相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
系譜、祭具 及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。
ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
家庭裁判所は、利害関係人 又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任 その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。
ただし、相続人が一人である場合においてその相続人が相続の単純承認をしたとき、相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたとき、又は第九百五十二条第一項の規定により相続財産の清算人が選任されているときは、この限りでない。
第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条 及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録 その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
前項の権利が債権である場合において、次条 及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
子 及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分 及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
配偶者 及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
配偶者 及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
子、直系尊属 又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
第八百八十七条第二項 又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。
ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。
被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。
被相続人が、共同相続人中の一人 若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。
被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第九百条 及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。
ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない。
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻 若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈 又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
遺贈 又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者 又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物 又はその敷地について遺贈 又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈 又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。
共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供 又は財産上の給付、被相続人の療養看護 その他の方法により被相続人の財産の維持 又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法 及び程度、相続財産の額 その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合 又は第九百十条に規定する場合にすることができる。
前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。
ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額 及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。
遺産の分割は、遺産に属する物 又は権利の種類 及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態 及び生活の状況 その他一切の事情を考慮してこれをする。
遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人 又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。
共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合 又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部 又は一部の分割をすることができる。
遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部 又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。
ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
共同相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部 又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。
ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
前項の契約は、五年以内の期間を定めて更新することができる。
ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
前条第二項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部 又は一部について、その分割を禁ずることができる。
ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。
ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
ただし、第三者の権利を害することはできない。
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条 及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額 その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。
この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
相続の開始後 認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割 その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。
各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。
弁済期に至らない債権 及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。
担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者 及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。
ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。
前三条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。