に関する情報の収集及び公表

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十六号による改正
最終編集日 : 2024年 07月17日 18時14分


1項

医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別 その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別 その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事(保健所設置市等にあっては、その長。以下この章次項 及び第三項次条第三項 及び第四項第十四条第一項 及び第六項第十四条の二第一項 及び第七項第十五条第十三項 並びに第十六条第二項 及び第三項除く)において同じ。)に届け出なければならない。

一 号

一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症 又は四類感染症の患者 又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症 又は新型インフルエンザ等感染症の患者 及び新感染症にかかっていると疑われる者

二 号

厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。

2項

前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内に、当該届出の内容を、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものをいう。第十五条第十三項 及び第十四項第三十六条の五第四項から第六項まで第三十六条の八第三項第四十四条の三の五第四項 並びに第五十条の六第四項除き、以下同じ。)により厚生労働大臣に報告しなければならない。

3項

都道府県知事は、次の各号に掲げる者について第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、電磁的方法により当該各号に定める者に通報しなければならない。

一 号

その管轄する区域外に居住する者

当該者の居住地を管轄する都道府県知事(その居住地が保健所設置市等の区域内にある場合にあっては、その居住地を管轄する保健所設置市等の長 及び都道府県知事

二 号

その管轄する区域内における保健所設置市等の長が管轄する区域内に居住する者

当該者の居住地を管轄する保健所設置市等の長

4項

前二項の規定は、保健所設置市等の長が第一項の規定による届出を受けた場合について準用する。


この場合において、

第二項
厚生労働大臣」とあるのは
「厚生労働大臣 及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県知事(次項各号において「管轄都道府県知事」という。)」と、

前項第一号 及び第二号
その管轄する」とあるのは
「管轄都道府県知事の管轄する」と、

同号
保健所設置市等の長が」とあるのは
「当該保健所設置市等以外の保健所設置市等の長が」と

読み替えるものとする。

5項

第一項の規定による届出をすべき医師(厚生労働省令で定める感染症指定医療機関の医師に限る)は、電磁的方法であって、当該届出の内容を第二項 又は第三項これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による報告 又は通報(以下この条において「報告等」という。)をすべき者 及び当該報告等を受けるべき者が閲覧することができるものにより当該届出を行わなければならない。

6項

第一項の規定による届出をすべき医師(前項の厚生労働省令で定める感染症指定医療機関の医師を除く)は、電磁的方法であって、当該届出の内容を報告等をすべき者 及び当該報告等を受けるべき者が閲覧することができるものにより当該届出を行うよう努めなければならない。

7項

第一項の規定による届出が前二項に規定する方法により行われたときは、報告等をすべき者は、当該報告等を行ったものとみなす。

8項
厚生労働省令で定める慢性の感染症の患者を治療する医師は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、その患者の年齢、性別 その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
9項

第二項から第七項までの規定は、前項の規定による届出について準用する。


この場合において、

第二項
同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内」とあるのは、
「厚生労働省令で定める期間内」と

読み替えるものとする。

10項

第一項から第七項までの規定は、医師が第一項各号に規定する感染症により死亡した者(当該感染症により死亡したと疑われる者を含む。)の死体を検案した場合について準用する。

1項

獣医師は、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症 又は新型インフルエンザ等感染症のうちエボラ出血熱、マールブルグ病 その他の政令で定める感染症ごとに当該感染症を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定めるサル その他の動物について、当該動物が当該感染症にかかり、又はかかっている疑いがあると診断したときは、直ちに、当該動物の所有者(所有者以外の者が管理する場合においては、その者。以下この条において同じ。)の氏名 その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。


ただし、当該動物が実験のために当該感染症に感染させられている場合は、この限りでない。

2項

前項の政令で定める動物の所有者は、獣医師の診断を受けない場合において、当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっている疑いがあると認めたときは、同項の規定による届出を行わなければならない。


ただし、当該動物が実験のために当該感染症に感染させられている場合は、この限りでない。

3項

前二項の規定による届出を受けた都道府県知事は、直ちに、当該届出の内容を、電磁的方法により厚生労働大臣に報告しなければならない。

4項

都道府県知事は、次の各号に掲げる動物について第一項 又は第二項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、電磁的方法により当該各号に定める者に通報しなければならない。

一 号

その管轄する区域外において飼育されていた動物当該動物が飼育されていた場所を管轄する都道府県知事(その場所が保健所設置市等の区域内にある場合にあっては、その場所を管轄する保健所設置市等の長 及び都道府県知事

二 号

その管轄する区域内における保健所設置市等の長が管轄する区域内において飼育されていた動物当該動物が飼育されていた場所を管轄する保健所設置市等の長

5項

前二項の規定は、保健所設置市等の長が第一項 又は第二項の規定による届出を受けた場合について準用する。


この場合において、

第三項
厚生労働大臣」とあるのは
「厚生労働大臣 及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県知事(次項各号において「管轄都道府県知事」という。)」と、

前項第一号 及び第二号
その管轄する」とあるのは
「管轄都道府県知事の管轄する」と、

同号
保健所設置市等の長が」とあるのは
「当該保健所設置市等以外の保健所設置市等の長が」と

読み替えるものとする。

6項

前条第六項の規定は第一項の規定による届出をすべき獣医師について、同条第七項の規定は第三項 又は第四項これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による報告 又は通報をすべき者について、それぞれ準用する。


この場合において、

同条第六項
内容を報告等」とあるのは
「内容を次条第三項 又は第四項これらの規定を同条第五項において準用する場合を含む。)の規定による報告 又は通報(以下この条において「報告等」という。)」と、

同条第七項
第一項」とあるのは
次条第一項」と、

前二項」とあるのは
同条第六項において読み替えて準用する前項」と

読み替えるものとする。

7項

第一項 及び第三項から前項までの規定は獣医師が第一項の政令で定める動物の死体について当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっていた疑いがあると検案した場合について、第二項から前項までの規定は所有者が第一項の政令で定める動物の死体について当該動物が同項の政令で定める感染症にかかり、又はかかっていた疑いがあると認めた場合について準用する。

1項

都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、開設者の同意を得て、五類感染症のうち厚生労働省令で定めるもの又は二類感染症、三類感染症、四類感染症 若しくは五類感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの発生の状況の届出を担当させる病院 又は診療所を指定する。

2項

前項の規定による指定を受けた病院 又は診療所(以下この条において「指定届出機関」という。)の管理者は、当該指定届出機関の医師が前項の厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。以下この項において同じ。)若しくは前項の二類感染症、三類感染症、四類感染症 若しくは五類感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの患者を診断し、又は同項の厚生労働省令で定める五類感染症により死亡した者の死体を検案したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者 又は当該死亡した者の年齢、性別 その他厚生労働省令で定める事項を当該指定届出機関の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。

3項

前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、当該届出の内容を、電磁的方法により厚生労働大臣に報告しなければならない。

4項

第十二条第五項 及び第六項の規定は第二項の規定による届出について、同条第七項の規定は前項の規定による報告について、それぞれ準用する。


この場合において、

同条第五項 及び第六項
すべき医師」とあるのは
「すべき指定届出機関の管理者」と、

同条第五項
第二項 又は第三項(これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による報告 又は通報(以下この条において「報告等」とあるのは「第十四条第三項の規定による報告(以下この条において単に「報告」と、「当該報告等」とあるのは
「当該報告」と、

同条第六項 及び第七項
報告等」とあるのは
「報告」と、

同項
第一項」とあるのは
第十四条第二項」と

読み替えるものとする。

5項

指定届出機関は、三十日以上の予告期間を設けて、第一項の規定による指定を辞退することができる。

6項

都道府県知事は、指定届出機関の管理者が第二項の規定に違反したとき、又は指定届出機関が同項の規定による届出を担当するについて不適当であると認められるに至ったときは、第一項の規定による指定を取り消すことができる。

7項

厚生労働大臣は、二類感染症、三類感染症、四類感染症 又は五類感染症の疑似症のうち第一項の厚生労働省令で定めるものであって当該感染症にかかった場合の病状の程度が重篤であるものが発生し、又は発生するおそれがあると認めたときは、その旨を都道府県知事に通知するものとする。

8項

前項の規定による通知を受けた都道府県知事は、当該都道府県知事が管轄する区域内に所在する指定届出機関以外の病院 又は診療所の医師に対し、当該感染症の患者を診断し、又は当該感染症により死亡した者の死体を検案したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者 又は当該死亡した者の年齢、性別 その他厚生労働省令で定める事項を届け出ることを求めることができる。


この場合において、当該届出を求められた医師は、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

9項

第三項の規定は、前項の規定による届出を受けた都道府県知事について準用する。

10項

第十二条第五項 及び第六項の規定は第八項の規定による届出について、同条第七項の規定は前項において準用する第三項の規定による報告について、それぞれ準用する。


この場合において、

同条第五項 及び第六項
すべき医師」とあるのは
「すべき指定届出機関以外の病院 又は診療所の医師」と、

同条第五項
第二項 又は第三項(これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定による報告 又は通報(以下この条において「報告等」とあるのは
「第十四条第九項において準用する同条第三項の規定による報告(以下この条において単に「報告」と、「当該報告等
」とあるのは
「当該報告」と、

同条第六項 及び第七項
報告等」とあるのは
「報告」と、

同項
第一項」とあるのは
第十四条第八項」と

読み替えるものとする。

1項

都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、開設者の同意を得て、厚生労働省令で定める五類感染症の患者の検体 又は当該感染症の病原体の提出を担当させる病院 若しくは診療所 又は衛生検査所を指定する。

2項

前項の規定による指定を受けた病院 若しくは診療所 又は衛生検査所(以下この条において「指定提出機関」という。)の管理者は、当該指定提出機関(病院 又は診療所に限る)の医師が同項の厚生労働省令で定める五類感染症の患者を診断したとき、又は当該指定提出機関(衛生検査所に限る)の職員が当該患者の検体 若しくは当該感染症の病原体について検査を実施したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者の検体 又は当該感染症の病原体の一部を同項の規定により当該指定提出機関を指定した都道府県知事に提出しなければならない。

3項

都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により提出を受けた検体 又は感染症の病原体について検査を実施しなければならない。

4項

都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の検査の結果 その他厚生労働省令で定める事項を、電磁的方法により厚生労働大臣に報告しなければならない。

5項

厚生労働大臣は、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第二項の規定により提出を受けた検体 又は感染症の病原体の一部の提出を求めることができる。

6項

指定提出機関は、三十日以上の予告期間を設けて、第一項の規定による指定を辞退することができる。

7項

都道府県知事は、指定提出機関の管理者が第二項の規定に違反したとき、又は指定提出機関が同項の規定による提出を担当するについて不適当であると認められるに至ったときは、第一項の規定による指定を取り消すことができる。

1項

都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又は感染症の発生の状況、動向 及び原因を明らかにするため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症 若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者 若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者 又は感染症を人に感染させるおそれがある動物 若しくはその死体の所有者 若しくは管理者 その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

2項

厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症 若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者 若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者 又は感染症を人に感染させるおそれがある動物 若しくはその死体の所有者 若しくは管理者 その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

3項

都道府県知事は、必要があると認めるときは、第一項の規定による必要な調査として当該職員に次の各号に掲げる者に対し当該各号に定める検体 若しくは感染症の病原体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを求めさせ、又は第一号から第三号までに掲げる者の保護者(親権を行う者 又は後見人をいう。以下同じ。)に対し当該各号に定める検体を提出し、若しくは当該各号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを求めさせることができる。

一 号

一類感染症、二類感染症 若しくは新型インフルエンザ等 感染症の患者、疑似症患者 若しくは無症状病原体保有者 又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者

当該者の検体

二 号

三類感染症、四類感染症 若しくは五類感染症の患者、疑似症患者 若しくは無症状病原体保有者 又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者

当該者の検体

三 号

新感染症の所見がある者 又は新感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者

当該者の検体

四 号

一類感染症、二類感染症 若しくは新型インフルエンザ等 感染症を人に感染させるおそれがある動物 又はその死体の所有者 又は管理者

当該動物 又はその死体の検体

五 号

三類感染症、四類感染症 若しくは五類感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者 又は管理者

当該動物 又はその死体の検体

六 号

新感染症を人に感染させるおそれがある動物 又はその死体の所有者 又は管理者

当該動物 又はその死体の検体

七 号

第一号に定める検体 又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

八 号

第二号に定める検体 又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

九 号

第三号に定める検体 又は当該検体から分離された新感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

十 号

第四号に定める検体 又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

十一 号

第五号に定める検体 又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

十二 号

第六号に定める検体 又は当該検体から分離された新感染症の病原体を所持している者

当該検体 又は当該感染症の病原体

4項

都道府県知事は、感染症の患者を迅速に発見することにより、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため、感染症の性質、当該都道府県知事の管轄する区域内における感染症の患者の病状 又は数、感染症が発生している施設 又は業務の種類 並びに当該種類ごとの感染症の発生 及びまん延の状況 並びに感染症を公衆にまん延させるおそれその他の事情を考慮して、前項の規定による求めを行うものとする。

5項

都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第三項の規定により提出を受けた検体 若しくは感染症の病原体 又は当該職員が採取した検体について検査を実施しなければならない。

6項

第三項の規定は、第二項の規定による必要な調査について準用する。

7項

第一項 又は第二項の規定により質問を受け、又は必要な調査を求められた者(次項に規定する特定患者等を除く)は、当該質問 又は必要な調査に協力するよう努めなければならない。

8項

都道府県知事 又は厚生労働大臣は、一類感染症、二類感染症 若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者 又は新感染症の所見がある者(以下この項において「特定患者等」という。)が第一項 又は第二項の規定による当該職員の質問 又は必要な調査に対して正当な理由がなく協力しない場合において、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、その特定患者等に対し、当該質問 又は必要な調査(第三項第六項において準用される場合、第四十四条の九第一項の規定に基づく政令によって準用される場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令の期間が延長される場合を含む。)及び第五十三条第一項の規定に基づく政令によって適用される場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令の期間が延長される場合を含む。)を含む。)の規定による求めを除く)に応ずべきことを命ずることができる。

9項

前項の命令は、感染症を公衆にまん延させるおそれ、感染症にかかった場合の病状の程度 その他の事情に照らして、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない。

10項

都道府県知事 又は厚生労働大臣は、第八項の命令をする場合には、同時に、当該命令を受ける者に対し、当該命令をする理由 その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知しなければならない。


ただし、当該事項を書面により通知しないで命令をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

11項

都道府県知事 又は厚生労働大臣は、前項ただし書の場合においては、第八項の命令の後相当の期間内に、当該命令を受けた者に対し、前項の理由 その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書面を交付しなければならない。

12項

第一項 及び第二項の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

13項

都道府県知事 及び保健所設置市等の長(以下「都道府県知事等」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により実施された質問 又は必要な調査の結果を、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって厚生労働省令で定めるものをいう。次項第四十四条の三の五第四項 及び第五十条の六第四項において同じ。)により厚生労働大臣(保健所設置市等の長にあっては、厚生労働大臣 及び当該保健所設置市等の区域を管轄する都道府県知事)に報告しなければならない。

14項

都道府県知事等は、他の都道府県知事等が管轄する区域における感染症のまん延を防止するため必要があると認められる場合として厚生労働省令で定める場合にあっては、厚生労働省令で定めるところにより、第一項の規定により実施された質問 又は必要な調査の結果を、電磁的方法により当該他の都道府県知事等に通報しなければならない。

15項

厚生労働大臣は、第四十四条の三の五第一項 又は第五十条の六第一項の規定に基づく要請による場合を除き、自ら検査を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第三項の規定により提出を受けた検体 若しくは感染症の病原体 又は当該職員が採取した検体の一部の提出を求めることができる。

16項

都道府県知事は、第一項の規定による質問 又は必要な調査を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事 又は厚生労働大臣に対し、感染症の治療の方法の研究、病原体等の検査 その他の感染症に関する試験研究 又は検査を行う機関(以下「感染症試験研究等機関」という。)の職員の派遣 その他の必要な協力を求めることができる。

17項

第十二項の規定は、前項の規定により派遣された職員について準用する。

18項

第十二項の証明書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

1項

都道府県知事は、検疫法昭和二十六年法律第二百一号第十八条第三項同法第三十四条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)の規定により検疫所長から健康状態に異状を生じた者に対し指示した事項その他の厚生労働省令で定める事項の通知(同法第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)を受けたときは、当該都道府県の職員に、当該健康状態に異状を生じた者 その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

2項

都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により実施された質問又は必要な調査の結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。

3項

前条第十二項の規定は、都道府県知事が当該職員に第一項に規定する措置を実施させる場合について準用する。

1項

都道府県知事は、検疫法第十八条第五項同法第三十四条第一項の規定に基づく政令によって準用される場合を含む。)の規定により検疫所長から同法第十八条第四項に規定する者について同項の規定により報告された事項の通知(同法第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)を受けたときは、当該者に対し、同法第十八条第一項の規定により検疫所長が定めた期間内において当該者の体温 その他の健康状態について報告を求め、又は当該都道府県の職員に質問させることができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定による報告 又は質問の結果、健康状態に異状を生じた者を確認したときは、厚生労働省令で定めるところにより、直ちにその旨を厚生労働大臣に報告するとともに、当該職員に当該者 その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。

3項

都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により実施された質問 又は必要な調査の結果を厚生労働大臣に報告しなければならない。

4項

第十五条第十二項の規定は、都道府県知事が当該職員に第一項 及び第二項に規定する措置を実施させる場合について準用する。

5項

厚生労働大臣は、都道府県知事から要請があり、かつ、この法律 又はこの法律に基づく政令の規定により当該都道府県知事が処理することとされている事務の実施体制 その他の地域の実情を勘案して、当該都道府県 又は保健所設置市等における検疫法第二条第二号に掲げる感染症、同法第三十四条第一項の政令で指定する感染症(当該政令で当該感染症について同法第十八条第五項の規定を準用するものに限る)又は同法第三十四条の二第一項に規定する新感染症(同条第三項の規定により同法第十八条第五項に規定する事務が実施されるものに限る)のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該都道府県知事に代わって自ら第一項に規定する措置を実施するものとする。

6項

厚生労働大臣は、前項の規定により第一項に規定する都道府県知事の事務を代行するときは、その対象となる者にその旨を通知するものとする。

7項

第五項の規定により厚生労働大臣が第一項に規定する都道府県知事の事務を代行する場合における第二項 及び第四項の規定の適用については、

第二項
都道府県知事」とあるのは
「厚生労働大臣」と、

厚生労働大臣に報告するとともに、当該職員に当該者」とあるのは
「当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事に通知するものとする。この場合において、当該通知を受けた都道府県知事は、当該職員に当該通知に係る者」と、

第四項
都道府県知事」とあるのは
「厚生労働大臣」と、

第一項 及び第二項」とあるのは
第一項」と、

場合」とあるのは
「場合 及び都道府県知事が当該職員に第二項に規定する措置を実施させる場合」と

する。

8項

前二項に定めるもののほか第五項の規定による厚生労働大臣の代行に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

厚生労働大臣 及び都道府県知事は、第十二条から前条までの規定により収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の発生の状況、動向 及び原因に関する情報 並びに当該感染症の予防 及び治療に必要な情報を新聞、放送、インターネット その他適切な方法により積極的に公表しなければならない。

2項

都道府県知事は、第四十四条の二第一項第四十四条の七第一項 又は第四十四条の十第一項の規定による公表(以下「新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表」という。)が行われたときから、第四十四条の二第三項 若しくは第四十四条の七第三項の規定による公表 又は第五十三条第一項の政令の廃止(第三十六条の二第一項 及び第六十三条の四において「新型インフルエンザ等感染症等と認められなくなった旨の公表等」という。)が行われるまでの間、新型インフルエンザ等感染症等に係る発生等の公表が行われた感染症の発生の状況、動向 及び原因に関する情報に対する住民の理解の増進に資するため必要があると認めるときは、市町村長に対し、必要な協力を求めることができる。

3項

都道府県知事は、前項の規定による協力の求めに関し必要があると認めるときは、当該市町村長に対し、新型インフルエンザ等感染症 若しくは指定感染症の患者 又は新感染症の所見がある者(当該都道府県の区域内に居住地を有する者に限る)の数、当該者の居住する市町村の名称、当該者がこれらの感染症の患者 又は所見がある者であることが判明した日時 その他厚生労働省令で定める情報を提供することができる。

4項

第一項の規定による情報の公表 又は前項の規定による情報の提供を行うに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。

1項

厚生労働大臣 及び都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、感染症の患者の病状、数 その他感染症の発生 及びまん延の状況 並びに病原体等の検査の状況を勘案して、当該感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置を定め、医師、医療機関、診療に関する学識経験者の団体 その他の医療関係者 又は病原体等の検査 その他の感染症に関する検査を行う民間事業者 その他の感染症試験研究等機関に対し、当該措置の実施に対する必要な協力を求めることができる。

2項

厚生労働大臣 及び都道府県知事は、前項の規定による協力の求めを行った場合において、当該協力を求められた者が、正当な理由がなく当該協力の求めに応じなかったときは、同項に定める措置の実施に協力するよう勧告することができる。

3項

厚生労働大臣 及び都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者が、正当な理由がなく その勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。